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June 2009

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

大ヒットアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」を再構成のうえ、劇場版4部作に直した第2作「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」


エヴァンゲリオン初号機パイロットとして戦う碇シンジ。父である碇ゲンドウとの距離感がつかめないまま、エヴァに乗る意味を自問する。
そこにエヴァンゲリオン弐号機パイロットとして登場した式波・アスカ・ラングレー、それと仮設五号機のパイロット、真希波・マリ・イラストリアスが現れる。次々に襲いかかる使徒との戦いの中、碇ゲンドウはある計画の進行を進めていくのであった。

なるほどー。
前作「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」は、オリジナル版の再編集の色が強かったけれど、今回の「破」は、ストーリーのラインだけ残してまったく新規の展開となり、ようやく今回の新劇場版の意味が見えてきた感じです。

オリジナルに比べると、ドラマとして、それぞれのキャラクターが前向きになってますよね。それは前作「序」からそうだったけど、いよいよ動き出した感じ。それと日常生活の部分の比重が大きくなっているし。
なんでアスカが、オリジナル版の惣流・アスカ・ラングレーじゃなくて、式波・アスカ・ラングレーなのかとか、ようやくわかりました。
あれはあれ、これはこれですね。

それにしても、SEの数々には笑わせていただきました。
意味がわかる人だけわかってください。

オリジナル版に似ているようで、まったく違う。見かけにだまされてはいけません。現実は常にひとつきりとは限らないのです。だからこその新劇場版。
こうなりゃ最後まで付き合うしかないでしょう。

というわけで、

観るべし! 観るべし! 観るべし!
サービス、サービス!


でも、この調子でいくと、完結編までに、オレ、40歳を過ぎちゃうんじゃないかなあ。ああ、早く続きが観たい!

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劔岳 点の記

新田次郎の山岳小説を、「八甲田山」などで日本を代表するカメラマン木村大作が初監督に挑戦、浅野忠信、香川照之ら出演で、明治に地図作成のために劔岳の登山を行った測量隊の姿を描いた「劔岳 点の記」


明治三十九年。陸軍は空白となっている地図作成のため、陸地測量部の柴崎芳太郎に、劔岳の登頂と測量を命じる。柴崎は案内人の宇治長次郎や仲間たちと共に、劔岳を登る。しかしそれは困難を極める厳しいものだった。

上手くない。
上手くないというか、こちらが観ていて恥ずかしくなるほど、純情かつ素朴な映画なのだ。
主人公の浅野忠信演じる柴崎は、そのほとんどをこれまでの映画以上に寡黙な無表情を通す。その心情を語っているようでほとんど何も語らない。香川照之は常に引き立て役に徹し、松田龍平はとがった若者を演じ、宮崎あおいは、観ていて赤面するほどかいがいしい柴崎の妻を演じる。まさしく純情きらり。
ライバルの山岳会のリーダー演じる仲村トオルは、最近続いたキザな男をここでも繰り返す。「ナイス、測量隊!」といつ言い出すかドキドキものである。
だれもがほとんど演技らしい演技をしているわけではない。というより演技演出らしいことをほとんどしていないかのような台詞の棒読みのオンパレード。

展開も、愚直なまでに測量隊の足跡を、順を追って見せていき、台詞はひたすらに内面のモノローグと説明台詞の応酬。

音楽にいたってはテンプトラックそのまんまじゃないの、といいたくなるようなバッハやヴィヴァルディのクラシックの名曲の数々。

これが、数々の武勇伝を映画界に残したカメラマン木村大作の初監督作なのかと思うと、恥ずかしいほど純情すぎるではないか。素朴すぎるではないか。

しかし、その愚直なまでの測量隊の登山の行程を観ているうちに気づく。
劇中なんども主人公柴崎が問い直す「地図作り」とは何かが、つまり木村大作監督自身の「映画作り」の足跡そのものであることを。

実は浅野忠信の主人公柴崎以上に、思い入れを持って描かれるのが、香川照之演じる測量隊の案内人、宇治長次郎。長次郎が柴崎に対してひたすらに献身的に尽くす姿に、これまで映画作りのために数々の監督に尽くしてきたカメラマン木村大作がダブってくる。
クライマックスの長次郎と柴崎のやりとりが、まさにカメラマンと監督の理想のやりとりとして描いて見せたのである。苦楽を共にした仲間たちの姿と、登りきった者だけが通じ合えるクライマックスの交歓に、涙せずにはいられない2時間半。

なんことはない。
大作映画として宣伝されているこの映画は、実はとてもプライベートな、大作(だいさく)映画なのだ。

観るべし。

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愛を読むひと

現代ドイツの作家ベルンハルト・シュリンクのベストセラー小説「朗読者」を、ケイト・ウィンスレット主演、「めぐりあう時間たち」のスティーブン・ダルドリー監督で映画化した「愛を読むひと」


第二次世界大戦後のドイツ。マイケルは学校の帰り道、気分が悪くなったところをある女性に介抱してもらう。彼女の名はハンナ。マイケルは年上のハンナに惹かれ、関係を持つようになるが、ハンナには重大な秘密があった。


原作の「朗読者」って日本でも出た当時確か売れたはず。
当時読み始めたばかりのときに、この小説の重大なネタバレを聞かされてしまって「えー!」とショックだったのを覚えているなあ。

今回の映画では、ヒロインのハンナをケイト・ウィンスレットがやっているわけですが、なかなか頑張っていたと思います。いや、この映画でアカデミー主演女優賞を獲りましたから当然なんですけど、私が観る限り、以前やった「アイリス」とかでもう獲ってておかしくないと思いましたからね。
誰にも言えない重い罪を抱えたヒロインの、それと引き換えにでも隠したいというその気持ちを、現代に生きる我々では理解しにくいその心情をどこまで想像力を働かせることが出来るかで、評価が別れるでしょうね。
でも「えー意味わかんなーい」とか思ったひとは、人の心を読む力をもっと学ばないとね。

それはともかく、ドイツの話なのに、英語でしゃべって英文って、うーむ、それってどうなのかと思いましたけどね。
これだけ読むことが重要な作品を、原語ではなく英語作品として作っちゃうというところに、重大ななにかが抜け落ちているような気がするんだけどな。
とはいえ、私自身、日本語の翻訳でしか読んでいないわけだけどね。

原作は傑作。
いわゆる「読む」ことに関して考えたければ、必ずや読むべし!
できれば、映画はそのあとのほうがいいかな。

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ターミネーター4

ジェームズ・キャメロン監督の代表作にして、シュワルツネッガーの代表作でもあるSFアクション映画第4弾。今回は、審判の日以後のターミネーターと人類との戦いそのものを、クリスチャン・ベール主演、McG監督で描く「ターミネーター4」

スカイネットによって引き起こされた核戦争「審判の日」。それ以降、スカイネットが送り込むターミネーターと生き残った人類との戦いは続いていた。
人類の抵抗軍のひとりであったジョン・コナーは、未来の「人類の救世主」と過去から伝説の存在としていわれてきた。
ジョンが急襲したスカイネットの施設で、生き残ってはい出たのは、マーカス・ライト。彼は自分が何者であるか、記憶を失っていた。しかしさまよい歩くうちにひとりの青年と出会うのだった。


「ターミネーター」第1作を観たときの衝撃は忘れられない。
それまでシュワルツネッガーは筋肉ムキムキの大根役者であるけれど、ヒーローだと思っていた。でもそれが感情のない殺人マシーンとして登場したとき、低予算で荒っぽい画でありながら、たたみかけるようなアクション演出に、本気で怖くて、「激突!」でスピルバーグこそが最高のチェイス映画だと思っていた10代のわたしに、スピルバーグを超える存在になるのは、このジェームズ・キャメロンなのではないかと刻み込まれたのだった。


あれから四半世紀か……。
シリーズはキャメロン以外の手に渡り、まだ続くのね。

さて。
シリーズものの前日譚prequelを描くというのは、このところの流行のようで、そもそもは「スター・ウォーズ」がエピソード1をやった以降、007シリーズも、先日の「スター・トレック」もそう。
ただし、前日譚ということは、シリーズの始まりに繋がるわけで、観客からすればオチのわかっている話を見なきゃいけないということになる。
その点を上手く回避して、主演者が交代するからということでやったのが「007カジノ・ロワイヤル」だし、原点回帰しながら○○○○○ール○にしてみたのが「スター・トレック」。

じゃあ、今回のターミネーター4はというと、どうやら「スター・ウォーズ」パターンを選んだようで、第1作の始まりまでを三部作で描こうというわけです。その第1作。
特にジェームズ・キャメロンが撮った1,2にオマージュを捧げて、時系列としては未来なんだけど、物語の流れとしてはその前になっていて、なのに、ジョン・コナーが抱える苦悩は現在進行形という、なかなかに捻っていることになっています。このあたり、ノンクレジットで脚本を直したポール・ハギス、ジョナサン・ノーランの力でしょうか。だからか、今回のジョン・コナーはバットマンでもあり007でもあり。

一方、キーマンになっているマーカスもふるっていて、あちこちが面白いわけです。ここは言ってしまうとつまらないので止めておきます。

ただ、力が入りまくったところがありつつも、一所懸命がんばったのに最後お漏らししちゃった、あとちょっとだったのにな感じも。そこがちょっとね。
それまでが面白かった分、そこの痛さが目立っちゃうということです。

でも、全体としてみたら、観てお金分の楽しさは保証してくれることでしょう。
シリーズを知らない人は、第1作、第2作は観てから劇場へ行けば、面白さ倍増、というより、まずその2作がマスターピースなんだから!

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スター・トレック

すごいよ、J.J.!(植草甚一にあらず)

40年以上にわたり、ドラマ、映画と世界中で愛されてきたSFドラマが、オリジナルの設定に立ち返り、新しいキャストで物語の原点を、「M:I-III」のJ.J.エイブラムス監督が描く「スター・トレック」

宇宙艦隊のUSSケルヴィンは、ロミュランの攻撃を受け大破する。船が沈む前に、船長からキャプテンを任されたカークは、船員たちを脱出させ、自らの命を落としてしまう。救われた船員たちの中にカークの妻もおり、脱出のさなか、子供を産む。その子の名は、ジェームズ・タイベリアス・カーク。後に英雄と語られる男の誕生である。


いやあ、すばらしい。
オリジナルに敬意を表しつつ、ちゃんとこの物語ならではの話にしているしね。というかスタトレ版「カジノ・ロワイヤル」ですね。
今回のタイトルは、これまでが「スタートレック」、今回は「スター・トレック」。
昔のパロディ版が「カジノロワイヤル」、ダニエル・クレイグの007は「カジノ・ロワイヤル」。
そういうところも何となく似てるかな。

キャストの登場のさせ方がそれだけで上手いし、転送装置がどこで出てくるかなとか思ったら、いきなりそんな格好いい使い方だし、あれ、そこでスコッティは? と思ったら、そうくるかーとか。あの人の登場もいちいちが憎いし。
でも途中で「クローバーフィールド」になって、ある場所に着いたら「LOST」になる。(笑)

ウフーラ役の女の人、どっかで観たなと思ったら、「ターミナル」でトレッキーの空港員やってた人だよ。ははは。

シリーズを知らなくても大丈夫、知ってたらなお大丈夫、トレッキーなら大満足。(どうやってがんじがらめになっているのオリジナル設定を無視できるかとか、上手い方法でついたよね)
やるな、J.J.! すごいぜ、J.J.!
続編も見たいゾ!

「観るべし」のかわりに、これをいいましょう。


長寿と繁栄を。

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