ノーカントリー
コーエン兄弟の新作は、コーマック・マッカーシーの犯罪小説「血と暴力の国」を原作に、大金を手に入れた男とそれを追う非情な殺し屋、この事件を追う老いた保安官が織りなすクライムサスペンスにして、第80回アカデミー作品賞を受賞した「ノーカントリー」。
1980年、テキサス。国境近くの荒野で、モスは数台の車が止まっているのを見つける。そこにあったのは銃撃戦のあとで死体となった男たち。車には大量のヘロインと200万ドルの現金。モスは金を奪うが、それを追って来たのは、酸素ボンベを武器にして、コインの裏表で殺しを決める不気味な男アントン・シガー。そしてこの事件を知り、モスを探す老保安官ベル。しかし、逃げるモスと追うシガーの行く手には、血で血を洗う地獄の道となっていくのだった。
コーエン兄弟、相変わらず完成度の高い作品作りをしますなあ。
アカデミー助演男優賞を獲ったハビエル・バルデスの怪演も見事ですが、作品全体を覆う、荒涼たるアメリカの描き方が、コーエン兄弟以外にはとても真似の出来るものではありません。
実をいうと、コーエン兄弟は上手いとは思うものの、そんなに個人的に相性が良いと思えず、気がついてみると劇場で観たのがなんと「ファーゴ」以来! そんなにご無沙汰していたのね。
今回は原作つきとはいえ、B級ジャンルの題材を独特の間で描くコーエン節は健在。意味があるんだか無いんだかよくわからない殺し屋の台詞や、唐突に起こるアクションなど、さらに洗練されているなあと思います。
テキサスと言えば、チェーンソーを振り回すレザーフェイスが有名ですが、こちらは酸素ボンベで人殺しをするという、よくよく考えるとふざけた話で、コーエン兄弟のオフビートな笑いとサスペンスは紙一重なのです。ともかくべらぼうに上手い。
と、じゃあ好きかって訊かれると……、うーんまあやっぱりそんなに自分の好みとは違うなあと。コーエン兄弟の手がけるネタって、基本的に好きなネタばかりなのね。逆にそのせいかもしれないけど、それぞれの処理や展開のさせ方がなんか自分の肌と違うなあと思うところが端々に。
ま、私もオールラウンドではないので、納得のいかない方は、絶賛されている他の方の感想を参考にしてくださいまし。
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