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March 2009

ウォッチメン

アラン・ムーア、デイブ・ギボンズの手による、カルト的人気を誇るグラフィック・ノベルが、「300」のザック・スナイダー監督により完全映画化された「ウォッチメン」

1985年。ニクソン大統領が3期目という長期政権を行っていたもう一つのアメリカ。そこではウォッチメンと呼ばれるヒーローたちが活躍していた。しかし、暴走するヒーローたちを抑えるため、ヒーロー活動を非合法として取り締まられるようになっていた。
そんなある時、あるひとりの男が、暴漢に襲われ、高層マンションから突き落とされ殺される。彼の正体は、ウォッチメンのひとりコメディアンだった。コメディアンの死の謎を追う、ロールシャッハは、ヒーロー狩りの危機を感じ、かつての仲間、ナイトオウル、Dr.マンハッタン、シルク・スペクター、オジマンディアスにそのことを伝えようとするが……。


間違いなく、ここ最近のアメコミ映画の中では、抜群に面白いです。
ザック・スナイダー監督のアプローチは、ひたすら原作通りということを標榜しているわけで、それによって確かに凄く面白い部分と、そもそもグラフィック・ノベルの世界で起きる「リアル」とそれが生身の人間が行う「リアル」の差を、ビジュアルのかっこよさで埋めようとしてるわけです。
それが功を奏している部分と、それ笑っちゃうじゃんってところがあって、個人的にはそれって笑っちゃうじゃんてのがツボなのです。火炎放射器がゴーッ! とかさ。(笑)
でも作ってる方は絶対本気だよな。

本気度合いは、選曲にもかいま見えて、もう少しひねった選曲をするかと思ったら、ナット・キング・コールやボブ・ディランやサイモン&ガーファンクルとか、ストレートすぎる、あまりにストレートでスタンダードなんでビックリ。タランティーノが聞いたら「なめとるんか、ワレ」といいそうな選曲だよな。

全体的には、中学生の脳味噌のまんま、突き詰めたら宇宙の果てまでいってしまいましたというような、奇跡のラストに向かってまっしぐら。まあ「キャシャーン」だって宇宙の果てまでいってましたけどね。(笑)
いったいどんなラストが待っているかはその目でお確かめください。

みるべし。

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ワルキューレ

トム・クルーズが「ユージュアル・サスペクツ」「Xメン」のブライアン・シンガー監督と組んで、MGM/UA映画として作り上げた、実在のヒトラー暗殺計画を描く「ワルキューレ」

戦場で重傷を負ったシュタウフェンベルク大佐。ヒトラー暗殺計画の仲間に引き入れられた彼は、ドイツを救うため、作戦を決行する。その名も「ワルキューレ」。シュタウフェンベルクはヒトラー暗殺を成功させられるのか。


サスペンスとしてはなかなか面白いし、盛り上げる手練手管は、さすがブライアン・シンガー監督だなと思います。
トム・クルーズはなにをやってもトムくんなんです。でもそれこそがスターの証し。なにをやっても裕次郎、なにをやっても勝新、なにをやっても渥美清、なにをやってもオダユージ。なにをやってもキムタク。
観客が観たいと思う、変わらぬスターの姿をちゃんと見せてくれるからこその、トム・クルーズなんです。
トム・クルーズという人は努力の人だなって思いますよ。前の「ラスト・サムライ」の時には侍になりきっていたし、今回もちゃんとドイツ兵の雰囲気を再現しようと、がんばるし。
しかも、苦境に立つユナイテッドに手を差し伸べて、一発目がこの実話サスペンス大作というところに、エンターテナーとしての見識の高さを感じます。

じゃあ諸手を挙げて褒める作品になったかというと、そうは問屋が卸さないのが難しいところ。
史実をみんな知っている以上、オチはわかっているわけです。
我々は「ワルキューレ」作戦のことは知らないけれど、ナチスドイツの顛末を知っているわけです。それが、トム君の後半の演技で、やっぱりサスペンスのままというのは違うんじゃないかと。なので、全編サスペンスで押し切るより、後半はオチがわかった上での悲劇として描いた方がよかったと思います。それが悲劇として伝わってくれば、もう一段違う作品になったと思います。

いやしかし、さすがオヤジ大好きブライアン・シンガーの面目躍如。ケネス・ブラナー、テレンス・スタンプと、渋いオヤジがそろい踏み。それに対しておざなりともいうべき、女性陣の登場シーン。いやあ、さすが本物。(笑)

ごく普通に、サスペンス映画として楽しむ分には差し障りはありませんので、映画でも観ようかと思ったときに、これをチョイスして損はしないと思いますよ。

見るぺし。

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「釣りバカ日誌20」でシリーズ終了

「男はつらいよ」終了後、松竹喜劇の最後の砦として続けてきた「釣りバカ日誌」が、次回の「釣りバカ日誌20」でシリーズ終了となります。(カウント数は、森崎東監督「釣りバカ日誌スペシャル」と時代劇編「花のお江戸の釣りバカ日誌」があるので、総計22作となります)


うん、来るべき時が来たなあという気持ちと、やっぱり終わるとなると寂しいなという気持ち、でも終わるなら、余力のあるうちにという判断は正しいなと思います。

スーさんは社長から会長に退き、谷啓さんの営業三課の課長は益岡徹に交代し、ハマちゃんも40代の釣りと家族が大好きな男から、すでに還暦を過ぎたおじいさんになってしまったので、どこかで着地させないといけなかったわけですけどね。

最終作は北海道が舞台。そして久々のお正月映画として公開の予定なので、これは観なきゃいけないですね。

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DVD「つみきのいえ」

Thank you My Pencil.

第81回アカデミー賞短編アニメーション部門を受賞した加藤久仁生監督、ROBOT制作の「つみきのいえ」


一面海の街に、ぽつりぽつりと突きだした家。その一軒に住む老人。海面が上昇したことで、家を上に立て増した結果、積み木のように縦に伸びたのだった。ある朝、その家も海面に沈もうとしたことで、老人は更に家を建て増す。
あるとき、大事なパイプを海の中に落としてしまい、老人は潜るのだが。

当初海面上昇に沈む家に住む老人の話、というから、なにか環境問題について語った作品なのかと思っていましたが、実際に観たら全然違ってました。
たった12分という短編アニメですが、そこに主人公の老人の一生の喜びと悲しみと過去と現在が凝縮した作品でした。

海面に沈んで建て増した家、というビジュアルアイデアが、こんなにすばらしい人生の物語として成り立つなんて、素晴らしい!
2時間の長編では味わいの出せない、短編だからこその作品ですね。

DVDには、ノンナレーションフランス語テロップ版と、ナレーション(長澤まさみ)つき日本語版がありますが、圧倒的にノンナレーション版をオススメします。感動が十倍違います。

一部では劇場で凱旋上映も行われているようです。
機会があれば是非ご覧ください。
観るべし!

Thank you Mr. KATO!
Thank you Mr. ROBOT!

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映画ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史

水田わさびら新キャストに替わってから4作目となる映画ドラえもんシリーズ。今回は、オリジナル2作目を、乱歩賞作家・新保裕一の脚本でリメイクした「映画ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史」


地球から遠く離れた宇宙にあるコーヤコーヤ星。開拓民のこどもロップルくんはガルタイト鉱業の嫌がらせを受けていた。宇宙船で追いかけられ、せっぱ詰まったロップルくんたちは、高速飛行のままワープする。しかし時空のひずみに宇宙船は引っかかってしまう。困ったロップルくんたちは、宇宙船の修理のため、カーゴのドアを開ける。すると、そこは知らない世界が広がっていた。時空のひずみによって、カーゴのドアの向こうは、のび太の部屋の畳の裏に繋がっていたのだ。


個人的なことをいえば、映画のドラえもん第1作「のび太の恐竜」とこの第2作「のび太の宇宙開拓史」は、原作を含め、全シリーズの中でも、とてつもなく大好きな映画なのです。
キャストが替わった第1作「のび太の恐竜2006」は、作り手が「こどもの頃に観た「のび太の恐竜」を、親になった自分たちがいまの技術と考えでどうリメイクするか」という緊張感と真摯な態度で傑作になっていたと思います。

ただ、「のび太の魔界大冒険」、オリジナルの「のび太と緑の巨人伝」と続き、この「宇宙開拓史」ときて、まあまあなんだけど、「のび太の恐竜」の時の勢いはなくなってしまったなあという感じ。その勢いの差が「ヤッターマン」に負けてしまって、興行成績の一位をおわれてしまったのかと。

オリジナルでくっつけたサブキャラクター、モリーナの親子の話もなるほど「新」をアピールしたかったんだと思いますが、ちょっとうまくない。そこを描けば描くだけ、のび太とロップルくんの友情物語が薄まるしね。
あと、地球より重力が小さいコーヤコーヤ星では、のび太がスーパーマンになれるというのがキモなんだけど、そこの説明がドラえもんの「重力が違うんだ」だけではこどもに不親切な気がするなと。

もう、今後はリメイクされたからといって、わざわざ観に行くことはないかなあ。

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世田谷文学館「荒井良二のいろいろ展」

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3/14は、世田谷文学館にて開催中の、絵本作家荒井良二さんの「荒井良二のいろいろ展」にいってきました。


本当は一週前の3/8ならご本人が来場してトークイベントもあったのですが、別件あって行けなかったので、一週遅れで行きました。
荒井良二さんは、絵本作家としてたくさんの絵本を出されていますが、その絵本の原画、イラスト、工作物、アトリエにあるギターなどの私物、2005年に受賞した、リンドグレーン賞の賞状、壁一面のペインティングとかもありますね。まさに「いろいろ」が一挙にありました。
2007年に放送されたNHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」でもその製作過程が紹介された「えほんのこども」の原画がどーんとあって、「おお! これか!」と感動。(「プロフェッショナル」は会場でも流されています)


知らなかったのですが、イラストレータとして「Hanako」「オリーブ」のカットを描かれていた時期もあって、今回はそれもずらりと並んでいて、へえと思いました。
そのカットを見ると、なるほどかわいらしい感じのカットなんですね。そこからどんどん壊すというか、自分の絵をこどもの描く絵に進化させていっているんだなあと思いました。ほら、ピカソがどんどん普通のデッサンから、描きたい絵に壊しながら進化していったようなのに近いのかな。絵心がない人間なので、イマイチわかってないかもしれませんが。

会場にはこどもたちや、荒井良二ファンの女性が多く来ていて、こどもたちは熱心に会場においてある絵本を読んでいました。
うちの姪っ子も絵本とか読めるようになったらプレゼントしようっと。


ところで、ここ世田谷文学館は東宝の撮影所もあったおかげで、映画関係の展示もあるんですよね。ゴジラとウルトラマンがいる文学館はここだけかも。去年やっていた市川崑展も、常設展示の中にありました。
他にも乱歩、横溝正史、仁木悦子、高木彬光とか探偵小説関係もあるし、作家の数だけいったら、他の文学館がうらやましがるくらいにあるんですよねえ。


世田谷文学館の喫茶店にも立ち寄って、荒井良二展特別メニューがあったので、頼んでみたら、チーズケーキとドリンクセットでした。
会期は3/29まで。ぜひお越しを。

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DRAGONBALL EVOLUTION

見るべし。(笑)


鳥山明原作の、国民的人気マンガが、ハリウッドで実写映画化。最新CGやハリウッドスターを配した大作「DRAGONBALL EVOLUTION」

かつて2000年前、地球は、ナメック星人のピッコロと彼が操る大猿によって破壊されていた。その時7人の戦士によって、ピッコロは封印された。そして現代。孫悟空は、祖父の悟飯の下で育てられた。18歳の誕生日、悟空はドラゴンボールのひとつを託される。ドラゴンボールは7つ集めると神龍を呼び出し、ひとつだけ願いが叶えられる力を持っていた。おりしも、2000年の封印が解け、ピッコロは復活した。ピッコロを止められるのは、だれだ?

みんな、これでなにを書くか、期待したでしょ。
あのね、期待以上のできばえですよ!
次々と登場する、「え! お前が○○なの?」というキャラクターたち、90分しかないのに、本筋とも思えないチンタラと展開する学園パート、なぜか中途半端に出てくる原作通りのネーミング「KAMEHAMEHA」「KI(気)」「ナマステ」。
亀仙人のロゴの「亀」のフォントが変なんだよね。
そして、悟空より亀仙人より、ピッコロよりも、一番強くて大活躍する田村英里子。さすがは「アイドル伝説えり子」。(笑)

最後の浜崎あゆみの歌まで、予告を観てあなたが思ったであろう、期待を裏切りません!
これを観れば、「20世紀少年」も「ヤッターマン」も遙かに御飯三杯ぐらい美味しい映画になること間違いなし! 酒の席でビールを余計に飲んじゃうよ!
見るべし!(笑)
KAAMEEHAAMEEHAAAAAAAAAAAAAH!
BUDOUKaaaaaaaaaaN!!!!!(←なんとなく並べてみたかっただけ)

ひょっとして、マンガ実写化の真打ちは、世界のタキタの新作「釣りキチ三平」だったりするのかな?

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ジェネラル・ルージュの凱旋

どこまでいくんだ、中村義洋!

竹内結子、阿部寛主演でヒットした海堂尊原作、中村義洋監督の「チーム・バチスタの栄光」に続き、大学付属病院を舞台に、緊急救命センターの問題を描く「ジェネラル・ルージュの凱旋」

「チーム・バチスタ」事件のあと、神経内科医の田口公子は、緊急救命センター長速水が業者との癒着を告発した文書を手にする。病院長の指示でおっかなびっくり内部捜査を始める田口だったが、そこに現れたのは、あのチーム・バチスタ事件で活躍(迷惑?)した厚労省の官僚、白鳥だった。


いやあ、「チーム・バチスタの栄光」もなかなか面白い医療ミステリー映画だったけど、これは凄い!
いま世間で賑わせている救急医療の問題を正面に据えて、真っ向から、しかもそれをエンターテイメントとして描いたことに敬意を表したいですよ。
ニュースで表層的に批判される救急救命医療の受け入れ拒否問題が、どういう状況下で起きているかが、サスペンスの中で伝わってきます。

今回の実質的主役、「ジェネラル・ルージュ」こと速水を演じる堺雅人も乗りに乗って、もう、この人が出てきたら最強です。飛ぶ鳥を落とす勢いとはまさにこのこと。
他の役者陣もちゃんと見せ場を持たせつつ、山本太郎や羽田美智子、貫地谷しほり、オマケのレギュラーキャラである野際陽子にだって、前作のメインゲストだった佐野史郎や玉山鉄二、はたまた今回の悪役の尾美としのりや平泉成にだって、見せ場があるんですよ。それで全部本編に絡んで泣かせるんだもん。すっげー。
それで、これはあくまで田口・白鳥コンビのギャグで落とすって、中村義洋、どこまで進化するんだ!

ところで、高嶋政伸の演技が、髪型を含めてスポックくさいのは、狙いなのかな?


中村義洋監督は、伊坂幸太郎原作の映画化では現時点で最高傑作の「アヒルと鴨のコインロッカー」があって、海堂尊原作の「チーム・バチスタの栄光」があって、今回の「ジェネラル・ルージュの凱旋」で、次回がまた伊坂幸太郎原作の「フィッシュストーリー」でしょ。いやー、ヒットメーカーだなあ。

中村監督の次回作「フィッシュストーリー」も楽しみになってきましたが、まずはこの「ジェネラル・ルージュの凱旋」を是非ご覧ください! 観るべし!
シリーズ第三弾も観たいぞ!

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ヤッターマン

かつて一世を風靡した竜の子プロのギャグアニメが、桜井翔、福田沙紀、深田恭子ら豪華キャストをそろえ、三池崇史監督のメガホンによって実写映画化された「ヤッターマン」

ヤッターマンは正義の味方である。
4つ揃うと奇跡が起こるというドクロストーンを求めて、悪のドロンボー一味と今日も戦うのだ!

うーん。
どうしたことかと思うけど、ものすごく編集のテンポが悪くて、物語が弾んでこない。
おかげで大人なギャグがもっとさらっといけばいいのに、テンポの悪さが災いして、必要以上にベタついてちょっとねえ。下品なギャグがさらに下品になっちゃっている感じ。


昭和版へのリスペクトとかいいものいっぱいあるんだけど、「ヤッターマン」だからとカラッとしたものを期待したら、全体的にキャラクターの恋愛ドラマも含めてジメっとした感じがして、なんだかなと。

生瀬さんのボヤッキーが、演技を作れば作るほど大泉洋に似てくるあたりがご愛嬌。生瀬さんとかケンドーコバヤシがドラマとしても重過ぎるんだよな。
基本的に、ヤッターマンのキャラクターは、やっぱり記号でしかないので、それを生身の人間がやるとするとどうしても重みが出ちゃう。それがいいときもあるけど、「ヤッターマン」はその重みを支えるだけの内容ではないわけです。
「ダークナイト」のようなテーマとしての重さを最初から考慮した内容ならともかく、そもそもが記号でしかないものを、記号で演技させるんだけど、人間そのもの重みは消せないから、やっぱり重力にとらわれて、重たい内容になっちゃうんだよね。
ってこの評の意味が伝わるかな。

ヤッターマン2号にはもうちょっと色気が欲しかったな。変身前の服のときの帽子は可愛かったなと思います。演技じゃなく帽子ね。
深キョンのドロンジョはまあまあ。だけど、これならエリカ様の方がぴったりだったかな。「やっておしまい」とかいって下々にはべらせていそうじゃん。

というところで、まあ観たい方はどうぞ。
損はしないと思います。


今回なぜか本編前の最後の予告が「おっぱいバレー」で、「ヤッターマン」観たさに来たちびっ子とジャニーズ観たさに来たお嬢ちゃん(おねえさん、おば……)を前に、中村トオルの「ナイスおっぱい!」が炸裂して、ドン引き……。

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湊かなえ「少女」と映画「アンブレイカブル」

デビュー作「告白」がベストセラー驀進中の湊かなえの第二作長編。期待をこめて読まれた方もいらっしゃるかもしれません。
「人の死ぬ瞬間が見たい」と考えた少女二人の夏の物語「少女」
「告白」の悪意のこもった解決ドミノ倒し的などんでん返しに比べると、「少女」のどんでん返しはわかりにくいだろうなと思うのです。

「少女」の構成は由紀と敦子、二人の女子高生のそれぞれの一人称が交互にくることで、表か裏か、裏か表かと考えさせつつ、実は……というサプライズが来るようになっているわけですが、このサプライズが、ギリギリでストーリーのライン上から外れているので、サプライズになっていなくて、人によっては何のことか意味がわからないで読み終えて、「『告白』に比べるとつまらない」と感想を持たれると思うのではないかな。

「告白」の、どんでんが返りつつ最後にピースが埋まる快感と、「少女」の、どんでんが返ると思っていたら期待するところと違う部分がひっくり返って、意味がわからないという、この差、この違いって、非常にデジャヴを感じるのです。
それが、M・ナイト・シャマランの「シックス・センス」とその次に撮られた「アンブレイカブル」に似ているような気がしてならないのです。


「シックス・センス」は、かなりの人がすでに知っているように、一発どんでん返しに、シナリオ・演出・演技・撮影すべてが向かった傑作だったわけですが、あの快感をもう一度、という期待がかかった「アンブレイカブル」は、どんでん返しの意味がずれている上に、そもそもどんでん返しの意味が伝わらずに終わった感のある作品なのです。


「アンブレイカブル」は、「シックス・センス」と同じくブルース・ウィリスが主演の、スーパーヒーロー映画です。
「アンブレイカブル=Unbreakable」壊れないという意味ですが、何が? というと主役のブルース・ウィリスが、ということです。要するに不死身のスーパーヒーローだってことが、この映画のタイトルの意味を表しているわけですが、映画全体は「ブルース・ウィリスは本当に不死身のスーパーヒーローなのか?」ということをサスペンスタッチで追いかけます。
で、それが証明された後、最後の最後、まったく違うサプライズがやってきて、この映画が本当に意図した物語の意味がわかる、というのが、シャマラン監督が狙ったところなのです。

でも、そのサプライズが、見終わった後、観客に伝わっていません。サプライズが機能していないのは、「シックス・センス」のときと違って、物語全体が、ストーリーラインに乗った上でのどんでん返しになっていないので、「え、そこ?」としか言いようのない、唐突かつ強引なオチなんです。

「シックス・センス」が物語のためのどんでん返しなのに対し、「アンブレイカブル」は、どんでん返しのためのどんでん返しになっているのです。
これは近いようで、決定的にずれています。

M・ナイト・シャマランは、その後、どんでん返しにこだわっていくが、独りよがりで、つまらない映画ばかりを撮るようになってしまい、こうなると「シックス・センス」のすばらしさは、まぐれ当たりだったのかと残念のような気がします。
もちろん、凡作とはいえ「サイン」のアホさ加減とか、嫌いじゃないので、ついつい期待して観てしまうのですが……。


湊かなえの「告白」は面白かったけれど、「少女」は「どんでん返しのためのどんでん返し」を狙いすぎて外した感じからすると、次回第三作に期待しつつ、正念場のような気がします。

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チェンジリング

クリント・イーストウッド監督最新作は、アンジェリーナ・ジョリーを主演に迎え、子供を失った母親が、真実を求めて、警察を相手に戦う「チェンジリング」

1928年ロサンゼルス。シングルマザーのクリスティンは、息子のウォルターと二人暮らしだった。ある日、仕事が入ってしまったクリスティンは、ウォルターを家に残して仕事に向かう。
帰りが遅くなったクリスティン。家に戻るとウォルターが見あたらない。警察に届け出たクリスティンだったが、しばらくして息子が見つかったという。
しかし再会したのはウォルターを名乗るまったく別の少年だった。


いやあ、凄い。
実話だというけれど、本当に凄い展開。
偽物のウォルターの登場から、話は二転三転し、真実に到達したかと思いきや、そこからがとんでもないことになっていきます。一体真実はどこにあるのか?

再現された1928年のロスの風景とか、ああ、こんな画、日本映画だとがんばっても撮れないんだよなあとか、いちいちため息をつきたくなります。
アンジェリーナ・ジョリーが、息子への強い愛情とほとんど狂気スレスレの領域で、これまでにないベストな演技を見せてくれるのです。やっぱりいい女優ですね。
一方、後半の展開で登場するある男が、これまた本当に本物じゃんって演技で、怖いんですよ。生理的嫌悪感を感じさせるんだから、これが凄い。こんな映画になっていくなんて思いもよりませんでした。

イーストウッドの光と影の演出が的確で、堂々たる芝居のとらえ方になっています。
そもそもこの企画、いつものワーナー映画ではなく、ユニバーサルでロン・ハワードが監督をやるはずだったのが、イーストウッドに話が回ってきて単に雇われ監督なのです。それを引き受けて、これをまとめるんですよ。なんというフットワークの軽さ、そして腰の据わった映画の撮り方をするんでしょうか。
もはや余人に真似の出来ない領域というか、師匠であるレオーネやドン・シーゲルとも違う、ここまで映画監督として巨匠になるなんて、誰が思ったでしょう?

続けて主演監督作「グラン・トリノ」も待機中な上、更にその次の作品も撮影に入っているというから、イーストウッド、老いてますます盛んなりというところでしょうか。

まずは、この作品を見逃すべからず。
観るべし!

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