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舞台「博士の愛した数式」

小川洋子のベストセラー小説であり、寺尾聰、深津絵里主演で映画化された「博士の愛した数式」が、秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場にて2006年に舞台化。大好評を受けて、新宿シアターサンモールで特別アンコール公演

脚本・演出:福山啓子
女=湯本弘美
息子=蒔田祐子
博士=森山司
夫人=井上昭子
吉田さん=伊東かおる

シングルマザーの“女”は、家政婦として働くも、やさぐれた日々を送っていた。新しい職場となった家には、風変わりな老人が住んでいた。元は数学の教授だったが、かつての事故で記憶が80分しかもたない“博士”だった。
毎日が新しい出会いと、口をつけば数学の話しかしない博士だったが、あるとき、息子を連れてくるようにいわれる。息子に博士は“ルート”と名付け、博士の家に出入りするようになる。女とルートは数学と博士の人間的魅力に気がついていくのだった。

美しい!
原作も映画もそれなりに面白かったと思ったけれど、これはそれを遙かに超えて素晴らしい舞台になっていました。
原作を読んだら、主人公の家政婦を、どうしても作者小川洋子さんとビジュアルイメージを重ねてしまうし、映画版では深津絵里が演じましたから、それはきれいなきれいな、数学と暮らす世界になっていました。

今回の舞台では、主人公の家政婦は徹底して普通のシングルマザーである面が強調され、ヘビースモーカーであり、嫌なことがあると息子にあたるしという、普通に駄目な面を持った女性になってるのです。
息子のルートもそんな母親に反発する、ごく普通の小学生です。
一方の博士も、映画版で寺尾聰が演じた博士のような、世俗を断ち切った感じのするキャラクターではなくて、浮世離れしつつも俗物的な数学の元教授になっています。

そして、そんな人物とわれわれ観客の間をつなぐ役としているのが、家政婦の先輩であり友人であり近所のおばちゃんである「吉田さん」の存在。主人公たちが数学の世界に戯れるのに、あくまで一般的な世話焼きおばちゃんが側にいるから、主人公や博士の世界がさらに身近に感じられるのです。
ここがすばらしい脚色だと思いました。台本を読んでみたいものです。


そんな彼らが、数字の世界の不思議に触れる姿が、観ているこちらも一緒になって触れているような気になっていきます。友愛数や、ルートの算数の宿題を共に学びながら、その向こうに、完全数28を背負った「阪神の江夏」の勇姿が見えてくるのです。

私たちの生きる世界と地続きの世界の住人として、家政婦も博士もルートも生きているような、長いこと会えなかった親戚に、やっと出会えたような感じでした。
だから、だんだんと記憶できる時間をだんだんと失っていく博士に、親しい親戚や友人を失っていくような痛切な気持ちで満たされていくのです。
そして、最後のシーンの、なんと美しいことよ!


青年劇場のお芝居はこれまでいろいろと観させていただきましたが、面白いものもそれなりのものも、楽しいものも、社会性に富んだものもありました。
けれど、これはこれまで観た舞台の中で一番、美しく、愛おしく、涙が出てしまう素晴らしい舞台でした。

今後も全国巡回とのことです。機会があったら、是非ご覧ください。逃しちゃいけません。
観るべし! 観るべし! 観るべし!

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Comments

青年劇場の製作部の川田結子と申します。
劇団の公演をいつもご覧くださって、ありがとうございます。

また、「博士の愛した数式」の感想を、このように感想をのせてくださってとても嬉しく思います。
実は、お願いがあってメールさせていただきました。こちらにのせていただいている「博士の愛した数式」の感想が素晴らしく、作品世界をとても表してくださっているので、ぜひ今後の公演案内に「感想」として使わせていただくことはできませんでしょうか?
「博士…」は全国から公演のお願いが続いていて、今年も巡演していきます。
このような感想を、まだ作品を観たことのない方にお伝えしたいと思っています。
・・・いかがでしょうか。
厚かましいお願いで恐縮ですが、ぜひ宜しくお願い致します。

製作部 川田結子

製作部 

Posted by: 川田結子 | 2009.06.29 at 06:20 PM

青年劇場 川田様、

コメントいただき、ありがとうございます。
案件了解いたしました。
お使いいただいて構いません(いま、多少の誤字脱字の修正をしました)。その際に記名の必要な場合は、鬼嶋清美名義で掲載してください。あと、掲載されたものをいただければ幸いです。(連絡先は劇団員の葛西様にお尋ねいただければ)

以上、よろしくお願いいたします。

Posted by: KIYO | 2009.06.29 at 08:15 PM

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