相棒 −劇場版−
「ミナサン コンニチハ スティーブン・スピルバーグ デス」
「コンニチハ ジョージ・ルーカス デス」
「オマタセシマシタ タノシンデ クダサーイ」
え、こっちの相棒じゃなく?
土曜ワイド劇場の二時間推理ドラマから出発し、人気テレビシリーズとなった刑事ドラマが、満を持しての劇場版として登場。「相棒 −劇場版−」。
警視庁の窓際部署 特命係。そこに所属する杉下右京と亀山薫。これまで数々の難事件を解決してきた二人の前に、不可解な殺人事件が起きる。右京の推理から連続殺人の可能性を見いだし、ついにSNSサイトで処刑扱いされた被害者たちであったことがわかる。その連続殺人は、東京を走るマラソン大会を狙った爆破事件へと発展するが、その真の狙いは、驚くべきものだった。
ようやくここまでたどり着いたか。
というのは、「相棒」が土曜ワイド劇場の二時間ドラマからシリーズ化、そして劇場映画に発展したことを言っているのではない。
個人的には、テレビ版をたまに観て、なかなかトリッキーな構成をするなあと感心するぐらいで、特に大ファンというわけではない。
そうではなくて、明らかにこの劇場版「相棒」は、警察ドラマを使って、どうやって東京を、日本を描くか、ということの一応の通過点の作品なのだ。
いや、もっとわかりやすく言おう。この作品は「機動警察パトレイバー」を実写映画化するという夢の、この20年の苦闘の里程標なのだ。
押井守が監督したアニメ「機動警察パトレイバー the Movie」「機動警察パトレイバー2 the Movie」は、現代の東京を舞台に、エンターテインメントとして成立させてみせた作品だった。その綿密なロケーションと、現代の東京が抱える問題を、ロボットアクションと警察ドラマの醍醐味を織り交ぜたこの高い到達点は、多くの刺激を作り手に与えた。
その直接の影響を受けて作られたのが「踊る大捜査線」であり、人物の配置といい、「ロボットアクションのないパトレイバー」に仕立てあげた。
この「相棒」もまたトリッキーな推理ドラマとしての構成と、名探偵コンビという枠組みを使いつつ、「踊る大捜査線」がその専売特許のごとく見せた組織の縦構造の矛盾も描いていく。そして、「踊る大捜査線2」が「レインボーブリッジ封鎖」が見せ場なら、こっちは東京マラソンだ! とばかりにクライマックスにも力を入れている。
もちろん、トリッキーな推理のどんでん返しを狙うあまり、探偵役の右京がいなかったら成立しない無意味なトリックの連続であったり、真犯人の真の目的が成立しない可能性もあったはずなのだというところが不問にふされていたりする。
しかし、その無理を押してでも、描こうとした真相はなかなかに骨太であり、エンターテインメントの枠からすれば大きすぎるその意気を買っても良いのではないだろうか。
真の敵とは、この日本の有り様そのもの。それこそが、押井守が「機動警察パトレイバー」で描いたものであり、この「相棒」もその直系の子孫なのだ。
と、固いところはともかく、キャストも実はサブレギュラーキャラの目白押し。個人的には六角精児演ずる米沢守の見せ場が多くて良かったなと。
ストーリーも穴だらけではあるけれど、そこもまた愛嬌かと。
観るべし。
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