« March 2009 | Main | May 2009 »

April 2009

WOWOWドラマW「Go Ape ゴー・エイプ」

WOWOWが新人発掘を目的として、行っているWOWOWシナリオ大賞。受賞作は、映像化がなされます。
その第1回WOWOWシナリオ大賞を受賞した杉山嘉一さんのオリジナルシナリオを、岸谷五朗、城田優主演、「シャカリキ!」の大野伸介監督が演出した、ドラマ「Go Ape ゴー・エイプ」。3/28(土) 21:00より放映されました。
なんでまた、このドラマの話を書いているかというと、この「Go Ape」のシナリオを書き、栄えある第1回WOWOWシナリオ大賞を獲った杉山嘉一さんは友人だったりするので。映画「HIRAKATA」で監督デビュー、監督してはネットドラマ「探偵事務所5」や「2005年のロケットボーイズ」、シナリオライターとして「エリートヤンキー三郎」などを手がけています。

最初、受賞の話を聞いたときには、ごく単純にすごいなあなんて思っていたのですが、こうしてドラマになるとまた一味違うすごさを感じますね。

冴えない四十路のサラリーマン尾子(岸谷五朗)は、会社の宴会の帰り、深夜の公園で高校生三人組に襲われ、大けがを負う。復讐を誓った尾子は、彼らを捜し出すが、その一人、萩原由紀夫もまた、内に怒りを秘めていた。尾子と由紀夫、世代を超えた互いの怒りが、親や周囲の人々、ヤクザや警察を巻き込んだ暴力の連鎖となっていく。果たしてこの戦いの行方は?

オンエアされたドラマを観ましたが、なるほど、暴力と戦いのなかでしか通じえない男同士の心情という、ロバート・アルドリッチかペキンパーを、この現代日本を舞台にぬけぬけとやって、かつそれを俯瞰として見る批判的な目線を持ち合わせた展開でした。

主演のふたり、岸谷五朗と城田優はなかなか良いキャスティングだったと思います。岸谷さんの駄目サラリーマンが、もう少し弱々しい感じが出てればベストでしたが、ある程度の中年で、暴力によって人間性を取り戻しつつ、今度は抑制が効かなくなって暴走する様までを、体現していたと思います。
城田優も、ちょっといないタイプだけに逆にエリート高校生の雰囲気は出ていたと思うし、これも尾子によって己の抑えられていた獣性をむき出しにする姿が良かったと思います。

他の登場人物は狙いでそうしたのだと思いますが、結構ステレオタイプなキャラクターになっていたのですが、いくつかユニークなキャラクター(プリン好きのヤクザのボンボンとか、ちゃらい若手刑事)も配置しつつ、ちょっと生かし切れてなかったのが悔やまれるところ。

暴力のインフレという展開をドラマでやる限界も見え隠れして、画が貧しいととたんに嘘くさくなっちゃうとか、勢いで押そうとして、編集がそうなっていないから間延びしちゃうとか、演出の惜しさは感じるところはありました。

アルドリッチの「北国の帝王」とかあんな感じ出しつつ、でも男臭い世界の爽快感だけではないところに持っていこうという、その心意気や良し、というところでしょうか。


それはともかく、こうして身近なところに、がんばった人の姿を見ると、刺激を受けますね。うん。
こっちもがんばらなきゃ。


第3回WOWOWシナリオ大賞募集もはじまっています。
我と思わん方は、挑戦してみてください。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

ハリウッド監督学入門

「ザ・リング2」でハリウッドの映画作りを体験した中田秀夫監督が、その2年後、共に映画を作ったハリウッドのスタッフにインタビューし、ハリウッド映画の作り方に迫った「ハリウッド監督学入門」

中田秀夫監督。出世作「リング」がハリウッドでリメイクされ、今度は自身がその続編「ザ・リング2」を監督した。しかしその後、「the EYE」のハリウッドリメイク版の製作をするべく準備をするも、プロジェクトは流れ、傷心のまま日本に戻った。
そして再びハリウッドで、共に映画を作った仲間にインタビューし、そこで「ハリウッド映画の作り方」という壁を知ることになったのだった。

全てがビジネスで、監督の意見よりスタジオ、つまり出資者の意見が山のようにやってきて、いつまで経っても撮影にGreenlight(青信号)がともらない。
奇跡のような確率で撮影が始まっても、すぐに撮り直し、しかもcoverageといって同じシーンをあらゆる方向とサイズで撮るのだ。そんなやり方に反発するも、学ぶ面は学ぼうとする中田監督。
でも、話を聞きながら、ほとんどエイリアンとの「未知との遭遇」のようにハリウッドでの流儀に目を白黒させる中田監督が面白すぎます。
プロデューサーとかうさんくささ爆発で、一応は、一緒に映画を作った監督からのインタビューだからそれなりに礼儀を持っては話していますが、これが受け答えが適当なんだよね。それ以上に適当な答えしかしないハンス・ジマー(笑)。さすがハリウッドで生き残ってきた人間はそうそう簡単に尻尾は掴ませません。
一方、清水崇監督とは、互いにハリウッド映画の作り方で壁にぶち当たった者同士の戦友めいた空気もながれてますね。

本などでは「ハリウッド流映画作り」というのを知ることも出来ますが、改めて中田監督の驚きと共に、この作品でハリウッドの映画作りを知っておく方が良いでしょう。

劇中の映画のフッテージなどはないので、事前に「ザ・リング2」「THE JUON / 呪怨」は観ておいた方がより楽しめます。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

レッドクリフ PartII 未来への最終決戦

三国志の中でももっとも有名な「赤壁の戦い」を描いた、ジョン・ウー監督の二部作完結編。「レッドクリフ PartII 未来への最終決戦」。

呉を征伐せんと大軍を率いて攻め入る魏の曹操。一方呉の孫権は赤壁の守りを周瑜にゆだね、劉備の軍師孔明と共に戦いを決意する。長江を挟みにらみ合う両軍。果たして勝利を手にするのはどちらか? 決戦の時は迫る!

まあ、待たされただけのことはあったし、前作のときはわざわざ余計な字幕や過剰な説明にイラだったけど、そういうものだと最初から腹をくくれば、気になるものでもなし、それなりに楽しめましたよ。あまりにセンスのないサブタイトルはどうかと思いますが。

面倒なドラマと人間関係の説明は前作でやってしまったから、後はひたすら決戦へ向けての溜めに溜めての盛り上がり。そろそろもう決戦をはじめてくれよと思うところもありましたが、そこはそれ。
サブエピソードの尚香の潜入と友情の物語とか、なかなかに泣かせどころもあるし、物語の収束のさせ方はまともでした。

いざ決戦となると、爆発爆発また爆発なのですが、えーこの時代に火薬はないと思うのですがということは野暮ですね。
しかしこれをみるにつけ、合戦シーンにおける「影武者」「乱」および「プライベート・ライアン」の影響たるや絶大で、これらのミックスの上に、ド迫力の戦いが続きます。待った甲斐がありました。
ただ、それまで一生懸命ストーリーを盛り上げてきたのは呉の周瑜以下将軍たちなのに、いざ決戦になって関羽、張飛、趙雲ら劉備軍の武将たちが大活躍って、それはそれでちょっと複雑だなあ。

あ、中村獅童、やってることは「硫黄島からの手紙」と同じじゃん。

一方、ヒロインもリン・チーリン、ヴィッキー・チャオとそれぞれの見せ場もあるし、特にリン・チーリンはなるほど台湾の一番美女だけのことはあるなと思いましたよ。ラブシーンになるととたんにダメダメ演出のジョン・ウーだけど、これが義の物語になると上手くなるね。

というわけで、Part1もまだという人は、テレビでもやるし、DVDもあるからそれを観てからもよしということで。


ハリウッド版は、総集編2時間半バージョンらしい。それで充分じゃないのか?(笑)

| | Comments (2) | TrackBack (1)

白い恋人たち

季節的には、ずれまくっているのですのが、思うところがあるので、別のところで書いたネタを自分の日記で改めて書いてみます。


クロード・ルルーシュ監督といえば、「男と女」で有名な監督ですが、今回は1968年グルノーブル冬季オリンピック公式記録映画「白い恋人たち」について。
この映画、実はわたしも観ていないんですが、とにかくタイトルが有名なうえ、「男と女」からのルルーシュ監督の音楽の片腕、フランシス・レイのテーマ曲がこれまた甘い甘あ~いメロディなので、聴いたことはあるって人は多いかも知れません。


オリンピックの公式記録映画は、レニ・リーフェンシュタール監督による1938年のベルリンオリンピック「民族の祭典」「美の祭典」は別格として、1964年の東京オリンピックが市川崑監督による「東京オリンピック」があって、4年後の冬季オリンピックのグルノーブル、そしてその4年後の1972年が札幌冬季オリンピック(記録映画の監督は篠田正浩)があったから、ちょうどこの映画に対する注目度も高かったというところはあるかも知れません。

このグルノーブル冬季オリンピック記録映画の原題は「13 Jours en France」というわけで、意味からすれば「フランスの13日間」ですよ。それを「白い恋人たち」と邦題をつけたのは誰か知りませんが、天才だと思いますね。

「白い恋人たち」が札幌オリンピックに与えた影響は計り知れないわけで、公式テーマ曲「虹と雪のバラード」(作曲:村井邦彦)が男女デュエットによるラブバラードなのも、「白い恋人たち」のせいですね。
そうでなくたって、札幌のあの名物土産菓子「白い恋人」はまんまネーミングをいただいてますしね。

そうそう、わたしの父親が、テレビで東京オリンピックの映像が流れているのを観ながら、「お前が生まれたばかりの頃に、赤ん坊のお前を膝の上に乗せてテレビで東京オリンピックを観ていたなあ」としみじみ言い出して、どう考えても年代があわないので、まさかオレは年齢を偽られているのだろうかと思いましたが、考え直せば、東京じゃなくて札幌オリンピックですね。だったら生後半年のわたしが、父親の膝の上でテレビを観ていたかも知れません。
前述の「虹と雪のバラード」もレコードがあったので、こどもの頃、よく自分でレコードをかけて聴いてました。


「白い恋人たち」は去年2008年のカンヌ映画祭で、クラシック映画特集のオープニング上映されたというから、機会があったら、スクリーンで観てみたいです。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

買うべし!「映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと」

St330165
フィルムアート社さん、ありがとう!

ついに、ついに、ついに出た!
少なくとも、わたしが知る限りもっとも実践的でわかりやすい映画シナリオ執筆のための教科書、Syd Fieldの「Screenplay - The Foundations of Screenwriting」「The Screenwriter's Workbook」のうち、「Screenplay」が、『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術』(訳:安藤紘平加藤正人 小林美也子 山本俊亮)と題して出ました!


実践執筆編の「The Screenwriter's Workbook」は1991年に別冊宝島の一冊として「シナリオ入門」として出ましたが、これは伝説の書として、いまだヤフオクなどでは高値で取引されています。前にも何かの折りに書きましたが、作家の乙一さんはこれを座右の書としてあげていました。

映画というのはだいたい2時間の中に物語があるわけで、それをシド・フィールドが過去の映画の分析や、様々な物語論をまとめ、三幕の構成と物語の転換点となるポイントなど、非常に効率よく分析されていて、凡百の映画シナリオ教則本で「○○すべし」みたいな経験論的な説教本とは意味が違う!
それも、実際の映画のシーンを参考にしているので、とてもわかりやすいのです。
キャラクターはどうやって作るのかとか、アイデアをふくらますにはとか、事件の起こし方とか、ともかく読んで損はありません。

前述の「シナリオ入門」はもちろんもっていて、折りに触れて読み返していましたが、それでも飽きたらず、原書を買って、つたない英語力で読んでました。(というと英語出来るんだーとか思われるかもしれませんが、ぜーんぜん出来ません。気合いです)
でも、これでもう大丈夫。いま、日本語で読める喜びをかみしめてますよ。
しかも訳出されたのは2005年に出た最新改訂版をもとにしているので、参考にしている映画も「市民ケーン」など名作中の名作から、「シービスケット」「ロード・オブ・ザ・リング」など最近の映画になっていてこれだけでも映画好きなら読んでて楽しいです。

映画のシナリオを書く書かないにかかわらず、映画好きなら必読、小説を書こうという人も是非、特にエンタメ系なら読んで損なし。ストーリーテリングの参考書として、本当にすばらしく明快で、分析力のつく本ですよ。
定価2500円+税は、決して高くありません。ほら、そこのあなた、シナリオや小説を書いて賞金もらって儲けようってんでしょ。だったらこれぐらいの投資しなきゃ。

これが売れて、姉妹編である実践編「The Screenwriter's Workbook」も再訳されてあわせて出てくれればうれしいなあ。


買うべし! 読むべし!

| | Comments (0) | TrackBack (1)

フィッシュストーリー

伊坂幸太郎原作、中村義洋監督により大好評を博した「アヒルと鴨のコインロッカー」に続き、再びタッグを組んだ「フィッシュストーリー」


1975年。早すぎたパンクバンド“逆鱗”が残したアルバム「フィッシュストーリー」。それから40年近く経った2012年。巨大彗星が地球に衝突することが確定的な現在。しかしこの一見無関係な歴史の中の出来事が、実は世界を救うことになるのだった。それは一体……?

よくよく考えたら、これ、原作読んでなかったな。
でも、伊坂作品は同じ世界観で繋がっているので、別のあの作品の顛末がこうなっているのかと納得しました。

それはともかく、やはり断片的な展開がひとつに繋がる快感と物語的な感動のズレと、伊坂小説におけるオフビートなずれた笑いと、それが生身の人間によって演じられることの違和感……ってこれって「ウォッチメン」の時にも同じようなことを書きましたが、改めていうならば、それぞれの分野でこそ成り立っている面白さを、映画という(CGを使う使わないにかかわらず)実景の中で生身の人間が演じる姿をカメラで撮影し、編集するという表現形式の中での移し替えってやっぱり難しいなと、同じように感じました。
小説で目で追って読む台詞の間と、生身の人間のいう台詞の間にはやはり微妙に違うものがあるわけで、その差をきちんと埋めないと、気持ち悪さだけが残るので、観ていると「その間は何?」って気持ちになるんです。
ただし、「アヒルと鴨」の時もそうだったのですが、いったん話が乗ってきだしてからは、グイグイと面白くなっていくのでそれまでが我慢かな。
でも、「アヒルと鴨」の、濱田岳と瑛太が出会うときの、一瞬風が吹く感じの感動にはちょっと及ばなかったかな。まああれは一世一代の奇跡だよね。

でも役者陣は総じて良いメンバーを揃えてて、バンド逆鱗のメンバーなんか、伊藤淳史を含め、雰囲気としちゃ「NANA」のマンガそっくりさんコンテストよりもよっぽどリアルな売れないバンドの雰囲気になってました。

この後には、伊坂幸太郎原作と中村義洋監督のコンビ第三作が、先日の「ジェネラル・ルージュの凱旋」の主演、堺雅人と竹内結子主演による仙台大規模ロケ作品「ゴールデンスランバー」というから、これは期待しましょう!

そのためにも、少しオマケして、見るべしにしておきましょう。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

« March 2009 | Main | May 2009 »