« September 2008 | Main | November 2008 »

October 2008

シネマ歌舞伎「人情噺 文七元結」

三遊亭円朝の人情噺から歌舞伎の演目となった「文七元結」を、「男はつらいよ」の山田洋次監督の手で台本の補綴と演出が行われ、中村勘三郎主演の世話物として行われた舞台を、HDカメラで撮影し「シネマ歌舞伎」となった、山田洋次監督最新作「人情噺 文七元結」


酒と博打に明け暮れる左官の長兵衛。家に帰ると、妻のお兼がひとりで泣いていた。訳を聞くと娘のお久が昨日から家に帰っていないという。さて一大事とおろおろとしていると、吉原の大籬である角海老の手代、藤助が訪ねてきた。娘のお久は、手前のところにいるという。引き取りに角海老にいった長兵衛は、お久から「自分の身を売って、その金で借金を返して真人間になって欲しい」と言われる。角海老の女房、お駒からも諭され、お久と引き替えに五十両の金を持って帰ることにした。ところがその帰り道、大川の袂で身投げをしようとした若者と出会った。その若者の身の上を聞いて、長兵衛が行ったこととは。

どこを切っても山田喜劇。

不勉強にして、「文七元結」は落語をラジオかなにかで1回か2回聴いただけ(志ん朝だったか小三治だったか)で、歌舞伎の演目になっていることなどさっぱり知らず。いやはや恥ずかしい。
今回は、舞台を撮影しているとはいえ、高解像度のHDカメラ撮影と、映画館の大スクリーンで観るおかげで、舞台収録のテレビ放映とは違って、臨場感満点。勘三郎の演技に、拍手やかけ声をかけたくなります。

中村勘三郎は、自分の世界に山田洋次監督を引き込みつつも、勝手知ったる舞台の上を泳ぎ切り、生き生きとした表情を見せてくれます。それをちゃんと欲しいところのアップで撮って見せてくれているところこそ、山田監督の面目躍如、シネマ歌舞伎のありがたいところです。

山田監督が台本を改訂しているそうですが、なにせ上記の通り元の話をうろ覚えな状態なので、どこがどう違っているか詳しくわかっていないのですが、大詰の長兵衛の家での、一堂勢揃いのところのやりとりは、まさしくとらやの寅さんを中心としたあのやりとりそっくり、いや山田監督の作品群が落語の影響を受けているわけですから、これこそ本卦還り。

長兵衛がとかくゆるくて、周りの状況がわかっていないというところの呼吸が抜群で、おかげでクライマックスのズレと大団円が二重に盛り上がるんです。
そう、大団円と書きましたけれど、近年の映画だとこうも綺麗に大団円は迎えられないわけです。なんかじみーにしみじみ終わっちゃう。
ところがこの舞台、大団円も大団円、落語のオチより十倍ものハッピーエンドで幕を下ろしてくれます。これも「舞台だから」というエクスキューズのおかげですかね。

生の舞台を観た方がいいことは百も承知、でも値段も時間も融通が利きつつ、舞台と映画の良いところ取りのこの「文七元結」をお楽しみください。

次回は映画で山田洋次監督と勘三郎のタッグを観てみたいなあ。


と、いうことを、志ん朝のCDを買ってきて聴きながら書いているんですがね、いやあ、面白すぎますわ。というオチで良いのか?

| | Comments (0) | TrackBack (0)

イーグル・アイ

浜ホト、万歳!

スピルバーグ製作、シャイア・ラブーフ主演、D.J.カルーソ監督で描く、国家の巨大な謎に迫るサスペンス「イーグル・アイ」

ジェリーはコピー店で働く貧しい青年。ある日双子の兄が亡くなり、久々に実家に戻るが、父親との折り合いは悪かった。実家に戻るつもりはない。
自分の部屋に戻ると、いろいろな荷物が届いていた。それが武器や弾薬、偽造パスポート。訳もわからずにいるとジェリーの携帯が鳴り、女の声で命令を受けた。「FBIがやってくる、30秒以内に逃げなさい」何のことかわからずにいると、FBIが突入して拘束される。いったいジェリーの身に何が起きたのか?

アホ。
いやあ、アホやねえ。
ヒッチコック調巻き込まれサスペンスの現代版を狙ったのはわかるんですが、今やってみたら、ツッコミどころが満載過ぎてバカバカしいなあと。
ヒッチコックの場合、そのバカバカしさをユーモアに転化させたりすることで、あのヒッチタッチを成立させているわけだけど、それがなくてシリアスでしかもマジに「あの映画のあのシーン」を持ってきたら、アホなだけですよ。

ある秘密の存在の正体がわかってからは、ああそういうことかと。これを、ネット社会の恐怖とか行きすぎた管理体制への抵抗というのものなあ。
一気にバカまっしぐらなんだと思うけどな。
あ、でも本家だって基本は政治サスペンスだったりするから、そこは正しいのか。

ヒロインの方は息子をとられているからまだしも、主人公が巻き込まれてそれでも言うことを聞いて行動するのに、ちょっと押しが弱いような気がするのね。
親に反発して、家を出て、貧乏旅行してアラスカ行ったんでしょ(ちょっと前にこの話観たぞ)、そういう青年が携帯で命令されて言うこと聞くかな。ここは脚本が弱いと思う。


いやあ、それにしても、てんこ盛りであちこちの映画からシーンを持ってきて、久々に学生映画やデ・パルマ作品の「うわー、あの映画のあれ持ってきちゃったよ」という観てるこっちが恥ずかしい気持ちがよみがえる作品でした。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

ブーリン家の姉妹

イングランドの女王エリザベス1世を産んだアン・ブーリンと、その妹メアリーと、王ヘンリー8世の愛憎劇を、ナタリー・ポートマン、スカーレット・ヨハンソン、エリック・バナといった若手実力派俳優を揃えて描いた「ブーリン家の姉妹」

16世紀のイングランド。王ヘンリー8世の王妃キャサリンとの間には、世継ぎとなる男子が産まれていなかった。これを出世のチャンスと考えたブーリン家では、娘の長女アンを王を近づけ、寵愛を受けるよう差し向ける。しかし王の心をつかんだのは、アンではなく、次女で結婚したばかりのメアリーだった。アンとメアリーは、姉妹の愛と王への愛との中で、愛憎渦巻く宮廷に入るのだが……。

このイングランド王室の物語もそうだけど、日本だって「篤姫」のヒットが物語るように、洋の東西にかかわらず、宮廷ものや王室ものは、人々の心を捉えて離さないものです。
だからナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソンがどーしたこうしたというけれど、要するに宮崎あおいと堀北真希とどう違うんだと。

ベタベタな愛憎劇とあからさまなツンデレ演技が、実力派ポートマンの力を持ってすれば……と思うけど、よくよく考えれば、エリザベス1世は産むは、ルークとレイアを産むは、しかもやっぱり旦那運はないわって、つくづく昔々から遙か銀河の彼方まで、運のない人よ。いや待て、元々アンタが問題なんじゃん。(笑)

一方、スカーレット・ヨハンソンがまるでカサカサな干物みたいなキャラで、あらどうしたのと。ウディ・アレン作品だと、スケベ親父の視線にさらされて、はち切れんばかりのムチムチぶりなのにね。

監督はテレビドラマ出身だそうで、そういわれてみれば、メアリーが出産している横で、王がアンを口説いててそれにツンツンしてるって、これは「劇場版 大奥」ですかと思うわかりやすさです。だから史実とあれこれ違うとかいうのはナンセンス。お客が観たいのは、ドロドロいっぱいの女の戦いでしょ。だからこれは「劇場版 大奥」なんだってばさ。

そんなわけで、2時間のイギリス王室宮廷劇としては、悩むところはひとつもなく、充分楽しめます。特にナタリー・ポートマンのツンデレにデレデレしたい人は必見です。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

DVD「Perfume First Tour『GAME』」

St330069
最近、忙しくて映画館に行けない分、家でDVDをながら観してるんですが、これはちゃんとばっちり正座して観ました。(ちょっとウソ)

今年のPerfumeのライブツアーを収録したライブDVD「Perfume First Tour『GAME』」が出ましたよ!
行けなかったからねえ、ちょっとうれしいですよ。江戸の仇を長崎で討つ、ってなもんです。

収録されているのは、ツアーのうち、Zepp Tokyoのライブと、Zepp YOKOHAMA(アンコール)が収録。
巻頭、ツアータイトルでもあり、アルバムタイトルの「GAME」から、ジャケット衣装に身を包み現れたPerfume。泣くね、もういきなり来ますね。

アルバム「GAME」は普通に聴いても捨て曲がないので、あまりに強烈すぎて一時期中毒化して聴いていたけど、あれをライブでやれるって凄すぎるなあ。ただただ感動ですよ。
しかも後半の「ポリリズム」「チョコレイト・ディスコ」「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」「ジェニーはご機嫌ななめ」「Perfume」のノンストップでの怒濤の展開に涙せずにはいられません。
特に「チョコレイト・ディスコ」で最後のサビ前に、湯煎したチョコレイトを混ぜるアクションがあるんですけど、あれが好きで好きで、PVでもあらゆるライブ映像でも、何度観てもたまらなくかわいいなあと思うんですよね。

でも、でもですよ!
やっとそんなPerfumeライブ未体験にもいよいよ終止符がうたれるときがきました。
武道館ライブのチケットが……、キターーーーーーーーーーー!!!!!!!
ようやく手に入れたんですぜ。11/7、ああ、楽しみだ! 待ち遠しい!
つ、ついに、生ですよ、なま。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

DVD「エターナル・サンシャイン」

「僕らのミライへ逆回転」のミッシェル・ゴンドリー監督のヒット作「エターナル・サンシャイン」を久々にDVDで観ました。

ジョエル(ジム・キャリー)は、仕事をサボっていつもと逆方向の電車に乗る。そこで出会ったのは、髪を不思議な色で染めたクレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)。互いを知らない二人はまるで互いを深く知っているかのように意気投合する。二人はジョエルの家に泊まることにしたが、そこで見知らぬ青年から声をかけられる。実はジョエルとクレメンタインの二人には、重大な秘密があった。二人の時間をさかのぼると……。

いつの間にかこの作品、ラブストーリーの定番にまでなっていますね。TSUTAYAでDVDを借りたらラブストーリーの棚で第一位に並べられていたし。失恋の痛みを「記憶を人為的に消す」という方法で描いたラブストーリーが、テーマ的にわかりやすいし映像的にも凝っているし、観て満足できると思います。

時系列をシャッフルさせる(タランティーノ作品あたりが近年の流行を作った)のと、記憶を断片的に描く(「メメント」あたりから始まったといえる)という最近のトレンドの組み合わせから、ストーリー展開がとっても緻密に計算されているんですね。脚本を書いた「マルコビッチの穴」のチャーリー・カウフマンの絶頂期の仕事といえます。

でも、再見してみたら、フムフムなるほど、と思うものの、なんかね、ちょっと合わない感じがあるんですよ。
ひとつは、ゴンドリーの脚本に対する演出の忠実さが、なんとなく窮屈さを感じるんですよね。いや、演出としてはそれで正解なんですよ。でも、後年の「恋愛睡眠のすすめ」「僕らのミライへ逆回転」の奔放さは、ここでは開花しておらず、鳴りを潜めていると思います。

もうひとつは、主役を演じたジム・キャリーと、ケイト・ウィンスレットの演技が、上手いんだけど重いんですよ。とくにこの映画のヒロインは、髪を奇抜に染めて周囲を相手に奔放に振る舞う(けどとても繊細な)ヒロインなので、ケイトの普段やっている「自分の運命に立ち向かう女」とはまさしく毛色が違う。
どっちかというとこの映画の脇に出ていたイライジャ・ウッドとキルスティン・ダンストと役を入れ替えた方が合うんじゃないかと思いますね。
ただ、当時のスターとしてのランクからすると、ケイト・ウィンスレットなんでしょう。

次作「恋愛睡眠のすすめ」が、ゴンドリー単独脚本になり、シャルロット・ゲンズブールという、肉感的なケイト・ウィンスレットとは真逆なヒロイン、奔放かつ手作り美術のビジュアルによる夢の表現など、ある意味「エターナル・サンシャイン」のリベンジのように観てしまうのはうがちすぎでしょうか。

正直、「恋愛睡眠のすすめ」を観たとき、こんなに自分の欲望に忠実でいいのかとちょっと驚き、でもそのストレートさに感動したんですよね。
だから世間では「エターナル・サンシャイン」は良くって、近作「恋愛睡眠のすすめ」「僕らのミライへ逆回転」の方は駄目、っていう声はよくわかると共に、でも最近の方が本来のゴンドリーでしょうとこちらを支持したい気分なんですよね。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

DVD「月世界の女」

過去の宇宙映画再見シリーズ。
Photo

今回はずずずっとさかのぼって、フリッツ・ラング監督のサイレント映画「月世界の女」。1929年の製作だから「メトロポリス」のあとということになります。脚本は妻のテア・フォン・ハルボウの単独クレジット。(他の映画はたいていラングとの共作になっている)

青年ヘリオスは、恩師であるマンフェルト博士を訪ねた。博士は国際天文学会で「月に金鉱がある」と発表し大勢の笑いものになって、いまは赤貧の身にやつしていた。ヘリオスはマンフェルト博士に、ロケットで月へ行き、博士の説の正しさを証明することを宣言する。ところが、何者かがヘリオス達を襲い、博士の論文を奪う。一方、ヘリオスの友人ヴィンデガーと婚約者フリーデもヘリオスに協力を申し出るが、ヘリオスはフリーデに隠せぬ想いを寄せていたのだった。

2時間40分という上映時間の中で、ラブロマンスや国際謀略を織り交ぜ、ロケットが出てくるまでの展開が長い長い。
もちろん、本格的月旅行映画として観るべきところは多々あって、格納庫から月ロケットが出てきて、打ち上げ用のプールに一旦沈められ(なぜ?)るワンダバな映像は一件の価値あり。
特に、映像として「打ち上げのカウントダウン」を初めて描いた映画としても有名で、なにせサイレントですから、字幕で数字がカウントダウンする様は、格好いいですね。
あと、宇宙空間を飛んでいる途中、無重力状態を表現するのに、ワインが水の球になるとか、振り返って地球を見ると地球の向こうから日の出が見える荘厳なシーンなど、なかなか気が利いてます。

ところが、月にたどり着いてからの展開では、月に空気があって登場人物は空気のある月面上を行き来します。ううむ。


この映画は、ロケット開発史の重要人物、ヘルマン・オーベルトが協力していて、ラングは実際にオーベルトに有人ロケットを作って打ち上げて欲しいと言ったとか(完璧主義者のラングならいいそうだ)、それが無理なら話題作りのために公開初日にロケットを打ち上げてくれと言ったらしい。
ところがその当時のオーベルトは、ドイツ宇宙旅行協会の会長とはいえ、一介の高校数学教師。ロケットを実作する能力はなかったのです。
その後、高校を出たばかりのフォン・ブラウンがオーベルトの弟子になり、やがてナチスドイツの力を得てV2ロケットを開発した、というのは、ロケット開発史の悲しい暗黒面ではあるのですが。

ラングはこの映画の後、初のトーキー映画「M」という傑作サスペンス映画を撮りますが、ナチスの台頭によりドイツからハリウッドに拠点を移します。(ラングはユダヤ系)


DVDには、特典映像としてこの映画の10分程度のメイキングがついていて、それを観ると、ヘルマン・オーベルトが出てきて当時のことを語るんですよ。えーっ! と思いましたけど、オーベルトって、亡くなったのが1989年なんですね。


ところで、この映画を観ながら、なんかデジャブ感に襲われるんですね。何でだろうと思っていたら、キャクターの演技や衣装の感じや演出が、手塚治虫の初期作品に似ているんですよ。いや逆だ。ラングの映画に手塚マンガが似ている訳です。
特に有名な初期三部作の一作「ロスト・ワールド」のラストの展開と、この「月世界の女」のラストがそっくり。
きっと若き手塚少年はこの映画を観て影響を受けたに違いない! と思って、手元の石上三登志「手塚治虫の時代」を引っ張り出して、石上さんと手塚先生による、昔のSF映画についての対談を読んだら、

手塚 見てないんですよ。(後略)


ありゃ。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

DVD「2010年」

過去の宇宙映画再見シリーズ

前回の「カプリコン・1」に続き、同じくピーター・ハイアムズ監督の「2010年」。言わずとしれたアーサー・C・クラーク原作、スタンリー・キューブリックの不朽の名作「2001年宇宙の旅」の続編。

「カプリコン・1」の時に書いたとおり、アポロ計画の宇宙飛行士と同じように宇宙へ行くことは誰も出来ません。誰もが知っているはずなのに、追体験が出来ないということと、国家の神話が崩壊したこともあいまって、現在も続く陰謀論を背景に「カプリコン・1」のリアリティは成立しています。

しかし、追体験出来ないがゆえに、「体験する」映画としての「2001年宇宙の旅」が存在したのです。
アポロ11号の月着陸の前年1968年に公開された「2001年宇宙の旅」が、キューブリックの緻密なリサーチと、ダグラス・トランブルらによる特撮などの妥協なき映像作りから生み出された宇宙表現でありながら、そこからわかりやすい説明と演出を省いたために、リアリティを逆に補完する形になっているわけです。つまり「意味わかんないけど、なんかすごい」という感想を抱くのです。

特に、当時ドラッグをやっていた若者たちが、クライマックスでボーマンの主観となるスリットスキャンを、トリップ映像として「体験」しにいったというのは有名ですが、そういった話が伝説化したり、いまだにこの映画のストーリーを解説する評論が何度も出たりするということは、キューブリックが仕掛けた「わかりやすさの放棄」の成功といえます。
(キューブリックの映画は、血が通った感じがしないというのはありますが、他の映画を観て「2001年~」ほど、ストーリーがわかりにくいと感じるものはありません)

そんな体験する神話としての「2001年宇宙の旅」を、改めてわかりやすく描き直し、追体験をしてみせたのがこの「2010年」です。

ディスカバリー号の事故から9年。ディスカバリー計画の責任者だったフロイド博士は、ソ連からの誘いを受け、HAL9000の開発者であるチャンドラ博士らと共に、レオノフ号で、木星とイオのラグランジュポイントにいるディスカバリー号を目指す。そこで見たのは……。

「2001年宇宙の旅」の難解さはどこへやら、当時の米ソの冷戦状況を背景に、HAL9000の暴走の原因も、モノリスの存在も、ボーマン船長のスターチャイルド化も、すべてがきっちりと描かれます。描かれてみると、「なんだそういうことか」と「2001年」の持っていたマジックが消えてしまうかと思いきや、逆に偉大なるオリジナルのすばらしさがもっと輝いてくるのです。
ほぼセット撮影で作り上げられた「2001年宇宙の旅」に対して、ホワイトハウスでロケまでした「2010年」が、なんだか鮮度が良すぎて、あっさり腐ってしまいました。それもオリジナルの輝きを補強しているようです。

アポロ11号の月着陸は覚えていても、2回目以降は覚えていないのが人間というもの。アポロ12号の宇宙飛行士達の名前を覚えている人はどれだけいるでしょう。でも彼らがずっと続けば、果たして月はもっと近づいていたのかもしれません。

孤高の神話として存在した「2001年宇宙の旅」を、一度解体してみせたサブテキストとしての「2010年」の意義は永遠に変わらないでしょう。アポロ12号の船長ピート・コンラッドみたいに、「アームストロングだけじゃないぜ。オレだって月へ行ったんだぜ!」って叫んでいるようですが。


しかし、そういうこととは別にして、「2001年宇宙の旅」の続編を撮る、ってだけで映画史的に負け戦なのに、製作・脚本・撮影・監督までやったピーター・ハイアムズって、あらゆる意味で「男」だねえ。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

【傑作!】「僕らのミライへ逆回転」を観るべし!

素晴らしい! 素晴らしすぎる!

「エターナル・サンシャイン」「恋愛睡眠のすすめ」のミッシェル・ゴンドリー監督最新作は、ニュージャージーの街角のオンボロレンタルビデオ店を舞台に、苦し紛れで作った素人リメイク映画が街の評判になるコメディをジャック・ブラック主演で描く「僕らのミライへ逆回転」


ニュージャージーの街角にあるレンタルビデオ店“Be kind Rewind”。いまだVHSしか置いていないこの店を、店員のマイクは愛していた。なぜならこの家は、伝説のジャズ・ピアニスト、ファッツ・ウォーラーの生家だ、という店長の言葉を誇りに思っていたからだ。マイクは廃品回収をやっている友人ジェリーといつもつるんでいるが、人騒がせなジェリーを店長は快く思っていない。ある時、店長がマイクに留守を頼んだが、ジェリーを店に入れないよう言い残す。
はたして店長の不安は的中する。店中のVHSが、強力な磁気を帯びて映像が消えてしまった。それもジェリーのせいだった。ジェリーは何を考えたか、発電所を破壊しようとして身体に磁気を帯びたのだ。
そこに老女が「ゴーストバスターズ」を借りにきた。二人は苦し紛れに思いつく。そうだ、自分たちで映画を手作りしてしまおう、と。果たして彼らの思いつきは成功するのか?

大傑作! 前半で大爆笑、後半でボロ泣きさせられ、ゴンドリーにここまでしてやられるとは。映画好きを名乗ってて、これが面白くないってヤツは、おそらくいないでしょう。え、そうでもなかった? そんなヤツは豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ!

「有名映画を手作りでリメイクする」というアイデアがとてもユニーク。「ゴーストバスターズ」「ラッシュアワー2」「ロボコップ」などが廃品の衣装と美術で再現されるのを目にするだけでも楽しい映画です。
大型レンタルDVDショップには、明るく綺麗な清潔感はあるけれど、観たいものは何もなく、当たり障りのない内容のコメディと爆発爆発また爆発の大作アクション映画のDVDがずらりと棚を占領しているのです。
苦し紛れに作ったはずの素人ビデオ(スウェーデン製)にみんなが喜ぶのも、最近の大作CG映画では失ってしまった「作り手が工夫しながら作ったものを、観客が想像力を働かせながら観る」共犯関係を取り戻していくからなのです。
そんな関係を通してこの映画で見えてくるのは、都会でありながら進歩を失った街の様子と、そこに生きる人々の希望と再生の物語。そしてそれを一旦味わうと、今度は自分も作る方にまわってこの幸福な再生の回転はふくらむのです。つまり映画を作り観るということはまさしく、自分たちの街を作ることになるのです。観たい映画がないなら作る、街の歴史を失うのなら作ってしまえばいい。ああ、なんという素晴らしいことよ!

ゴンドリーは自分で脚本を書くようになってから、かつてのチャーリー・カウフマン脚本の「ヒューマン・ネイチュア」「エターナル・サンシャイン」のころよりずっと素直でセンチメンタルなんですよ。甘いといえば甘いんだけど、前作「恋愛睡眠のすすめ」も含め、そこが私の好みですね。今回も、クライマックスに向けての展開は甘いです。でもそれがいいんですよ!

ジャック・ブラックがいつものキレっぷりを発揮しますが、この下町の物語がなんだか寅さんの併映作みたいな添え物ぽさを醸し出していていいですね。
あ、ジャック・ブラックって、ハナ肇→渥美清→西田敏行のラインにきっちり沿ってますね。だからなおのことこの映画が好みだってことかもしれないけれど。

ドリフのメンバーとかでやればじつにぴったり。ジャック・ブラック=加藤茶、モス・デフ=志村けん、ダニー・グローヴァー=いかりや長介、廃品回収のおじいさん=荒井注、市役所の人=仲本工事、クリーニング屋の娘=長山藍子、シガニー・ウィーヴァー=倍賞美津子、ミア・ファーロー=曽我町子。
伝説のピアニスト=石橋エータロー&桜井センリ。
タイトルはもちろん「ビデオ屋さんだよ全員集合!!」(←「僕らのミライへ逆回転」よりよっぽど内容にあってます)。

ジャック・ブラック達の作るスウェーデン製映画に映画オタクの笑いを爆発させるもよし、実は下町人情話に涙するもよし、ともかく今年期待イチオシだったこの一本、期待に違わぬ面白さです。

シネマライズでやってるのに、全然お客が入っていないのはどうしたことか。やっぱり邦題が外したよ、これ。

あなたが映画好きなら、見逃してはいけない一作です。

観るべし! 観るべし! 観るべし!

| | Comments (0) | TrackBack (1)

DVD「カプリコン・1」

過去の宇宙映画再見シリーズ。

今回は、ピーター・ハイアムズ監督の「カプリコン・1」。

初の有人火星探査宇宙船カプリコン・1の打ち上げ直前、乗り込んでいた宇宙飛行士3人は、総責任者であるケロウェイ博士から下船するよう命令を受け、そのまま誰も知らない荒野の中にある陸軍基地に連れて行かれる。
博士から打ち明けられた事実。宇宙船に欠陥が発見され、そのままでは宇宙飛行士達は死んでしまう。しかし、打ち上げを中止することは、宇宙開発への厳しい予算削減に拍車がかかることになる。そこで宇宙飛行士たちは基地に組まれたセットで火星への探査を撮影して、管制センターとの実況にして、あたかも火星探査が成功しているように見せかけようとしたのだ。
断れば家族の命の保証がないと脅された宇宙飛行士達は、火星探査を演技することになったのだが。

火星探査となっているけれど、サターンVロケットや、宇宙船や宇宙服のデザインなどは、アポロ計画そのまま。なんでもNASAは最初この映画の協力をしていたらしいけれど、途中で映画の内容がわかったら協力を拒否したらしい。まあわからないでもないけれど、そういうところも、ずっと言われてきた「本当はアポロ計画で人類は月に行ってない」という陰謀論に繋がるのです。

そう、この映画はハイアムズのきびきびしたサスペンス演出もあって一級のサスペンス映画になっていますが、荒唐無稽ともいえるこの話がリアリティを感じるのは、「政府はウソをついている」という私たちが常に抱いている気分なのです。
アポロ計画はアメリカ合衆国の威信をかけ、しかもこれまでにないほど情報がオープンにされているにもかかわらず、それでも陰謀論は消えないのです。

ハイアムズは、今作の企画のモチーフとして、自分が報道カメラマンとしてベトナム戦争を取材したときに、政府が言っているベトナム戦争の意義と、実際の兵士達の言葉から浮かび上がるベトナム戦争の実体に、あまりに乖離がありすぎることや、当時起きたウォーター・ゲート事件などの時代背景もあって、この映画を企画したのでした。

考えてみれば、エベレストはヒラリー卿が登頂が成功してからあと、幾多の人が同じように登頂することが出来ます。北極点も南極点も、ナイル川の源流だってそうです。

でも、月到達は違います。だれもがアームストロング船長の「最初の一歩」を知っていながら、それを実際に体験することは出来ません。みんなが知っているのはブラウン管の中の出来事なのです。それは再検証が出来ません。アームストロング船長の足跡を確かめに行くことは出来ないのです。
つまり、テレビの映像がリアルでありさえすればそれが事実になってしまうという価値の転倒が起きてしまう。そこに私たちはいま見ているものが本物なのかどうかという不安を抱くのです。

この価値の転倒を大きくすると、我々が生きている世界そのものが、作られた世界であるというまさに「マトリックス」へと続くのです。
まさしくこの「カプリコン・1」の精神はSF映画なんです。

この映画のwikipediaの記述が「SF作品ではない」なんて書いてますが、そりゃ違うって。

では、神話を再度体験することが出来たとしたら、そこにあるのはなにか、それがハイアムズの「2010年」のテーマなのです。そう、偉大なる「2001年宇宙の旅」という神話を再検証に行く物語なのです。
(「2010年」に続く)

| | Comments (0) | TrackBack (0)

DVD「月世界征服」

来月のあるイベントのためにいろいろ古い宇宙映画を観ているのですが、ジョージ・パル製作、ロバート・A・ハインラインの原作・脚本・監修による「月世界征服」がこのタイミングでDVDが出たので観ました。

セイアー将軍の指揮の下、月ロケットの開発を行うカーグレイブス博士。しかし実験はうまくいかず、軍の開発はストップする。そこで実業家を巻き込んで、原子力ロケットを開発する。いよいよ打ち上げというときに当局の横槍が入り……。

ハインラインの「宇宙船ガリレオ号」を原作に、大人向けにリライトされたストーリー。1950年製作というからアポロ11号(1969年)はもちろん、スプートニク1号の打ち上げ(1957年)よりもはるか前。
だから宇宙遊泳の宙吊り演技も、この当時、よくぞここまでリアルにやったなと感心する。

打ち上げ時の高Gの表現や、窓の向こうの画をトラックバックしての移動表現、月面上での1/6Gでの表現など、出来る限りリアルに、という製作者側の一生懸命さが伝わってきます。


創元SF文庫でアンソロジー「地球の静止する日」に、ハインラインによるノベライズ「月世界征服」とその撮影エッセイがあるので、興味のある方はそちらを読んでみてはいかがでしょうか。
実はその中に収録されている「地球の静止する日」の原作が、映画と違うオチでビックリです。ええっ、そんな話だったの!?


この映画の成功で、ジョージ・パルは「地球最後の日」,「宇宙戦争」や「タイム・マシン」などを製作し、50年代SF映画を席巻するのですが、それはまた今度。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

イキガミ

間瀬元朗の人気マンガを、松田翔太主演、滝本智行監督によって映画化された「イキガミ」


この国では、一部の若者の死によって大多数の国民に死の恐怖と生の喜びをもたらし、国家に秩序をもたらす国家繁栄維持法という法律が存在していた。それは小学校入学時に行われる予防注射にランダムに入ったナノカプセルによって、18歳から24歳のいずれかの時期に死をもたらされることになっていた。厚生保健省の職員である藤本はその死亡予定者に、24時間前に通知書、通称“逝紙”を渡すことが仕事だった。藤本の手からイキガミを受け取った三人の若者の、最期の24時間は?

なんだか不思議な映画。明らかなディストピア映画であるにもかかわらず、制作者たちは、この3人のイキガミを受け取った若者の最期の死を、感動的に描いて、泣かせようと思っていることは明らかなわけです。でも、そこで泣いて「私も最期の24時間をどう生きたらいいんだろう?」なんて観客に考えさせようとしているところで、この国家繁栄維持法が支配する世界を結果的に肯定させちゃうわけです。それってヘンじゃない?

古今東西、ディストピア映画ってのは「1984年」でも「華氏451度」でも、その世界の打倒もしくは脱出(もしくはその挫折)をテーマにしているんだけど、主人公が抵抗することなく違和感だけで結果的に肯定してしまうというオチは観たことがありません。
いや、ラストは、なんとか感動物語で終わる話にならないようギリギリのところをやっているってことはわからないではないんですけどね。あれを作家的抵抗と考えるにはなあ。

どこまで作り手が自覚的なのか知りませんが、この物語が、平等に死をもたらす物語に、まったくなっていないところが嫌なんですよ。
だって、三人のイキガミを受け取る人物が、無名のミュージシャン、引きこもり、美人の妹のさくらがいるヤクザな兄貴(笑)、でしょ。
なんで普通のサラリーマンをやっている若者や、何の罪もない少女とかじゃなかったんでしょうか? 
「お前らみたいなのは、物語の感動のために死ぬぐらいしか役に立たない」って思っていることが丸わかりですよ。
(原作マンガは不勉強にして読んでいません。だから上に挙げたような、何の罪もない少女が死んだりって話があるのかもしれません。ただ、今回の映画にあたって選ばれたのがこの3つのエピソードであるということは、その制作者が何を意図していたかは、意識的であれ無意識的であれ、透けて見えてくると思います)

SFとしちゃ穴だらけな設定(こんな世界で出生率が上がるか?)とか、監視カメラでくまなく見られている世界なのに、拳銃持った被疑者がマルタイにあっさり近づけちゃうって、警察ダメダメじゃんとか、悶絶したくなるところがいっぱいなんですが。
でもあちこちでみんな泣いてて、ええーっと思いましたよ。

星新一公式サイトで、星新一さんの「生活維持省」と「イキガミ」との類似についての違和感の表明が出ていますが、似ている似ていないとは別次元のところで、根本的に「生活維持省」にあって「イキガミ」にないには、この理不尽な設定のブラックさなのです。くわしくはリンク先で「生活維持省」が読めますから、一読されれば意味がわかります。


「三丁目の夕日」を「昭和三十年代というユートピア映画」として、肯定評も否定評もありました。
でもあれを批判するなら、こっちはもっと悪質だと思います。なんせ「エクスキューズを入れながら感動物語にすることで、結果的にディストピアを肯定してしまう」んですから。

これを観たことで、ここ最近作られた「男たちの大和」などの特攻や戦争を題材にした映画への違和感が明確化しました。あれらもやっぱり「エクスキューズを入れながら感動物語にすることで、結果的にディストピアを肯定してしまう」映画なんですよ。
戯画化された設定(言わずもがなですが、イキガミや国家繁栄維持法の設定は、戦前の召集令状や治安維持法から持ってきていることは明白です)のこの映画を観たことで、そのモヤモヤをはっきりとわからせてくれたという意味では、有意義な映画でした。
でも「私もあと24時間しか命がなかったらどうしようと考えて、命の尊さを感じました」なんて腐っても思うか、その手に乗るか、このボケ! と思う映画ではあります。


24時間あったら、どうするかって?
ジャック・バウアーならテロリストを壊滅させてるぞ!

| | Comments (0) | TrackBack (0)

容疑者Xの献身

東野圭吾原作の直木賞受賞作にして、福山雅治、柴咲コウ主演のテレビドラマ「ガリレオ」シリーズの映画化となった、天才物理学者湯川と天才数学者石神との推理合戦を描く「容疑者Xの献身」


弁当屋を営む花岡靖子とその娘美里。慎ましく暮らす二人の平穏を脅かしたのは、別れた夫富樫慎二だった。二人のアパートに押しかけてきた富樫と口論の末、富樫を殺害してしまった花岡母娘だったが、そこに現れたのは隣の部屋に住む数学教師の石神だった。
数日後発見された身元不明の死体は富樫慎二と判明したが、容疑者と目された花岡靖子にはアリバイがあった。この謎に挑むのは、帝都大学物理学准教授の湯川学、通称ガリレオ先生だった。これまで数々の難事件を解いてみせた湯川は、この事件に石神の存在がいることを知り驚く。湯川と石神はかつて帝都大学で物理と数学を学ぶ友人だったのだ。いったいこの事件の真相は?

トップシーンは古畑任三郎かと思った。
ドラマの「ガリレオ」の設定は残してあるものの、思った以上に原作に忠実な映画化。逆にタイトルに「ガリレオ」を入れないとか、ドラマのお約束だった決めぜりふや決めポーズが出てこないので、それを期待してると肩すかしを食らうかも。映画化に際して派手になるってのはよくありますが、地味になる、ってのはなかなかないですよ。

石神を堤真一がやると聞いて、原作の石神はもっと喪男なんだけど大丈夫か? と思ったりもしました。でもイメージに合うよう演技を見せてくれて、まあこれはこれでいいかなと思います。なにせ原作のガリレオだって、原作者のイメージは佐野史郎だったのに、福山雅治をキャスティングしてヒットしちゃったから、バランスをとるにはそれぐらいのことをしなきゃ駄目かと。
あと、花岡靖子が松雪泰子ですか。そんなによってたかってみんなで言うほど美人か? という気にはなります。なんでこんなに映画に引っ張りだこなんでしょうね。(事務所が強いから、なんてオチは美しくないなあ)

ドラマから映画化、ということで、もっと雑になると思っていた分、湯川VS石神の丁寧な心理戦と友情の描き方などは悪くないと思いました。
(いろいろ書きたいところもありますが、ほとんどネタバレになるものばかりなので、パス)


一番驚いたのは、原作の裏真相を採用していることで、謎解きからエンディングに向かって、明確にそれを意識しているので、へーっと思いましたよ。
(意味不明かもしれませんが、さすがにここに書けません)

というわけで、うーん、どうしようかな、観るべしは……今回はなしにしますが、その判断は皆様にお任せします。


そういやあ、原作小説の新作「聖女の救済」は、この映画にあわせて発売されると思ったら、ちょっと先かな? まあ待ちましょう。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

劇場版 さらば仮面ライダー電王 ファイナル・カウントダウン

平成仮面ライダーシリーズで最大の人気作となった電王が、三度映画化。今度こそラスト? バトルを繰り広げる「劇場版 さらば仮面ライダー電王 ファイナル・カウントダウン」


モモタロスたちの前に現れたのは、幽霊列車に乗る仮面ライダー幽汽。その実体はなんと電王であるはずの野上良太郎だった。戸惑うモモタロスたちを救うためにNEWデンライナーに乗って現れたのは、NEW電王、良太郎の孫野上幸太郎だった。

たしか電王って細かい設定がいっぱいあったはずですが、モモタロスたちのキャラ人気のおかげで、大ブレイク。だから現実世界でのタロスの実体化とかもう普通になっちゃいましたね。あと、コハナが成長してて、こりゃそんなに続けられないって。

実質の主役は、良太郎でも、今回の新キャラ良太郎でもなく、モモタロスですよ。赤青黄紫のイマジンがずっと出ずっぱりということになってます。だからクレジットもスーツアクターさんが先に並んでいたほうが正しいですよ。
楽しく明るく、着ぐるみの掛け合いコントが延々続くので、ファンは満足、一見さんはさっぱり理解不能という、まあ完結編ですからね、それでいいんです。この映画自体がカーテンコールのファンサービスだし。

電王が他の平成ライダーと決定的に違ったのは、やっぱりイマジンという着ぐるみキャラと、時間と空間を行き来できる電車っていう無敵の設定のおかげですね。極端な話、これだけでスピンオフはいくらでも作れるし。

やっぱり日本のヒーローはいいね、基本的に悩まないし、見栄も切ってくれるし。今回は全フォームそろい踏みというサービスカットもあってグッときます。
これがあっちだと、女の趣味が悪い貧乏な蜘蛛男や、陰々滅々とした話を延々とやる蝙蝠男とかなので、ヒーローのなんたるかをわかっていません。(ちなみに、仮面ライダーの1話2話の敵は、蜘蛛男、蝙蝠男だったりする)
対抗できそうなのは、武器も売るけど、身体も張るあのワンマン社長ぐらいか?
いや、違う。
唯一無比のスーパーヒーローがいた! その名はウィル・スミス。宇宙人をグーで倒し、アシモフのロボット三原則もぶち破り、時にはヤケ酒もやる、「オレ様は伝説」なあの男。
そういや、キャプテン・アメリカをやるって話もあるとかないとか。


あ、これ電王の感想だった。
お話はどんなんだったか忘れた(笑)けど、まあ赤いのとか青いのとかが活躍したし、楽しかったです。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

決戦・日本シリーズ

表題は、かんべむさしのデビュー作から。

阪神タイガース対阪急ブレーブスの日本シリーズが決まり、広告代理店の主人公が企画した「勝ったチームの電車が、負けたチームの路線をノンストップで凱旋パレードで走る」という企画が通って、どたばたになっていくという小説。
しかも日本シリーズがもつれにもつれ、なんと最終戦が、阪神が勝ったバージョンと阪急が勝ったバージョンの2段組になるというパラレルワールドに。

結局、阪急ブレーブスは消滅し、この話はまさにSFで終わったのですが、阪急は、オリックス・ブレーブス→(チーム名変更)オリックス・ブルーウェーブ→大阪近鉄バッファローズと合併→オリックス・バッファローズ、という道をたどっています。
よくよく考えると、関西圏にあるチームって、まさにこの阪神とオリックスだけになっちゃったのね。
しかも、阪神電鉄は阪急電鉄の子会社になり、いやはや現実は小説よりも奇なり。

今年のクライマックスシリーズの結果如何では、阪神VSオリックスもありうるわけですが、そんなことよりも、わがホークスがまさか楽天と最下位争いをするなんて。ああ〜。
来年は予定通り秋山が監督ですから、新生ホークスに期待しましょう。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

史上最高の映画500本

イギリスのエンパイア誌で選出された「史上最高の映画500本」の結果だそうです。
全部を見たい方は、リンク先をどうぞ。
雑誌のグラビアをめくる感じなので、全部を読むにはちょっと面倒かも。
トップテンは以下の通りです。

1位 「ゴッドファーザー」(72)
2位 「レイダース/失われた聖櫃《アーク》」(81)
3位 「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」(80)
4位 「ショーシャンクの空に」(94)
5位 「JAWS/ジョーズ」(75)
6位 「グッドフェローズ」(90)
7位 「地獄の黙示録」(79)
8位 「雨に唄えば」(52)
9位 「パルプ・フィクション」(94)
10位 「ファイト・クラブ」(99)

ああ、びっくりだなあ。
まあ、「ゴッドファーザー」の1位ってのはありそうだけど、「レイダース」の2位ってのは高すぎでは? 多分「クリスタル・スカルの王国」が公開されて注目が集まったせいかな。
それと「ショーシャンクの空に」が高いねえ。私はそんなに世評ほど高くないんだけど、最近のこの手のベストテンだと、常連になってますね。
スコセッシが「タクシードライバー」でも「レイジング・ブル」でもなくて「グッドフェローズ」が6位ってところに、今回のベストの傾向がみえてきます。
そんなところに8位の「雨に唄えば」がいるのが、すごく据わりが悪いなあ。
正直、「それが入っていて、なんであれがないんだ」とか思うわけですが、まあそれはこの手のベストテンのお約束ということで。

全体を見ると、圧倒的に90年代2000年代の映画があって、一段下がって80年代70年代の作品。60年代以前になるといわゆる名作、戦前作品になると本当の超定番名作ということになっていますね。
あと、非英語圏作品が少ないですね。日本だと邦画以外はみな「洋画」になってしまうから、英語作品だろうとフランス、イタリア、ロシア、中国といった言語の違いは、すべて字幕を読みながら観ますから、実は日本の方が、いろんな作品を観ていることになるんですよね。

私が映画を観だした頃だと、キネ旬とかのベストでは「天井桟敷の人々」とか「市民ケーン」とかがベストになっていたけど、「市民ケーン」はまだしも、「天井桟敷の人々」は、完全に忘れ去られた作品になってしまった感があるなあ。


| | Comments (0) | TrackBack (0)

« September 2008 | Main | November 2008 »