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ゴッドファーザーPart1(リストレーション DLP上映)

完璧な映画など存在しない。しかし「完璧により近い映画」というものがあるとしたら、これはその一本である。

70年代初め、無名の監督と、一人の伝説の俳優と無名の俳優陣によって撮られたギャング映画が、伝説の名作となってはや三十数年。デジタル技術でリストレーションされ、DLP上映で公開当時の映像を蘇らせた「ゴッドファーザー」

1947年。娘コニーの結婚式を迎えた目出度き日に、父親であるヴィトー・コルネオーネは困り果てた男の依頼を受けていた。暴行された娘の仇をとってほしいと。ヴィトーは承知する。彼は、コルネオーネファミリーのドンとして君臨する“ゴッドファーザー”なのだ。


最近ブルーレイも出た「ゴッドファーザー」だけれど、まさかデジタル修復されてDLP上映されているとは知りませんでした。「これは行かねば」と思ったのですが、タカシマヤタイムズスクエアでリバイバル上映の名作「アラビアのロレンス」よりも宣伝してない気がします。
「アラビア~」はあのタカシマヤタイムズスクエアの堅い椅子で4時間という苦行を考えると二の足を踏みますが、こっちは一応最新シネコン新宿バルト9でのDLP上映ですから、まあいいかと。

考えてみると、バルト9へ行ったのは、「ブレードランナー」のDLP上映以来なので、そういうやむにやまれぬ理由でもないと行かない映画館なのです。だって、一回行ってみたら、手際は悪いし、導線メチャメチャだし、各種の割引は使えないしで、いいことないんだもの。
だけど、今回はレイトショーでお客も少ないせいかチケット買いも苦労もなく、しかも日本映画テレビ技術協会会員証が使えましたよ、おお、いつのまに。


それはともかく、本題の「ゴッドファーザー」ですが、デジタル修復され、フィルムより安定した映像で観られるということが大きいメリットです。
ゴードン・ウィリスのアンバー系の色使いによる重厚な映像、マーロン・ブランド以外はほとんど無名の役者による火花を散らした演技。(当時は)ショッキングなアクション演出など、人生のなかでこれを観ておかねば、いったい何を観るべきなのかと言わずにはいられません。

二流のギャング映画の企画を、イタリア系アメリカ人の一家の年代記という重層な物語にしたのは、まさしく当時のコッポラの才気によるものでしょう。
マフィア一家のなかで、普通の青年でありたいと願っていたマイケルが、父の跡を継ぎ、ゴッドファーザーとなっていく姿は、コッポラそのものです。
しかし、その期待に応えたアル・パチーノの演技がまた素晴らしい。本当に純朴な青年からファミリーのドンへと成長していくんですから。ファーストシーンとラストシーンで顔から何もかも違うんですよ。

一時期は何度もビデオで繰り返し観ていたほど大好きな映画ですが、今回改めて、時計でタイムを計りながら観て、なるほどさすがはがっちりとした三幕構成なのかと、感心しながら観てました。

ここで三幕構成について私が語るのもあれですが、基本的にハリウッド映画は三幕構成になっていて、第一幕、第二幕、第三幕は、だいたい1:2:1のランニングタイム割になっています。
上映が2時間の映画だと、30分:60分:30分になります。
「ゴッドファーザー」は約3時間の映画なので、45分:90分:45分という割合になるわけです。
(以降はストーリーに言及しているので、観ていない方はご注意を)

「ゴッドファーザー」は、暗い部屋でヴィトーが依頼人の話を聞いているところから始まりますが、そこからコニーの結婚式、ジョニーの依頼を受けてトムがハリウッドに飛び、そこでプロデューサーの家でショッキングな出来事が起きるまで。ここでゴッドファーザー、ドン・コルネオーネとそのファミリーの人物紹介と背景が説明されます。ここまでが45分の第一幕。
第二幕は、麻薬の売買を持ちかけるソロッツオとの交渉決裂から、ヴィトーが襲撃される、そして抗争が激化する中でマイケルがファミリーの仕事をするようになり、父の後を継ぐ道を歩み出す展開部。ここのラストは、長男ソニーの襲撃と、マイケルの最初の妻の爆発事故死。ここまでが90分。
第三幕は五大ファミリーの会合から、マイケルのドンへの成長、ヴィトーの死、そしてクライマックスの血染めの洗礼式というわけです。ラストシーンまで45分。
3時間の大作も分割してみると、ちゃんとそうなっているんですね。


という見方が良いのかどうかはともかく、物語構成の勉強をしたい方は、時計を片手に観ると、いいと思います。ただし、ハリウッド映画はきれいに次回配分どおりに三幕になっていることがほとんどですが、日本映画とかだとそうじゃなかったりするので、できればハリウッド映画でやってみるといいと思います。

例えば、「ローマの休日」だと、あれは2時間の映画なので、オードリーがグレゴリー・ペックの部屋で最初の夜を過ごすところまでで、第一幕の約30分でしょう。確認しないで適当に書いてますが、多分間違ってないと思います。DVDをお持ちの方は確認してみてください。当たってたらなんかおごってください。(笑)

名作映画は、何度観ても飽きないですが、そのうち1回ぐらいはこういう見方をするのもありというところで。
上映期間が短いようですが、おみのがしなく。観るべし。

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