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February 2008

2008.02.29

スラデック「蒸気駆動の少年」発売記念トークショー

河出書房新社から出ている<奇想コレクション>の最新刊、SF作家ジョン・スラデック短編集「蒸気駆動の少年」の発売記念として、2/24にオリオン書房立川ノルテ店にて、柳下毅一郎さん、大森望さん、法月綸太郎さんのお三方でのトークショー&サイン会が行われたので、行ってきました。


これが青山ブックセンターなら、わざわざかもしれませんが、私にとっては近場の立川。それにお三方を近くで見られるなんてそうそうないかもしれない。そりゃ行くでしょうってことで。

そもそも、今回のお題になっているジョン・スラデックという作家なんですが、そういやあ「見えないグリーン」って本格ミステリがあったなあと。SFよりもミステリ作家として(といってもこの「見えないグリーン」しか読んでないけど)しか知りませんでした。
今回の「蒸気駆動の少年」は、そのスラデックの短編を、柳下毅一郎さんが編集、訳者の一人として大森さんが参加されています。メッチャ分厚い本に仕上がってます。

上記お三方なので、どういう話になるのかなと思ったら、個人的な予想を覆し、前半は法月綸太郎さんによる“ミステリ作家としてのジョン・スラデック”を語ってました。実は学生時代「密閉教室」「頼子のために」はものすごく大好きで、あこがれの作家さんだったのですよ。だから何を話しているかより、動いている法月さんが見られてうれしいなと。
それに対して、大森望さんは“変に凝りまくるSF作家としてのスラデック”を語り、一方の柳下毅一郎さんは“なんでも手を出しては凝りまくるスラデック”を紹介するといった形。
例えば13星座目“蜘蛛座”の証明をする占星術のトンデモ本を変名で書いていたり、推理パズル本を書いたり、はたまたUNIX用のエディタのマニュアルなど、なぜそんなものを? と思うような奇天烈なものが出てくる出てくる。

トークショーには、訳者のお一人でもある風見潤さんも飛び入り参加。客席には円城塔さんもいたらしいです。
実のところ、お三方の話を聞けて、家から持ってきた本にサインがもらえればいいや、と思っていたのですが、話を聞いているうちにものすごく読みたくなって、結局「蒸気駆動の少年」を買ってしまいました。

トークショー後のサイン会で、柳下毅一郎さんには「蒸気駆動の少年」と映画評論集「シネマ・ハント」に、大森望さんには「蒸気駆動の少年」と「文学賞メッタ斬り!」に、法月綸太郎さんには「ノーカット版 密閉教室」に、風見潤さんにも「蒸気駆動の少年」にサインをいただき、結局、手元の「蒸気駆動の少年」には、お三方のサインを書いていただきました。

ところで<奇想コレクション>にはロバート・F・ヤングの「たんぽぽ娘」が予告されていて、これをすごく楽しみに待っているんですが、はてさて、いつ出るのやら。


「蒸気駆動の少年」の読書感想はいずれ。

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2008.02.24

ライラの冒険 黄金の羅針盤

フィリップ・プルマン原作によるファンタジー小説三部作の第一作を、ニコール・キッドマン、ダニエル・クレイグなどスターを揃え、「ロード・オブ・ザ・リング」のニューラインシネマによって製作した「ライラの冒険 黄金の羅針盤」


我々の住む世界とよく似ているがもう一つの世界。そこでは人間一人一人に、寄り添う精霊“ダイモン”がいるのだった。
この世界のオックスフォード大学の学舎で暮らす少女ライラの身の回りでは、不穏な動きが出ていた。親友たちが何者かにさらわれ、叔父のアスリエル卿は冒険に出たまま失踪する。そんな中、学寮長からライラに渡されたのは“真理計”。質問をすると答えを導いてくれる道具だ。
コールター夫人に連れられ、北に向かうことになったライラだったが、行く手には危険な冒険が待ちかまえていたのだった。

「ハリー・ポッター」や「ロード・オブ・ザ・リング」の成功で、雨後の竹の子のごとく作られ続けるファンタジー映画。一昔前なんてファンタジー映画はまったく当たらなかったのにね。ジョージ・ルーカスをして「ラビリンス/魔王の迷宮」「ウィロー」とかまあ死屍累々の山だったんですが。
いまやVFXの技術向上や、ファンタジー映画の制作システムが整ったおかげか、「ナルニア国ものがたり」も「ゲド戦記」も映画化されてしまった。あ、「ゲド戦記」は違うか。

さて、今回の「ライラの冒険」も、「ロード・オブ・ザ・リング」に続くヒットシリーズを期待されてのことですが……、ううむ。
原作を読んでいないので、というか読んでいないゆえに見えてくるというか、ともかく前段で、この作品の世界観がいまいちつかみにくいんですね。
人間に寄り添うようにいる“ダイモン”が、この世界ではどうやら重要だということはわかるのですが、それがどの程度重要なことなのか、そもそもダイモン単体でどのような能力があるのかとか、いまいち伝わって来ない。他にも“ダスト”の存在や、黄金の羅針盤の重要性や、それぞれの人物相関などなど、わかったようなわからないようなもやもや感の中で物語が展開していくのです。
前段で伝わってないから、主人公たちが「大変だ、大変だ」といわれてもなあって気分になってしまい、あとは何が起きてもこっちは蚊帳の外。

2時間半は当たり前みたいになってきたところに、2時間を切る上映時間は好ましいと思うのですが、「細かいところは原作読んでね」と言わんばかりにサクサク進むのはいかがなものかと。キャストも他のファンタジー映画とかぶっているし、動物がCGで人間演技するのももう食傷気味だし、もうちょっとこの映画ならではの独自性が欲しいところ。

しかし、この映画の、あの終わり方が当たり前のように許されるのも「ロード・オブ・ザ・リング」のヒットのおかげ。これならニューラインシネマはとっととピーター・ジャクソンと手打ちして、「ホビットの冒険」を映画化したらいいんじゃないでしょうか。

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2008.02.17

潜水服は蝶の夢を見る

突然の病魔に襲われ、身体の自由を奪われてしまった男が、たった一つ自由になる左目だけで周囲と意思を疎通し、必死に生きていった姿を、自身の自伝を元に映画化した「潜水服は蝶の夢を見る」


目が覚めた。視界がおかしい。話そうとしているのに、口が動かない。身体が動かせない。どうやらここは病院らしい。身体が何の自由もきかないのだ。
「ELLE」の編集長として華々しく活躍してきたジャン=ドミニク・ボビー。しかし脳梗塞で倒れ、自分の意志で自由になるのは左目だけ。絶望するジャン。別れた妻や子供たちや父親、恋人でも、この状況を受け入れられない。ましてベッドの上にいるしかないジャン自身はなおさらだ。
そんなジャンに、瞬きで意思を疎通する方法を言語療法士が教える。それから、ジャン=ドミニクは、瞬きだけで、自伝を書くことを決意するのだった。

いや、これは凄い。主人公を演じたマチュー・アマルリックの動けない主人公の熱演も素晴らしいが、この「左目しか自由にならない主人公の世界」を撮ったヤヌス・カミンスキー(「シンドラーのリスト」「プライベート・ライアン」などの近年のスピルバーグ作品の撮影監督)の凝りに凝ったカメラワークが素晴らしい!
この映画、スピルバーグ「ミュンヘン」撮影後のスタッフがほぼそのままジュリアン・シュナーベル監督の元に集まっているので、そう言う意味で「もうひとつのミュンヘン」とも言える。

視界が狭まり、焦点も合わず、それでも残された目で見続けるジャン=ドミニクの世界にそれでも生きる人間の強さと悲しさ、ずるさ、高潔さを見事に視覚化している。まったく動くことが出来ないのに、それでもつい女性の胸元に視線をはわせてしまう主人公なんて、まずこの映画を日本で難病ものとしてやろうとしたら絶対出てこない発想ですね。

ともかくスピルバーグ作品でも見せまくるお得意の寒色系の配色や、自在なカメラワークなどカミンスキー印の爆発っぷりが素晴らしく、出だしのシークエンスなんて、多分、マチューの代わりにカメラを担いでベッドに横になって撮ったんでしょうね。
主演男優賞はマチューとヤヌスの二人で分け合うべきではないでしょうか。

という、ほとんどカミンスキー絶賛話になってしまいましたが、お話は、まごうかたなき人間讃歌。それでも人生は語るべきものがあるのです。

劇場に行くときは、ハンカチを忘れずに。
観るべし!

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本格的に映画評を復活します

昨年終わりから映画評を終える旨をおしらせしたのですが、意外にこれがストレスの溜まることになるんだということが判明。
長年の習慣というのは恐ろしいもので、映画を観ると、自動的に映画評の出だしを考え出してしまうんですね。
煙草はあっさりやめられたのに(やめてからもう2年半過ぎたな)、映画評はやめられないですよ。

というわけで、元のフォーマットで映画評を改めて書いてみたら、やっぱりこのブログの閲覧数もいいし、自分も書いていて楽しい。
結局のところ「あの作品は“観るべし”なのかどうか」を知りたいんですよね。

そんなわけで、正式にこのブログで映画評を再開することを宣言したいと思います。
今後とも、ごひいきのほどをよろしくお願いいたします。

なお、本体ホームページの復活も考えないではないのですが、やはりそこまでの更新をする時間がないんですよね。というわけで、しばらくはこのブログのみのつもりです。

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2008.02.16

第31回日本アカデミー賞結果発表!

ノミネート発表時に予想を立てた第31回日本アカデミー賞の結果が出ました。
授賞式は金曜ロードショーの枠で放映されるので、「日本で一番有名な映画賞」であることは間違いないです。(一番権威あるとか、一番価値があるとか、そういう意味ではありません)

ま、ともかく、自分の予想はこちら

で、結果は以下の通り。
メチャメチャ荒れまくりのレース結果でした。

【最優秀作品賞】『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』
【最優秀アニメーション作品賞】『鉄コン筋クリート』
【最優秀監督賞】松岡錠司『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』
【最優秀主演男優賞】吉岡秀隆『ALWAYS 続・三丁目の夕日』
【最優秀主演女優賞】樹木希林『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』
【最優秀助演男優賞】小林薫『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』
【最優秀助演女優賞】もたいまさこ『それでもボクはやってない』
【最優秀脚本賞】松尾スズキ『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』
【最優秀美術賞】部谷京子『それでもボクはやってない』
【最優秀撮影賞】蔦井孝洋『眉山 びざん』
【最優秀照明賞】疋田ヨシタケ『眉山 びざん』
【最優秀録音賞】鶴巻仁『ALWAYS 続・三丁目の夕日』
【最優秀編集賞】菊池純一『それでもボクはやってない』
【最優秀音楽賞】大島ミチル『眉山 びざん』
【最優秀外国語賞】『硫黄島からの手紙』

えーーーーーーーーーーーっ!
一見すると「東京タワー」が勝ったように見えるけど、じゃあ最優秀主演男優賞を、結婚ネタもあってホットなオダギリジョーが獲れなかったのはなぜなのか、と思うし、それも「それボク」の加瀬亮じゃなくて、「ALWAYS 続・三丁目の夕日」の吉岡秀隆って。えええっ!
ぜったい吉岡君自身「オレじゃなくて加瀬かオダジョーでしょ」と思っていたのが発表されたときの驚きようからありありと察せられました。

意外な苦戦が「それでもボクはやってない」で、最優秀助演女優賞、美術賞、編集賞という、どう判断して良いんだかよくわからないことに。

もっとも番狂わせは、最優秀アニメーション作品賞。絶対「河童とクゥの夏休み」で鉄板と思っていたら、なんとなんと「鉄コン筋クリート」。
まあ、個人的には世評ほど「クゥ」は評価していないので、結果そのものは良いんですが、予想としては外してしまったので、痛し痒し。

当たったのは、主演女優賞の樹木希林、美術賞と編集賞の「それボク」、外国語作品賞の「硫黄島からの手紙」。15分の4という惨憺たる結果でした。
チクショー、来年はもっとがんばるぞ。

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阿部勉監督台本「ドリーム探偵事務所」のご案内

山田洋次監督組のチーフ助監督として活躍され、「しあわせ家族計画」を撮られた阿部勉監督が、演劇の台本を書かれました。

主婦劇団深沢ミュージカルクラブ
第18回下北沢演劇祭参加 第13回公演「ドリーム探偵事務所」
公式サイトはこちら
作:阿部勉 演出:加藤毅
2/21(木) 14:00の回、19:00の回の二回公演。
下北沢・北沢タウンホールにて
全席自由 前売:\1,500 当日:\1,700

ご興味のある方は是非。


ちなみに、ブログの画像にしているゴン太くんが持っているDVDは、阿部勉監督が撮られたドラマ「カノン」です。

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ラスト、コーション 色|戒

あらまあ、トニーったら、いきなりそんな。


「グリーン・ディスティニー」「ブロークバック・マウンテン」などで知られるアン・リー監督の最新作は、日本占領下の上海を舞台に、抵抗活動に身を投じながら、女として目覚めていく若き女性と、その彼女に命を狙われながら、燃えさかる愛に身を焦がす男との物語「ラスト、コーション 色|戒」


女学生のワン・チアチーは、仲間から誘われ、演劇活動を行うようになる。そこでさらに仲間の抵抗活動を手伝うようになっていく。チアチーの役目は、上海を占領する日本の手先となっているイーを誘惑し、暗殺することだった。そんなチアチーをイーは心惹かれていくが、チアチーもまたイーに心惹かれていくのであった。

「ブロークバック・マウンテン」では、カウボーイ同士の同性愛を描いたアン・リー監督、今度は命を狙いあう者同士の激しい愛を描きます。
最初、タイトルを聞いたとき、「LAST CAUTION」と思っていたんですよね。違うのね、「LUST | CAUTION」、「色欲と戒め」なんですね。
主演のタン・ウェイの、だんだんと女に変貌していく姿に、アン・リー監督の力量と、主演二人の役者魂を堪能させていただきました。

あちこちで話題になっている激しいラブシーンですが、まあ久々にあれだけ盛大なぼかしを見た気が。
初老を迎えたトニーのしわがなんともリアルな男の色気を感じますなあ……って、ブロークバック・マウンテンな趣味は持ち合わせてないですが。

演技でありながら、演技であるが故に逃れられない愛の形を知ってしまった女が、素を見せるはずの仲間に対するやりきれない思い。ああ、何という悲しい女の性でございましょうか。

ともかく、2時間半の濃密な男と女の激しい情念の世界にもだえるもよし!
かつて日本映画にあったはずの世界が、純愛ブームか、ケータイ小説か、はたまた「失楽園」とか「愛の流刑地」のような形骸化したものに成り下がってしまってご不満な向きに、是非ともオススメ。
観るべし!

って、なんかいつもと文体がおかしいな。
あの仲間のうち、男がね、上川隆也とクドカンに見えてしゃーないんですわ。

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2008.02.11

L Change the World

金子修介監督の2部作で大ヒットを記録した「デスノート」の続編は、探偵役の“L”を演じた松山ケンイチを主演に、Lの死までの、残された時間で闘った最後の事件を「リング」シリーズの中田秀夫監督が描いた「L Change the World」


キラとの死闘で勝利したLだったが、自らの寿命も決まってしまった。あと23日。残された時間で、難事件を解決しようとする。しかし、そんなLの前に立ちはだかったのは、強力なウイルスを使おうとする組織との戦いだった。組織に狙われている少女と、少年を守りながら、Lは残された時間で事件を解決できるのか?

単独で観てこれが面白い訳ではないことは、正編「デスノート」のサイドストーリーである点でもあきらかではありますが、それを割り引いても結構キッチュな出来なんですよね。
基本的に松ケン劇場なので、松山ケンイチのLはもう放っておいてもいいのですが、それ以外の役者陣が他の映画じゃ観られないことをやっていて楽しい。
高嶋政伸の悪役とか、なんだか東宝の変身人間シリーズの味を感じるのは私だけ?
あと、普通だったら悪役やりそうにない、金井勇太(「十五才 学校IV」の少年ですよ)とか佐藤めぐみが悪の組織の一員ってのも、多分この映画でしか観られないでしょう。
ただ、工藤夕貴が……演技があまりにバタ臭すぎて、ハリウッドで鍛えられたのは良いんでしょうが、なんだか他の役者とのアンサンブルがかみ合っていないように思う。

後半、シリアスに向かうと思いきやコントになるとはビックリです。
いや、笑いも入れてバランスをとろうと考えているのはわかるんだけど、裏目に出てて失笑に近い笑いになっちゃうのは、作品のためにはアウトでした。

いろんなところでトゥーマッチ感漂う出来なんですが、それを言うなら「デスノート」のスピンオフっていう企画自体、トゥーマッチだからなあ。


中田監督ってホラー演出を抜くと、とたんに役者の芝居が撮れなくなっちゃうのは、いったどうしてなんだろうと思うんですよね。
ここ最近、芝居の撮れる監督の作品だからと思って観にいったら、あらまあビックリな出来の作品が続いていて、ちょっとどうしてよと思うのですが。


ただ、ばっさり切っちゃうと面白くないなと思うのは、さっきも書いたこの作品のキッチュ感が嫌いじゃないんですよね。万人にはお勧めしないけど。

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チーム・バチスタの栄光

伊坂幸太郎原作・濱田岳、瑛太主演の傑作青春ミステリ映画「アヒルと鴨のコインロッカー」の中村義洋監督監督の最新作は、「このミステリーがすごい!大賞」を受賞し、瞬く間にベストセラーとなった医療ミステリを、竹内結子、阿部寛主演で描いた「チーム・バチスタの栄光」


東城大学付属病院では、心臓外科医のスペシャリスト、桐生恭一率いる“チーム・バチスタ”による心臓のバチスタ手術を驚異の成功率で手術を行っていた。しかし、ここ最近3件、立て続けに手術を失敗し、原因を究明することになった。その調査を命じられたのが、心療内科医の田口公子であった。しかしその調査でいったんは問題なしとなったところに現れたのが、厚生労働省の役人、白鳥だった。果たして二人はこの事件を解決できるのか?

いやいや、なかなかどうして傑作ですよ。
ただし、私は原作を読んでいないので、そっちと比べての感想は今回抜きです。

脚本は今回“斉藤ひろし、蒔田光治”の二人で、中村監督は書いていないのかと思いましたが(監督が現場で直したかもしれないけどそれはわかりません)、中村監督の前作「アヒルと鴨のコインロッカー」でも見せた構成の妙とか、つい笑ってしまうユーモアあるやりとりが、実はとっても重要な複線だったり(会話のテンポとかが非常にツボにはいるようになっているんですよ。もうあと何駒ずれるとダメダメになっちゃうところを抜群のタイミングにしてますね)と、ううむ、おぬしやるな、とうならされること間違いなし。あ、これで終わりかと思ったら、もう一段ひねって、ちゃんとミステリになるし。
で、ちょっぴり社会派の影も見せてくれます。

役者陣は、非常に適材適所で、医療従事者らしく見えるよう、努力のあとが見えますね。主演の竹内結子と阿部寛は、いつもの二人の演技なんですが、安定して楽しませてくれます。阿部ちゃんは今までで一番嫌な男かもしれない。昔はさわやかなイケメン俳優だったのに、すっかり怪優になってしまったなあ。

無い物ねだりとしては、「アヒ鴨」の時は、絶対何が何でもボブ・デュランの「風に吹かれて」じゃなければならなかったけど、今回のエンディングは単にEXILEのタイアップ曲だったのが残念。でも本編中は抑制の利いた音楽処理で好感が持てました。

ともかく、全国公開のロードショー作品として、ちゃんと楽しませる作品になっているところが素晴らしい。中村監督の次回作も期待ですが、まずはなによりこの「チーム・バチスタの栄光」を観てください。
あ、「アヒルと鴨のコインロッカー」はDVDで出てますので、こちらも是非ご覧ください。


観るべし!!

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2008.02.03

結婚しようよ

「男はつらいよ」の併映作として作られた、朝原雄三監督、三宅裕司主演のホームドラマ映画「サラリーマン専科」シリーズが、「半落ち」「出口のない海」の佐々部清監督の手で復活。
今度は吉田拓郎の名曲をモチーフに、家庭を愛する父親と家族の絆の物語「結婚しようよ」


というのはウソです。
「サラ専」シリーズとは別個の映画です。
でも、「これ、寅さんの併映作です」って言われたら、十中八九誰もが納得すると思うような作品ですね。出来の良し悪しとかより、隔世遺伝化して松竹映画なのがビックリしました。
松竹は配給だけですからね、製作はシネムーブって佐々部監督のプロダクションですから。


三宅裕司演ずる石橋万作……じゃない、香取卓ですね。お父さん的には泣けると思います。
肝のシーンで三宅さんから何からみんな泣き通しで、こりゃ素でやってます。「家族を愛して働くお父さん万歳」ですよ。
実際、自分の両脇の席に、それぞれお父さんが座ってたんですが、ステレオですすり泣きでしたよ。

中ノ森BANDは数年前に新宿南口で路上ライブやってたのを見ましたね。
あれからイメージ変わったかな。


ちょっと気になったのは、「晩御飯は必ず家族一緒に食べる」というのはいいけれど、鍋率高すぎませんかね?
もうひとつ、これだけ食事シーンが重要な映画なのに、みんな盛大に音立てて食べるんですよね。ぐい飲みで杯を重ねるのも音立てるし、あんな可愛らしい娘さん(天花ちゃんですね)が、バリバリに音立ててそばを啜るのはいかがなものかと。
正直、MAやり直してくれという気持ちがしました。

ということを気にするだけ、自分もおっさん化してるのかしらん。

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