« November 2008 | Main | January 2009 »

December 2008

ティンカー・ベル

ディズニーの製作による、「ピーター・パン」の妖精ティンカー・ベルの誕生を描く3DCGアニメ「ティンカー・ベル」


妖精の国ネバーランドに新しい妖精が生まれた。その名はティンカー・ベル。
ものづくりの妖精としての才能を与えられたティンカー・ベルだったが、ものづくりの妖精は、人間の住むメインランドに行けないということを知りショックを受け、やる気をなくすティンク。そしてものづくり以外の妖精になってメインランドへ行こうとするのだが。

はい、というわけで2008年のシネ納めはこの「ティンカー・ベル」。
90分もないという長さで、明るいパステル画調、そして明快なテーマという、小さな子供たちに見せるにはぴったりな内容。実際に小さな女の子を連れた親子がほとんどでした。
しかも、ティンクの抱えているテーマが現代の有り様、アメリカや日本が抱える問題をわかりやすく語ってくれます。

ピクサーが高打率の作品を生み出しているのは承知のことですが、そのピクサーがディズニーの子会社になり、そのトップであるジョン・ラセターが、ディズニーの製作部門のトップになるということで、その前の作品「ルイスと未来泥棒」もそうでしたが、非常に良い作品でした。

問題は、3DCGで作るなら、ピクサーとの差別化をどう考えるのかというところで、やはりピクサーの企画のエッジの効きぶりからすると、本社側の制作作品の緩さは気になるところです。でもそこが万人に愛されるディズニーブランドというところでしょうか。

今回の「ティンカー・ベル」も4部作ということですが、作品そのものはそれなりなんだけど、4部作も作り続けられるかどうかはちょっとパンチが弱いかな。
でもお正月にはこれくらいゆるい方が、いいのかもしれません。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

その男ヴァン・ダム

アクションスター、ジャン=クロード・ヴァン・ダムが、落ち目になりつつある自らを演じる映画「その男ヴァン・ダム」


ジャン=クロード・ヴァン・ダム。ベルギー生まれのマーシャルアーツの使い手にして、ハリウッドに渡ってアクションスターとしてならした彼も47歳。主演映画はビデオスルー、娘との親権争いで負ける寸前、お金はなくカードも止められてしまった。
故郷ベルギーに帰り、立ち寄った郵便局でお金を下ろそうとしたところ、そこは銀行強盗の真っ最中だった。しかも目撃者の証言から、強盗の主犯がヴァン・ダムとみなされる。どうするヴァン・ダム?!

いやー面白い。
自虐ネタのオンパレード。アクションはほとんどなくて、演技だけで見せるヴァン・ダムは初めてかも。端々にあるヴァン・ダム映画ネタには笑わせられます。特にジョン・ウーネタは最高です。
でも一本もヴァン・ダム映画を観たことがなくても大丈夫。ヴァン・ダムが盛りを過ぎたアクションスターということが分かっていれば楽しめますから。

この映画の中でヴァン・ダムが演技者としてもちゃんとしていることを証明してくれます。全身に哀愁感漂うのよね。ラストシーンのラストカットなんて、なかなか泣ける演技ですよ。

この映画の後、ヴァン・ダムにオファーがいっぱい来ていれば良いんですけど、どうなんでしょう。どんな映画でもたいていはヒットするシネマライズで、新宿昭和館な場末な感じをさせてたからなあ。

ヴァン・ダム最高! セガールに負けるな!


本筋とは関係ないけれど、「狼たちの午後」は銀行強盗もののフォーマットとして、これまでどれだけの映画で使われまくっているんだろう?

| | Comments (0) | TrackBack (1)

ラースと、その彼女

純朴でシャイな青年に出来た恋人が人形だったら、というアイデアをライアン・ゴズリング主演で描き、アカデミーオリジナル脚本賞にもノミネートされた「ラースと、その彼女」


雪の降る片田舎の街で、兄夫婦の隣で暮らすラース。親切で純情なラースのことを、街の人々は好意を持ってみていたが、極端にシャイなラースは兄夫婦ともう打ち解けあえなかった。
そんなある日、ラースが恋人が出来たといってきた。喜ぶ兄夫婦だったが、連れてきたのは、ネットで買ってきたセックス用のリアルドール。その名はビアンカ。戸惑う周囲の目をよそに、ラースは恋人としてビアンカと一緒にいるようになるが……。

なるほど、その手があったかというところですが、これがキワモノ映画で終わらなかったのは、ラースの周囲にいる家族や街の人々が、徹底してラースを理解していくところで、これで中盤は一風変わった人情話になっていきます。ラースのために人々がビアンカを人間として扱っていくうち、人気者になっていってしまうあたりは非常に面白い。

物語のために善人しか出てこない、かつオールロケ、地味だけどいかにも田舎にいそうな人たちをキャスティングしているところがポイントで、ここでありそうもない話のリアリティを出しているんですね。ラースに想いを寄せる女の子なんて、もうちょっと美人をキャスティングしても良さそうだけど、これがまた地味でしかも性格良さそうという、絵に描いたような田舎娘なんだよね。

後半の展開は、ラースとビアンカの幸せをつい祈ってしまうという不思議な気分になってきますが、最後は泣かせつつも、ちゃんと成長物語で終えるあたりなかなか良くできた話になってます。アカデミー賞のオリジナル脚本賞にノミネートされたのも、なるほどとうなずけるものがあります。


一風変わったラブストーリーですが、最後はさわやかな感じが味わえるので、お正月休みちょっと変わったものが観たいという方はにいかがでしょうか。
観るべし。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

シネマ歌舞伎「連獅子/らくだ」

今年公開のシネマ歌舞伎「人情噺 文七元結」に続き、山田洋次監督が監督した第二弾は歌舞伎演舞中村勘三郎・勘太郎・七之助親子による「連獅子」。
それと落語「らくだ」を歌舞伎で演じた中村勘三郎・板東三津五郎による「眠駱駝物語 らくだ」。
二本立てでおくる「連獅子/らくだ」


まずは「らくだ」。これは山田洋次監督の撮影・監督ではありませんが、あの落語の「らくだ」です。死人を操って家主のところで踊る様は、やはり生身の役者が演じている方が、馬鹿馬鹿しさとシュールさが倍増。可笑しい可笑しい。
52分というコンパクトな上映時間に、笑って楽しめるお正月向き(といっても死人の話だけれど)の題材です。

一方「連獅子」。おそらく小津安二郎監督が六代目の尾上菊五郎を撮った「鏡獅子」にならって、山田洋次監督もこの演舞を撮ったと考えた方が良いでしょう。
稽古の時、舞台上にカメラを据えて撮ったというショットをいれたりとしてますが、全体としてはオーソドックスな撮り方。
もともと、山田洋次監督は、芝居をきちんと撮るということが大事であって、奇抜なカットやトリッキーな編集を好む人ではないので、これも忠実な舞台記録になっていると思います。

で、来年の山田洋次監督最新作は吉永小百合・笑福亭鶴瓶主演で「おとうと」だそうです。
幸田文原作で、市川崑監督が撮った「おとうと」のその後を、現代にして描くのだそうです。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

K-20 怪人二十面相・伝

私は断固としてこの映画を支持します!!

江戸川乱歩が生み出した二大ヒーロー。名探偵明智小五郎と、明智と対決する怪人二十面相の戦い。その二十面相を伝記として描いた北村想の「怪人二十面相・伝」を原作に、帝都をまたにかける怪人二十面相の誕生と活躍を描く「K-20 怪人二十面相・伝」


第二次世界大戦が起こらなかった日本、帝都。そこで人々の噂になっていたのは、金持ちの財宝を狙う大怪盗、怪人二十面相だった。
小さなサーカスの花形スター、遠藤平吉のもとに、あるカストリ雑誌の編集者が現れる。二十面相との死闘で知られる名探偵・明智小五郎と、羽柴財閥の令嬢、葉子との結納式を取材して欲しいというのだ。
帝都にそびえる羽柴財閥のタワーに登り、屋上から取材を行おうとした平吉だったが、謎の爆発が起き、平吉は二十面相に間違えられてしまう。さて、平吉は身の潔白を証せるのか? 二十面相の狙いは? 正体は? 


たまりません!
日本を舞台にぬけぬけとスチームパンクな世界を作りだし、キザな名探偵の決めポーズ、近親相姦な臭いのする美少年小林君、華族の深窓の令嬢、そして大アクション。私の好きなものが頭のてっぺんからしっぽの先までアンコがぎっしり詰まってます。

そもそも北村想の「怪人二十面相・伝」は原作が出た当時、乱歩原作の矛盾も上手く設定として使った伝記小説ぷりがすんごく面白くて、自分で映画にしてみたかった小説だったんですよね。
だからこれを佐藤嗣麻子監督がやると聞いて、ちょっと悔しかったんですよ。
まあこの人は「エコエコアザラク」も撮っているし、テレビの明智小五郎シリーズや金田一シリーズも脚本を書いているから、それなりにいけるとは思っていましたが、なにせ予告編がイマイチなオーラを出していたので、大失敗か大傑作のどっちかしかないだろうと思っていました。
でもこれは傑作の方に転びましたよ!

原作を換骨奪胎。あちこちコテコテの設定を詰め込み、全体として伝奇アクション映画に良くまとまっていると思います。私は冒頭のニコラ・テスラでもう心は鷲づかまれまくりですもん。いやーん。

金城君はいつもの金城君だけど、今回はかなり身体はってます。まあ「レッドクリフ」は団扇を仰いで「はっはっはっは」って笑ってるだけでしたが、今回は身体をはって「はっはっはっは」ですから。
松たか子は深窓の令嬢というにはちょっと年齢高すぎる気もしますが、結局気品のある感じとおてんば風味が欲しかったんでしょうね。
仲村トオルの明智はなかなか悪くないと思います。ドラマ「チーム・バチスタの栄光」のあの探偵役は、もっと傍若無人ぶりが欲しい感じでしたが、今回の明智の慇懃無礼な感じははまってますよ。
本郷湊多くんの小林少年も悪くないです。どうせならこれでリモコン持たせて「行け! 鉄人!」とやって欲しいです。それはパート2で期待しましょう。(←無理です)

大アクションの展開から、ラストのあれを、いやあ、ぬけぬけとそれを実写でやりますか! みんなやろうと思っても出来なかったあれを! まあこんな設定でもないと出来ないよね。してやったり。

まあ、「私は全然駄目」という人もいるだろうな、とは思うし、あちこちに突っ込まれどころもあるんだけど、ROBOTが山崎貴作品で得たものを、こうしてさらに生かそうとするんですからね。私はこのチャレンジ精神は好きですよ。

というわけで、もう一度言いましょう。
私は断固としてこの映画を支持します!!

観るべし! 観るべし! 観るべし!

| | Comments (0) | TrackBack (0)

地球が静止する日

20080221142323
ロバート・ワイズ監督の名作SF映画「地球の静止する日」を、キアヌ・リーブス、ジェニファー・コネリー主演で描く大作「地球が静止する日」


宇宙生物学者のヘレン・ベンソンは、ある日政府から拘束される。そこに集められていたのはそれぞれのエキスパートの科学者たち。そこで明かされたのは、地球に急速に接近する謎の天体の存在。しかもあと数時間で衝突するという。ところがその天体はマンハッタンのセントラルパークに降り立つ。軍や警察、調査団の見守る中、そこに現れたのは……。


本編の前にくっついていた「ドラゴンボール」の予告編が、インパクトありすぎで。Youtubeとかでも観てましたけど、改めてスクリーンで観ると……いやあ、衝撃的です。


え、本編?
うーん、それなりなんですけど、オリジナルと比べてどうこうというものでもなく、まあなんというか。
どうせなら、オリジナルのメインビジュアルとして有名になっている、銀色スーツに身を包んで円盤から降りてきて欲しかったなあ。あのシーンって結構引用されてて、たしかリンゴ・スターのアルバムのデザインの元ネタにもなっていました。

そこそこのVFXとそこそこのアクション。いつものキアヌ。オリジナルより巨大化したロボット、ゴートもちゃんと活躍はしてくれます。でもね、予測された展開が予測の通りに展開しただけじゃ、わざわざリメイクする意味がわかんないんだよね。ちょっとばかしテーマがオリジナルの核の脅威から環境問題にシフトしてますが、それも予測された範囲での変化でしかないんでね。
オリジナルで一番好きだったシーンが、ちょっと形を変えてちゃんと残っていたところはうれしかったかな。(どこかは秘密。といっても些末なところなので、知ったからと言って驚くようなところではないです)

しかしキアヌは毎回ブラックスーツに細いタイという衣装なのは、なにか理由があるのかしらん。

そんなわけで、「ドラゴンボール」楽しみですね!
KAAMEEHAAAMEEE,HAAAAHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH!!!

| | Comments (0) | TrackBack (0)

ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト

ニューヨークのビーコンシアターで行われたザ・ローリング・ストーンズのライブを、名匠マーティン・スコセッシがドキュメンタリー映画としてまとめた「ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト」


ニューヨークのビーコンシアター。ここでライブを行うのはザ・ローリング・ストーンズ。ステージの準備が進められていく中、一人の男が焦っていた。このライブを撮影し、ドキュメンタリー映画としてまとめる監督マーティン・スコセッシ。ところが撮影準備のためのセットリスト(曲順)が手元に来ない。どの曲から始まるのかわからいまま準備を進め、いよいよライブの幕が開ける。その第一曲目は……!?

いやあ、みんな元気だなあ。
還暦をすぎても疲れを見せず動き回り、歌い、踊るミック。煙草を吹かしながらギターを鳴かせる永遠の不良キース、盛り立てるロン、寡黙にドラムを叩き続けるチャーリー。ずっと第一線で続けてきて、まさか21世紀もこうしてストーンズが元気でいるなんて。

ビーコンシアターの劇場内は、ストーンズがやるにはとても狭く、多分客席にいたらほとんど目の前にいるんじゃないかと思うほど。ライブの曲目が結構渋くて、そこまで詳しくない私にとっては、中盤あたりはよく知らない曲もありますが、後半はバッチリ決めてくれます。
それを絶妙なカメラワークで見せてくれるロバート・リチャードソンをはじめとする世界最高峰のカメラマン集団。「ストーンズのライブを撮らないか?」と言われれば「面白そうじゃん!」と引き受けたに違いない。

このライブドキュメンタリーは、オヤジ共の「面白そうだからやろうぜ」というノリとパワーに圧倒されます。スコセッシ自身、ライブ中はともかく、それ以外は隙あらば出たがりだもんな。で、あーだこーだ言いながら、メチャメチャ楽しそうだもの。
もちろんスコセッシは名作「ラスト・ワルツ」をはじめ、ライブ映画を撮っているのでこれもまた観たくなってきたなあ。

新宿武蔵野館で満席立ち見でしたが(そのあとで飲み会に参加したら、「えーあそこで観たのー?」と非難囂々。いいじゃん、六本木ヒルズまで行くのは面倒なんだよ)、オヤジ率高し(うち革ジャン率も高し)。
たしかにもっといい劇場で、大音響で、騒いでOKみたいなレイトショーとかやったら受けるだろうなあ。

というわけで、ストーンズを始め、出てくるオヤジ達の熱さを観て体感するべし!

| | Comments (0) | TrackBack (0)

エグザイル/絆

レッドブル!!

「エレクション」2部作などのジョニー・トー監督の日本公開最新作は、中国返還を目前にしたマカオを舞台に、アンソニー・ウォンら香港スターが裏社会で生きてきた男の友情と戦いを描く「エグザイル/絆」

マカオのある家に、男たち4人がウーという男を捜してやってきた。ウーの妻は知らないというが、そこに戻ってきたウーとともに銃撃戦となる。彼ら5人は、裏社会を共に生きてきた仲間だったのだ。しかしウーがボスを撃って逃亡したため、一方はウーを撃つために、一方はウーを守るために銃を突きつけあう。彼らの命の取り合いは、やがてマカオを舞台に血で血を争う戦いへと突き進んでいく。

いい!
もうオヤジの友情話というか、仁義というか、ノワールやら日活アクションやらペキンパーやらごった煮の上に、なんというか予測もつかないシチュエーションになるんですよ。最初の銃撃戦からして、ウーがリボルバーに弾を装填すると、他の男たちも弾倉から弾数を減らして弾数をあわせるなんて展開にしてやられます。しかも男たちが激しく撃ち合ったのに、いきなり途中で止めちゃってあれあれ? と思ったら……いやーこんなシチュエーション、格好良すぎる!
そして男の友情を立てるばかりに、あれよあれよと転げ落ちていく男たちの生き様に泣かずにはいられません。

これを高校生ぐらいで観ちゃうと、「男たちの挽歌」のチョウ・ユンファと同じくらいアンソニー・ウォンの仕草を真似したくなることでしょう。コイン当てだけで格好良すぎるわー!
しかも最後の最後で「ワイルドバンチ」!

いろんな男泣き映画の要素が、これ一本につまっていますよ。なんだか内藤陳的な絶賛文を思い浮かべてしまいます。
男なら、いや漢なら、観ずに死ねるか!

| | Comments (0) | TrackBack (0)

トウキョウソナタ

黒沢清監督最新作は、香川照之、小泉今日子主演による、ある家庭の崩壊と再生を描いた「トウキョウソナタ」

佐々木家の家長である竜平は、ある日会社から解雇されるが、そのことを家族には言えず、妻の恵は日常の不満をぶつけることも出来ず、長男の貴はあまり家に寄りつかない、次男の健二は担任の教師と折り合いが悪い。それぞれの問題を抱えつつもそのことを言えない佐々木家に起きた事件とは。

今年まだ観てなかった映画の落ち葉拾いもやれるだけやっておかなきゃと思って、これは観ました。
いやー、黒沢映画でホームドラマをやるとこうなりますか。前半のリストラ話が結構リアルに重いんですよね。
中盤、長男が米軍に志願兵となるあたりから話が加速していき、後半にはいるととんでもない展開になります。いややられた。だから役所広司なのか。
ただまあ、いわゆるハリウッド映画的な、主人公自身が物語の転換点を手に入れようとはしないところがやっぱり黒沢映画かなと思いますね。

香川照之が儲け役ですね、多分5年前なら役所さんなんでしょうけど、丁度脂ものって、ダメ親父的にはおいしいところ。
キョンキョンも良い感じに年齢を重ねているし、うまいことはまっているなと思います。

ただねえ、今年は日本映画ホームドラマには、是枝裕和監督の「歩いても歩いても」があるからなあ。
あと、黒沢清の超傑作「アカルイミライ」にやや及ばない気がするのは、ちょっと子供と音楽の力に頼っちゃったかなと思わないではないんですよね。もちろんそれだって大事なことなんですけど、「アカルイミライ」の90年代を引っ張った浅野忠信から、2000年代のオダギリジョーへの握手という奇跡を観てしまうとね。

いや、やっぱり後付けで観てしまうと予断が入るからいけませんね。
多分公開後すぐ観たらごく普通に感動してたと思います。
まだの方は今のうちにご覧ください。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

羅生門 デジタル完全版

黒澤明監督の海外での評価を高めたのは、この「羅生門」がヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞したことによる。それが半世紀以上の時を経て、デジタル技術で公開時のクオリティがよみがえった「羅生門 デジタル完全版」

すごい! まるで昨日撮られたかのような美しさ。これまで名画座やビデオで観たものは、映像は傷だらけ、何を言っているのかさっぱりわからないサウンドでした。だから、観ていてもそのすごさが伝わってこなかったのです。

今回、デジタル技術で修復された映像には傷ひとつなく、鏡をレフ板として使ったという伝説も、強烈なコントラストのはっきりした黒と白の森の中という映像の美しさとしてよみがえりました。汗にまみれた三船敏郎の息づかい、抜けるような京マチ子の白い肌、すべてを見通したかのような森雅之の眼、これが本当の「羅生門」なのか!
サウンドもこれまでノイズだらけでしたが、森の中でツクツクホウシや虫が鳴いているなど、そんな音が状況音としてあったのですね。
だからうだるような夏の暑さの中で、一陣の風と共に魔が差した多襄丸の気持ちがやっと伝わってきました。

今後、「羅生門」という作品を語るには、まずこのプリントを観てから、語らいといけないでしょう。
絵画では修復は当たり前なのですから、願わくば、多数の名作映画がこのようによみがえるとうれしいんですが。

すべての黒澤映画はもちろん、小津の「東京物語」などもこのレベルで修復して欲しいですよ!

| | Comments (0) | TrackBack (0)

WALL・E / ウォーリー

サイレント・ランニング!

傑作アニメーション作品を次々に世に出しているピクサースタジオの最新作は、「ファインディング・ニモ」のアンドリュー・スタントン監督による、700年間も地球にひとり残されたロボットと、空の向こうからやってきたロボットとの愛と冒険の物語「WALL・E / ウォーリー」


荒廃し人類がいなくなってしまった地球。ここにたったひとりで活動しているロボットがいた。それは、ゴミ処理ロボット、WALL・Eその名もウォーリーだった。来る日も来る日もゴミを処理し続けるウォーリーの楽しみはゴミから宝を集めること、そして「ハロー・ドーリー!」のビデオを観ること。
ずっとひとりぼっちのウォーリーだったが、ある日、空を切り裂いて、宇宙船がやってきた。そこから出てきたのは、丸いフォルムのロボットだった。そのロボットは何かを探しているようだが、興味を引かれるウォーリーだった。

いやもう、素晴らしい!
主役たるウォーリーはほとんど台詞らしい台詞を言わないかわりに、見事にロボット自身の豊かな動きと、ベン・バートのサウンド、的確な小道具を使ったシチュエーションで、ウォーリーの感情を表現仕切っています。特に第一幕はほとんど一人芝居なのに、その孤独感が伝わってきます。
そしてこの物語のヒロインたるイヴ。これまたウォーリー以上に可動部分がないのに、観ていくうちに、強くも可憐なヒロインに見えるのです。

本当はこの先の展開を書きたいところなのですが、ほとんどネタバレにしかならないので、これから先は是非ご自分の目で観てください。
これだけは言えるのは、ピクサーの傑作群の中でも傑作「モンスターズ・インク」「ファインディング・ニモ」にも匹敵する出来だと思います。気分次第ではこれをピクサー作品ベスト1にするかもしれません。

さあ、皆さん一緒に、

ウォ〜〜リィ〜〜
ミ〜ル〜ベ〜〜〜シ〜〜〜〜!!

| | Comments (0) | TrackBack (0)

マジシャン・プレスト

よみがえったハンナ=バーベラ!

ピクサーの最新長編アニメ「WALL・E / ウォーリー」の併映作として上映される短編アニメ「マジシャン・プレスト」(ダグ・スウィートランド監督)。

マジシャン・プレストの魔法の帽子には秘密があった。それはウサギのアレックを助手として使っていたのだ。ところが餌のにんじんを与えないプレストにアレックは怒り、舞台に立ったプレストに嫌がらせをしようとするが……。

もう、素晴らしい! 懐かしいハンナ=バーベラの手による「トムとジェリー」のあの楽しさが21世紀になってよみがえるとは。
スラップスティックのカートゥーンギャグのタイミング、演出、すべてが懐かしく、また素晴らしく洗練されています。
タイトルが出た瞬間(いかにもな50年代カートゥーン)から感涙ものです。
本編の「ウォーリー」もそうなんですが、アニメーションの最先端を行くピクサーにして、ここにあるのは「歴史」なんですよ。豊穣たる映画でありアニメーションの歴史。その歴史を受け継いで再生させ、自分たちの血肉にしている訳です。他のアニメーションスタジオが表面のCG技術をいくら真似ても、ピクサーが負けない理由はここにありますね。

劇場チケット1800円のうち800円分はある楽しさです。
え、じゃあ「ウォーリー」は1000円分かって?
違うよ、2000円分あるんですよ!

観るべし!

| | Comments (0) | TrackBack (0)

サントラCD「男はつらいよ 寅次郎音楽旅」

Upcy6498

「男はつらいよ」40周年プロジェクトのひとつとして登場したCD二枚組、全100曲という圧倒的ボリュームで迫る、「男はつらいよ」サウンドトラックの決定盤、「男はつらいよ 寅次郎音楽旅~寅さんの“夢”“旅”“恋”“粋”~」

これまで、「男はつらいよ」のサントラCDはいくつか出てて、1作から47作までを4枚にまとめた「サウンドトラックヒストリー」、リリー4部作をまとめた「リリーと寅次郎」、寅さんの台詞をまとめた「寅さん発言集」、マドンナのテーマ曲をまとめた「歴代マドンナ名曲集」などありましたが、今回は、全48作の膨大な録音テープから、作曲家山本直純の手による数々のテーマ、作品中で使われたクラシック曲からチョイスして、タイトルどおり「男はつらいよ」という大河ドラマを、音楽で再構成してあります。

だから、最初の1トラック目の松竹ロゴタイトルからはじまり、実質寅さんの口上がテーマ曲前にしかないにもかかわらず、寅さんの旅先での出会い、マドンナの登場、とらやでのやりとり、旅への出発、失恋、といういつもの物語が音楽だけでよみがえってくるのです。
それを可能にしたのが、偉大なる山本直純の名曲の数々、それを演奏した演奏家のみなさん。シリーズを観た人なら誰もが耳に残っている、寅さんが失恋から柴又駅へ旅に出る、あのもの悲しいクラリネットソロに涙することでしょう。

CD二枚組ですが、本当ならアナログレコードの時代よろしく、制作者はA面B面といいたいのではないかと思います。2枚目の「男はつらいよ」のテーマ曲にあれをチョイスするあたり、憎い演出です。最後のトラック前とか、頭の中でフェードアウトして、夏なら入道雲、お正月なら凧揚げの画が思い浮かんでラストの曲を聴いてしまうんですね。

まったく「男はつらいよ」を知らない人には、名台詞の数々が収録された「寅さん発言集」を入門編としてオススメします。これなら落語のCDを聴くように楽しめますから。
ですがファンなら今回の「寅次郎音楽旅」を聴きながら、ライナーノーツなしで「これは何作目の曲だ!」と当てるも良し、それもなく単に曲に聴き惚れるも良し、聴けば聴くほど味わいのあるCDだと思います。
一家に一枚、お手元にどうぞ!

| | Comments (0) | TrackBack (0)

D-WARS

ハリウッドに乗り込み、龍の伝説をモチーフに英語作品として制作された特撮韓国映画「D-WARS」

LAで活動しているテレビリポーターのイーサンは、ある災害現場で巨大な鱗を目撃する。そこで思い出したのは、少年時代に骨董屋の主人から教わった、韓国の龍の伝説。イーサンはその伝説の龍をよみがえらせるための鍵となる女性を捜すのだが。

「韓国でも国際的に通用する特撮アクション映画が撮れることを証明するんだ」とやってみたら、無理ってことを証明してしまった悲しい作品。
意欲は買うものの、アメリカで自由がきかない中で無理してやるから、役者も大根演技になっちゃうし、悲しいかな穴がありすぎで突っ込みだらけの展開とかちょっとつらい。
特撮もそれなりだし、韓国での時代劇伝説パートの演出は決して悪いとはいえないので、できれば韓国で撮った方がよかったかもなと。

非英語圏の人間がハリウッドに乗り込んでロクに成功したためしがないので、まして大作とはいえハリウッドで言うと並の予算で韓国から乗り込むのはかなりの苦労があったろうなと、贔屓目でみたいとは思うんですけどね。
チェン・カイコーだって「キリングミー・ソフトリー」があれだったし、香港の監督だって、ジョン・ウーでさえ、ヒットが続かずに帰って来ちゃったし。
あ、「フレディVSジェイソン」のロニー・ユーが結構良い感じかも。徹底してB級路線だからいけるのかも。

雨宮慶太だってまだハリウッドでやってないのですからシム・ヒョンレ監督の意欲は買います。
そうそう、北村龍平はどうなんでしょう? がんばれ! リューヘイ!!


とかなんとか書いてますが、実はクライマックスで寝ちゃったからさ。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

1408号室

ジョン・キューザック!

スティーブン・キング原作のホラー短編を、ジョン・キューザック主演、サミュエル・L・ジャクソン共演で送る、宿泊した人間は必ず死ぬというホテルのある部屋での怪奇を描いた「1408号室」

ホラー作家エンズリンは、数々の超常現象や怪奇の起きる場所を取材して、小説やルポに書いていた。あるとき、「1408号室には入るな」というはがきが届く。それはニューヨークのドルフィンホテルの絵はがきだった。気になったエンズリンは調査をすると、そのホテルの1408号室では、宿泊した客が必ず死亡しているという。興味を引かれたエンズリンは1408号室に泊まることにしたが。

いやー、充分怖がらせてくれるホラーでした。
基本的に、半分はホテルの1室の1セットでの独り芝居(正確には違いますが)。ですが、セットがひとつということを飽きさせないシチュエーションのつるべ打ちと的確に織り込まれるショック演出、主人公の心理恐怖と物理的な恐怖演出のバランスが凄くいいので、まさしくホーンテッドマンション。

ホテルの部屋が襲ってくる、というアホアホな設定を支えているのは、原作の力もさることながら、主役を演じたジョン・キューザックのお芝居。どんなに特殊効果を凝らしてみても、結局は真に迫った恐怖にゆがんだ主人公の姿がなければ、リアリティなど感じません。そこは芸達者なジョン・キューザックのこと、最初は超常現象など信じないとうそぶく作家エンズリンが、1408号室の中で味わう恐怖の中から、主人公の奥底に隠された真実へ到達する様を実に無理なく見せてくれます。
もっと上にも行けそうなんだけど、なぜかこの手のB級映画の主演が似合うジョン・キューザック。「アイデンティティー」もメチャメチャ面白かったもんな。きっと作品の選択眼は上手いんですね。ジョン・キューザック主演って映画の保証マークのように思います。

もうひとり、こういうB級には欠かせなくなってきたA級俳優サミュエル・L・ジャクソン。地獄の門の番人たるホテルの支配人をいかにもに演じてます。コイツも楽しそうに演じてるんだもんなあ。

キング映画の中でも、これは上位に残るであろう、過不足ないホラー映画。
ほら、よく「これは単なるホラー映画ではない」とか褒め言葉の常套句があるでしょ。逆説的に褒め言葉としていいますが、これはちゃんと楽しめる単なるホラー映画ですよ。

観るべし!

| | Comments (0) | TrackBack (1)

« November 2008 | Main | January 2009 »