映画・テレビ

2008.07.07

歩いても 歩いても

「誰も知らない」の是枝裕和監督最新作は、ある一家の一日をさりげなく描きながら、そこに流れる家族のすれ違いと悲しみを描いた「歩いても 歩いても」


夏の盛りを過ぎたある日。横山家には長女ちなみ(YOU)の一家と、次男良多(阿部寛)の家族が集まってきた。長男純平の命日だったのだ。子ども達とその家族を迎えるので、母のとし子(樹木希林)は忙しく料理を作っていた。
良多は妻ゆかり(夏川結衣)とその子どもあつしを連れていたが、連れ子を伴った再婚の身であるゆかりには、良多の両親に会うのが気が重い。良多自身も失業中だが、そのことを親に言えないでいた。
父の恭平(原田芳雄)は、医者をやっていたが、今は隠居の身。だが子ども達とどう接すればいいのかわからず、ちょっとしたことで怒ってしまう。
そして一日が過ぎていこうとしていた。

全てが素晴らしい!
まず、ダイアローグセンスが素晴らしすぎますね。「誰も知らない」とかそれまでの是枝作品は台本に台詞が無くて即興でやらせていたらしいですが、今回は台本をちゃんと書いて演じてもらったそうで、それが本当なら、あまりに素晴らしすぎます。ひたすら家族で雑談していて説明台詞なんかほとんど皆無のように見えるのに、ちゃんと話が進んでいくうちに、この横山家の家族構成やそれぞれの職業、そして核心となる長男の事故のことなどが浮かび上がってくるんですね。

そして、演技とセット撮影のすばらしさ。ほとんど横山家のセット一杯の作品なのに、人物の出し入れとか本当に完璧。
「幻の光」の頃は、あからさまな小津と侯孝賢のエピゴーネンから入ったし、「ワンダフルライフ」の狙いすぎの設定などもあったけれど、いまや誰とも違う、是枝ワールドを築き上げたなあと思います。

観終わってなんかね、実家に電話しなきゃ、って気分になりましたよ。
そう思ったのは小津を除けば山田洋次の「息子」以来ですね。

あ、それと樹木希林が作る料理の数々がおいしそうなんだよなあ。これを観るとお腹空きますよ。
トウモロコシの天ぷらは本当に旨そうだよ。あの「カリッ」って音がさあ。


本題とは関係ないし是枝監督は意図してないと思うんだけど、原田芳雄演じる父親が、宮崎駿に見えて仕方なかったです。吾朗君とはうまくやっているのかしらん。


ともかく、これは今年観ておかないと損する一本。
年末のベスト選びは、これを観ておいたか否かでガラッと変わりますよ。


観るべし!

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庭から昇ったロケット雲

現時点の今年度ベスト1!

アメリカの片田舎で農夫として暮らす男が、宇宙を目指して、家族と共にロケットを作り打ち上げようとする姿を、ビリー・ボブ・ソーントン主演にて描く「庭から昇ったロケット雲」


牧場で宇宙服を着て馬に乗った男がいる。チャーリー・ファーマーは、かつて宇宙飛行士を目指していたが、父の死によって田舎に帰り、農夫として働く道を選んだ。しかし夢をあきらめず、妻や子ども達の応援を得ながら、納屋で自作のロケットを作り、それに乗って宇宙へ打ち上がろうとしていた。
しかし、ロケットの燃料を多量に買い付けようとしたことから、FBIから目をつけられるようになる。しかもロケット制作のための度重なる借金で自宅まで失おうとしていた。チャーリーは本当に宇宙へ行けるのだろうか。

かなり前からAppleのトレーラーサイトでこの作品のトレーラーを観ていて、この「The Atronaut Farmer」(原題)は気になっていたんですね。どうやら農夫が宇宙を目指す話みたいだってのはわかっていましたけど。まさか主人公の名前がファーマーだとは思いませんでした。
有人飛行ロケットを個人で制作し、打ち上げることが技術的にも費用的にも出来るのかは、ちょっと難しいかもしれないけれど、「夢に向かって邁進する」というストレートなテーマにはやはりウルウルしますね。

主人公を演じたビリー・ボブ・ソーントンはさすが。普通っぽいけど普通じゃない夢を持った男をリアリティを持たせています。妻役のヴァージニア・マドセンも田舎の女をリアルに演じていて、二人の好演が、作品のリアリティをまず支えています。
義父役でブルース・ダーンってのが憎いですねえ。「サイレント・ランニング」ですよ、旦那!
それと、あっと驚くノンクレジットの大スターが登場するのも見所。あのヒット映画を思い出させてもくれるし、なかなかおいしいですよ。
現代なのにわざわざアトラスロケットを作るし、明らかに「ライトスタッフ」チルドレンの作品としても観られる(まあ技術的には枯れているから現代なら個人でも作れるかもしれないという後づけの理由もあるとは思いますが)、そういう意味でいると、リアル系宇宙映画の歴史をちゃんとふまえています。
根性と愛でまとめてしまうかと思ったら、そこはそれなりに段取りを踏んでくれます。

愛する夫が目指す夢を共に支える妻や、そんな父親を尊敬する子ども達。いかにもなアメリカ的家庭の理想かもしれないけれど、これだけ素直に家族賛歌を言われると「いいなあ」と思います。クライマックスからラストで、不覚にも泣いてしまいましたよ。
こんないい映画が、夏休み大作映画に埋もれて地味に公開されているなんて、あまりにもったいない!

お父さんは子どもを連れて観るべき映画です。
シャンテシネにて公開中。
絶対にオススメです!

観るべし! 観るべし! 観るべし!

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純喫茶磯辺

「なかざと いさ」じゃないよ「なか りいさ」だよ。

「机のなかみ」の吉田恵輔監督の新作は、宮迫博之、仲里依紗、麻生久美子による、中年ダメ親父が喫茶店を開くことによるちょっとした日常の冒険とおかしさと悲しさと夢を描いた「純喫茶磯辺」


磯辺裕次郎は、娘の咲子と二人暮らし。妻は離婚し、娘は父親を疎ましく思っていたが、なんとかやっていた。そんなとき、父親が死に、遺産が転がり込んできた。元々まじめに仕事をしていなかった裕次郎だが、お金が入ってますます堕落した生活になっていた。
娘からも自堕落ぶりを言われ、何かやろうと思ったところで思いついたのが、喫茶店。遺産を開店資金にはじめたが、その名も「純喫茶磯辺」。あまりセンスのない店に戸惑う咲子だったが、そこにやってきたのは、美しく若い菅原素子だった。バイトに雇って欲しいという素子を、裕次郎は下心丸出しで雇うことにするが。

いやあ、エロですなあ。というか真っ当なスケベというか。
ただ単にダメ親父が喫茶店をやるというそれだけの話が、麻生久美子の登場で一気に日常のファンタジーに早変わり。
宮迫の駄目ッぷりや、麻生久美子の男を翻弄する女っぷりもいいですが、仲里依紗のいかにも現代的娘の父親へのウザイ感じがよく出てます。
しかしメイド服を全否定する仲里依紗、家に帰ってテレビつけたら「ハチワンダイバー」で巨乳のメイド服ですからね。エロですなあ。

でもこの映画の好ましいところは、なんだかんだと言いながら、誰もが誰もを見捨てないんですよ。父親の宮迫は娘に甘えているようでなんとかしたいと思っているし、あれこれ言う仲里依紗も店を手伝うし。別れた妻役の濱田マリだって、それなりに気をかけている。
だから喫茶店の常連たちも含め、このダメ親父の日常の冒険を微笑ましく見守ってくれているわけですね。
ラストで、あの親子の行く末を、幸あれと思うこと間違いなしです。

というと、新作なのに古すぎる「築地魚河岸三代目」よりも、はるかに松竹大船映画的なものを、吉田監督は無意識的に受け継いでいるんじゃないかと思うわけです。
だから松竹企画部は速攻で吉田監督に次回作のオファーをした方がいいですね。いや、「純喫茶磯辺2」は違うと思うけど。

ま、そんなことより、毎週欠かさず「ハチワンダイバー」をブルーレイで録って喜んでいる仲里依紗ファンはもちろん、ちょっと気の利いた映画をお求めの方は是非ご覧ください。

観るべし!

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クライマーズ・ハイ

日航機墜落事故を題材にした横山秀夫の小説を、「ガンヘッド」「金曜腐食列島[呪縛]」の原田眞人監督、堤真一主演で映画化した「クライマーズ・ハイ」


1985年8月12日。消息を絶った日航機123便。群馬県前橋市にある北関東新聞社の記者悠木は、この事故の全権デスクを任される。群馬県に墜落したことが判明してから、この事件を伝える使命に燃えていくが、そこには新聞社内の人間関係の軋轢や他社とのスクープ合戦の中、デスクは騒然となっていく。そして手にした重大なスクープとは。

原田眞人という監督は傑作か駄作のどっちかしか撮らないひとで、中間ってものがないんですね。「KAMIKAZE TAXI」とか「金融腐食列島」なんかは傑作といってもいいけれど、前作「魍魎の匣」なんてねえ。
でも、前作の良かったところは、主演堤真一を獲得したことで、今回の孤立するデスク役悠木を熱演してます。

誰しも働くものであれば共感してしまうであろう、上司との軋轢や社内のセクショナリズム、辞めたいと思いつつも裏腹の仕事へのプライドなど、小さい描写の中に描いています。そう、これは日航機墜落事故のドキュメントではなく、それをどう伝えようとしたかという会社のドラマなのです。まさしく「事件はデスクで作られる」です。

この作品に出てくる役者はどれも美味しい役どころですが、特筆すべきは堺雅人で、現場を文字通り泥だらけでかけずり回り記事を送りつつも、それを落とされ、それでも食らいついていく地方紙の記者を演じており、ドラマの「新選組!」の山南総長と双璧を成す代表作になると思います。

一方敵役にまわる三人の上司、さらに新聞社社長の山崎努は、どれだけ憎たらしいかわからぬほどのクソ爺っぷり。これも「天国と地獄」「マルサの女」と匹敵する山崎努三大悪役になることでしょう。
でも一致団結するときの田口トモロヲや堀部圭亮のフォロー、常に助けるでんでん、なんだかんだいいつつスクープを抜くときに記者魂を炸裂させる遠藤憲一など、男臭いエキス満載。昼間のパパはちょっと違うぜ!

ちょっと気になったのは、現代パートの挿入が、うーんそこか? と思うところがあるのと、意図がわからないとMIXをミスッたとしか思われないかもしれない狙いすぎの音響。特に冒頭、ぼそぼそとしゃべる高嶋政宏の会話、堺雅人のポケットに入れた小銭の音、販売部のガムを噛む音など、やりすぎと思うけどな。
(劇中でまったく解説されないけれど、なんで堺雅人が小銭をポケット一杯に持っているかというと、北関東新聞社には無線が支給されていないので、通信手段として電話しか無く、常に電話をするための小銭を用意しておかないと困るから、なんですね。原作読んでいないからそういう説明があるのかわかりませんが、多分間違っていないと思う)

2時間25分という長尺はあるけれど、だれるところはありません。
この夏、お子様向けのドラマ映画とかばかりが幅を利かせ飽き飽きしている方は、是非ともご覧くださいまし。

傑作!
観るべし!

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スピード・レーサー

「マトリックス」三部作のウォシャウスキー兄弟の監督最新作は、タツノコアニメの傑作「マッハGoGoGo」を実写映画化。デジタル撮影で原色のポップな世界観を表現した「スピード・レーサー」

スピード・レーサーは、マッハ号を駆りレースで名を挙げていた。スピードにはレーサーの兄レックスがいたが、事故で死んでしまったのだ。その兄の跡を追うように走るスピード。両親をはじめ家族や恋人の支えがあったが、そこにあらわれたのは、大企業ロイヤルトンのオーナー。スピードに好条件の契約を持ちかけるが……。

はじまって5分で目が痛くなるような極彩色。グリーンバッグのデジタル撮影で背景はほぼCGということで、たしかにアニメの世界観は実現しているかもしれません。
でも意図通りの画がデジタルで作り出せたからといって、それが映画的興奮とイコールで結ばれないのは、ジョージ・ルーカスが「スター・ウォーズ」新三部作で証明してしまったわけです。
それがウォシャウスキー兄弟であっても、やっぱりうまくいくわけではないのです。
そういやあ、エピソード1でもポッドレースがあったな。

多分、ルーカスと同じで、前作「マトリックス・リローデッド」で高速道路アクションを描くのに本当に高速道路を造ったことの大変さから、「スピード・レーサー」は全編CGだ! となったんでしょうけどね。
でも、スーザン・サランドンやジョン・グッドマンといったハリウッドきっての芸達者を集めて、アニメそっくりの極彩色の服を着せて、グリーンバッグを前に撮影しても、やっぱりね。なんか痛々しささえ覚えます。

たしかに「スピード・レーサー」とその元になっている「マッハGoGoGo」へのリスペクトは、エンディングを観るだけでもよくわかります。
でもね、実写スタントにこだわったタランティーノの「デス・プルーフ」の爽快感に遙かに及ばないのは、レース映画として致命的な欠陥を抱えているんだと思います。
そういうことでいえば、タランティーノの「スピード・レーサー」を観たかったな、と思ってしまうのは、映画ファンの勝手な夢想というヤツで。


というわけでこっちよりも、「デス・プルーフ」を観ていない人は、近所のレンタル屋さんでDVDを借りてきて観ることをオススメします。

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2008.07.03

秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE II 〜私を愛した黒烏龍茶〜

ネットや深夜で放映し人気を博し、TOHOシネマズのプレショーでも起用され人気者、あまつさえ劇場版まで公開されたFLASHアニメ「秘密結社鷹の爪」が帰ってきた。今度はネットとハゲタカファンドをネタに、世界征服を企む鷹の爪団が戦う「秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE II 〜私を愛した黒烏龍茶〜」


今日も貧乏ながら世界征服を企む秘密結社鷹の爪。ところが今回、ハゲタカファンドが日本企業を買い漁っていた。このままでは日本の全てが買い取られてしまう。窮地に陥る鷹の爪団。しかし逆転の鍵は、島根県にあったのだ!

いやあ、相変わらずくだらなさ満載。でも人気の故か、スポンサーも増えました。とってもわかりやすい予算ゲージで判断できます。
でも結構芯の部分は真っ当だったりするんですよ。クライマックスの吉田君の台詞にウルッときてしまったり。
そのあとで、無駄に豪華な効果音。(笑)

しかし、あれだけ島根県がフューチャーされていれば、そりゃ島根県も大喜びでしょう。って本当に知事に会ってるんだ。
http://www.pref.shimane.lg.jp/hisho/yookoso.html
確かに「天然コケッコー」「砂時計」に続き、次の朝のNHKテレビ小説の舞台でもあるらしいので、実は島根ブームか?

オマケの「古墳ギャルのコフィー 12人と怒れる古墳たち」が、実は裁判員制度のわかりやすい説明になってて、いやさすがTOHOシネマズのマナームービーをやってきただけのことはあります。

って、いつの間にかマナームービーが「デトロイト・メタル・シティ」になっているぞ。いいのか鷹の爪団。もうお役ご免なのか、まだまだがんばれ、鷹の爪団!


さあ、みなさんご一緒に。
た〜か〜の〜つ〜め〜。

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ミラクル7号

「少林サッカー」「カンフーハッスル」のチャウ・シンチー監督・主演最新作は、貧しい親子のところに現れた宇宙生物との交流を描く「ミラクル7号」


貧しいながらも名門校に通う少年ディッキー。しかし靴はゴミ捨て場から拾ってきたものを直して履き、服は薄汚れている有様。父のティーは建築工事で必死に働くも、息子の学費を稼ぐのが手一杯で、生活には困っていた。
あるとき、ティーはゴミ捨て場でボールを拾ってくる。ディッキーのおもちゃのつもりだったが、それが動きだし、不思議な姿の生き物になる。なんとそれはUFOが残していった宇宙生物だったのだ。

前2作のアクションコメディーから一転、今回は貧乏親子の物語に、ETをプラスしたというところ。でも挿入されるギャグは、これまでの下品なネタが健在。「少林サッカー」の世界的ヒットで、バジェットが広がったとはいえ、ここが変わらないのは作家性にブレがないなあといえますかね。
でも、以前の作品にあった「美人女優をひたすらブサイクに扱う」というのはなくなってました。ここは、今回の作品の主役が子どもであり、シンチーも脇にまわったところも関係しているのかもしれません。
肝心のミラクル7号は……だから貧乏な藤子マンガの世界ですよね。こういうもんかなと。目新しさはないよなと思いましたよ。というかこういうのは散々マンガやアニメで観てきたからね。でもそれを世界配給のバジェットで出来るというのはちょっとうらやましい。

今回は客層を子どもに絞ったのか、ほとんどが吹き替え版での公開になったんですね。最初は字幕版を観るために新宿まで行こうかと思いましたが、雨降ってて面倒でしたから、近所のシネコンで吹き替え版を観ました。そしたら子ども達がドッカンドッカン笑ってて、これはこれで良かったのかなと。
そう、シンチー作品のギャグの下品さも、子どもの世界として描かれると、子どもそのものが下品で低俗なものが好きですから、違和感も少ないし合っていると思います。要するにクレヨンしんちゃんとギャグのレベルは変わらないからね。

「少林サッカー」のようなものを求めると肩すかしを食らうでしょうが、そこはそれ、ギャグ満載の実写オバQとでも思えば、楽しめるのではないでしょうか。

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2008.06.25

世界で一番美しい夜

天願大介監督の最新作は、日本のある村を舞台にした性と生命の神話的物語ともいうべき「世界で一番美しい夜」。

要村という何もない村は、出生率日本一の村として注目を浴びていた。その理由は十四年前、村の新聞支局に新聞記者の水野一八が左遷されてきたことから始まる。一八が歓迎会で連れて行かれたスナックには、とてつもない美人の輝子がいた。輝子には二人の先夫に先立たれていたが、それは輝子に隠された秘密があった。やがて村全体を巻き込んだ狂騒へと発展していくのだった。

この作品のことは、スズキコージの「スズキコージズキンの大魔法画集」を買ってみたら、序文エッセイで佐野史郎がこの作品について書いており、それから結構楽しみにしていた。
で、実はその時、この映画は全編スズキコージの絵と合成したアニメ映画なんだと思っていて、天願大介監督のアニメ映画ってどんなんだろう? と思っていたら、そうじゃないのね。確かにスズキコージの絵との合成シーンはあるんだけど、それは一部なんですね。
どっちかというと「神々の深き欲望」天願版っていうか、多分本人はそういわれることを意識してるんじゃないかとおもうけど。

今村映画に感じる泥臭くて汗臭い世界とは違って、すっぽんぽんの裸もセックスもあるけど、全体としてあっさりした感じなのは、監督の資質の違いなのか、それとも時代的な違いなのか。
時折合成アニメとして挟まれるスズキコージの絵の方が(パンティとかも!)、実写より数段エロくて神話的ですね。
突き詰めた人間模様の向こうに見える“重喜劇”というよりは、コミカルな狂騒のエロテロ物語という方が正しいんではないかと思いますね。

でも、今村的なものを受け継ぐ意志を明確に見せたというのは、天願大介監督の転換期の作品となるんじゃないでしょうか。


サルビルサ!

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神様のパズル

角川春樹プロデュース、三池崇史監督というタッグにより誕生したのは、第3回小松左京賞を受賞した機本伸司原作、市原隼人・谷村美月主演の、なんと青春学園物理SFという他に類を見ないジャンル作「神様のパズル」

綿貫基一は寿司屋でバイトしながら、ロック歌手を目指す青年。そこに双子の弟喜一が海外旅行に行ったために、代わりにゼミで代返を頼まれることに。
渋々大学に行ってみると、今度はゼミの鳩村教授から、ある少女をゼミに連れ出すよう依頼される。その少女の名は穂端沙羅華。人工授精で生まれた天才少女だった。そのサラカとともに、基一は「宇宙の作り方」をゼミで研究することになったのだが。

思っていたより結構面白いじゃないですか。
原作は小松左京賞を受賞が決まってから「面白そうだ」と気になって、速攻で本屋で買って読んだんですね。でも「神様のパズル」ってこんな話だったっけ?

映画では主人公が双子の兄弟という設定が付け加えられたけれど、後半弟がインドに行くシーンって、完全に本題に関係ないですよ。これならいらなかったし、2時間14分という時間が長すぎて、ここをカットするだけで、2時間になるでしょう。
主人公が寿司屋のバイトをしてるってのもどうかと思うけど、クライマックスを観てみて、狙いはわからないではないですね。
期待した学園物理SFっぽいところは、基一とサラカのやりとりがあるのと、ゼミのディベートで盛り上がってきたなあと思ったら、あら、それっきり。
明らかに肝心要の宇宙論を作り手が、わかっていないんだろうなあと思いつつ、それでも一生懸命映像にしようとしているところは微笑ましいです。
「宇宙の晴れ上がり」って、本当に雲間から晴れた夜空が出てくるんだからさ。わはははは。

映画だからビジュアル優先でどでかいジェットコースターみたいな加速器になってましたが、実際は運用が大変だろうなあとか、ここまでやるんならなんでもっとちゃんと説明してくれないのかとか思うんですが、そこはそれ、そう思ってしまうのも、やっぱり天文教育向けの作品ばっかりやってきた身だからなんですかね。

でもこういう物理SF映画(っても最後は物理でも何でもないけど)なんて今後も出てきそうにないんだし、ここはひとつ広い目で楽しみましょう。
どうしても訳がわからんという人は、谷村美月の胸の谷間でも観て楽しんでくださいまし。

あ、この映画では携帯は変形しないんだ。ってNTTドコモだし。

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2008.06.16

アフタースクール

緻密な構成とどんでん返しで高評価を得た「運命じゃない人」の内田けんじ監督の新作は、大泉洋、佐々木蔵之介、堺雅人といった人気・実力を備えた俳優達を揃え、同級生どうしの人間模様とあっと驚く展開の「アフタースクール」


木村と神野は中学時代からの同級生。神野は母校で教師を、木村は商事会社の経理係になっていた。ある日、木村は横浜で若い女性といるところを目撃された後、失踪してしまう。あるルートから依頼された探偵は、同級生になりすまし神野に近づく。若い女性との駆け落ちに思えたこの事件の裏には、と鉄もない大きな事件が隠されていたのだった。

前作でも意外な伏線とどんでん返しで、おおっと思わせてくれましたが、今回もいっそう磨きがかかってます。
M・ナイト・シャマランも似たような感じだと思いますが、シャマランが「シックス・センス」以降、ひたすらにどんでん返しのアイデアに拘りすぎるあまり、細部の伏線がだんだんと雑になっているところからすると、内田けんじ監督に軍配が上がるかな。
ただ、シャマランのどんでん返しは一発どっかんなのに対し、内田けんじ監督のは、細かい小ネタですからちょっと違うかな。なにせトップシーンの全部の台詞からして伏線だらけですし。

後半三分の一で明かされる真相と謎解きはなかなかと思いますが、あまりに作為的すぎて、逆にちょっとやりすぎかな。だから物語は面白いのに、登場人物の印象が弱すぎて、物語のためのコマに見えてくるんですね。
この点、ストーリーに破綻をきたしながらも、愛すべきキャラクターを見せてくれた三谷幸喜監督「ザ・マジックアワー」と真逆かも。
今回は大泉洋や堺雅人、佐々木蔵之介といった芸達者を揃えているのでまだ印象は前作よりよくなりましたが、このあたり、キャラクターに血を通わせられるようになれば、最強ですね。
ともあれお二人とも、私なんか及びもつかないほど凄すぎますが。
ああ、才能がない凡人は悲しいのお。

ともかく、この次はさらに大きいバジェットで活躍してくれそうな内田けんじ監督ですから、ここで見逃すべからず。

前作を観ていない人はDVDで、そしてこの作品は劇場へ!
観るべし!

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2008.06.15

JUNO / ジュノ

小規模に公開されながら、アメリカでは大ヒットを記録した、16歳の少女による妊娠と出産を描いた「JUNO / ジュノ」


ジュノは16歳。同級生のポーリーと興味本位でやったセックスで妊娠してしまった。最初は中絶するつもりだったが、思い直して出産することに。そこで家族や友人を巻き込んでの騒動となる。無事ジュノは出産できるのか?

なんというか、あっけらかんというか、主人公ジュノはほぼぶれないんですね。状況に対して思い悩んで停滞しないわけです。産むと決めたらそれに向かって進んでいくわけです。

この手の話が重くなりがちだったりやたら生命賛歌に走るところを、この作品がそうならないのは、展開の早さと、主人公を含め意外に個性的で前向きなんですね。

というか、この作品に出てくる登場人物は、みんなちょっと変、いやいい方向で言っても「個性的」です。両親は娘の出産宣言をそれなりの前向きさで受け止めてバックアップするし、お腹の子どもの父親であり、彼氏となる少年も、まあはっきり言ってキモいんだけど、主人公はそれを否定しないし、本人も自分の変さを受け止めつつ平静なのです。

子どもの里親になる夫婦も、見た目は円満でありながらぎくしゃくしつつ、でもこれまでの作品なら「こんな欺瞞な夫婦には預けられないわ」なんてなるところを、この作品ではならないのです。
つまり、それぞれの登場人物が、それぞれ少しずつ抱えている欠点や壊れているところを自覚しつつ、でもだれもそれを否定しない、そして物事に前向きに向かっていくのです。これはありそうでなかったこの作品の持つユニークなところですね。だから観ていて「今度はこうなるな」と思っているとあっさりスルーされて、あらびっくり、という感じ。

その点を前向きな方向で捉えるか、違和感を感じて反発するかで、評価の変わる作品ですね。
わたしとしては、その中間ぐらいというか「こういう描き方があるのか〜」と感心したというところですかね。

いや、それにしても、セックスするときはちゃんと避妊しましょう。
十代の妊娠なんて、現実はもっと重いことになりますからね。

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インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国

Welcome back Indiana Jones!

前作「最後の聖戦」から19年。ついにあの世界一有名な考古学者にして冒険家インディ・ジョーンズがスクリーンに帰ってきた。冷戦まっただ中の 1957年、ソ連の秘密部隊との戦いの中でクリスタル・スカルに秘められた謎を追う「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」


1957年、ネバダ州。砂漠の中を走る軍隊。実はソ連の秘密部隊だった。彼らは米軍基地の倉庫に保管された秘密のコンテナを探しにやってきていた。彼らに連行されてきたのはインディ・ジョーンズ博士だった。奪い返そうと戦うインディだったが、すんでのところでコンテナを持ち去られてしまう。
そして、彼の元に現れた青年が、クリスタル・スカルの捜索とその伝説の解明を依頼する。インディ・ジョーンズの新たな冒険が始まった。

まさかインディ・ジョーンズの新作が現実に観られるとは、思いもよりませんでした。だって第1作「レイダース 失われた聖櫃」から数えれば27年ですよ。それって「男はつらいよ」全48作とほぼ同じ期間が流れているわけで、そう思えば、還暦を過ぎて、ハリソン・フォードにかつてと同じアクションが出来るとは思わないですよ。
ところがところが。
確かに年老いたけれど、まぎれもなくインディでしたよ。ああ、涙が出てくる。

シリーズのお約束をそこかしこにちりばめ(かなり小ネタが多い)、しかもオープニングのカーアクションは、「あの」ルーカス作品に敬意を表するという念の入れよう。
時代が下って1957年のアメリカの有り様を、明らかに現代のアメリカに重ね、老いたインディに抵抗させるところは、作り手達の意地を観る思いです。

空白の19年の間には、漏れ伝わってきた「あれ」な話や「これ」な話が、その時は「まさかそんな話をやるの?」と思ったけど、やっぱりだったんですね。いやあ、こういう話をまとめるのにフランク・ダラボンはきりきり舞いさせられて、あげくホンをルーカスにボツにされて「ミスト」を撮ったのかと思うと、これはこれで泣けてきます。

で、ここぞとばかりにスピルバーグは自身の代表作でもあるあの作品を「今ならこう撮る」とやってみせたんじゃないかと思います。
そう、まったく真逆なんですね。実は敵のケイト・ブランシェットこそがかつての自分の姿なのです。

正直、長い空白の間にあんなことをしよう、こんなことをしようという思いが、この一作に凝縮しすぎて、ちょっと消化不良な感じもするのですが、それにしても、「男はつらいよ」最終作で観られなかったエンディングが、「インディ・ジョーンズ」ではついに観られたことは喜ぶべきでしょう。というか、このエンディングのためにこそ、マリオンの再登場が必要だったんだと思います。本当はショーン・コネリーもいればベストだったんでしょうね。

できれば旧3作を見直して、全部が無理ならせめて第1作だけでも観てから劇場に行けば、より楽しめること間違いなし。


観るべし!
というか、観ないでどうする!

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2008.06.12

ザ・マジックアワー

虚構は現実を凌駕する。

三谷幸喜の映画監督作品第四作は、ギャングの支配する街を舞台に、売れない役者が幻の殺し屋を演じることで起きる騒動を描いた「ザ・マジックアワー」


ギャングの支配する港街・守加護(すかご)。ここでギャングのボスの愛人を寝取ってしまった青年備後は、命を助けてもらう代わりに、幻の殺し屋デラ富樫を捜し出すことに。しかし誰も富樫のことを知らないかわりに、備後は売れない役者をだまして、デラ富樫を演じさせることにした。映画の撮影だと思ってそのデラ富樫を演じることになった役者村田大樹だったが、やることなすこと映画の撮影のつもりで、大騒動になっていく。

徹底してあり得ない虚構の世界で遊び倒した作品ですね。
いつもの三谷作品らしく、やっぱり穴だらけで突っ込みどころも多いんです(愛人が目と鼻の先にホテルにいるのに、なぜボスは取り戻しに来ないのかとか)がまあご愛敬というところでしょうか。
ただ、あまりに箱庭過ぎるので、それが駄目って人は受け付けないと思いますが、ここまで徹底されると脱帽です。

でも楽しいのは、この映画、トリュフォーの「アメリカの夜」とかも彷彿とさせる(タイトルロールは多分意識している)「映画についての映画」なところですね。
市川崑監督の生前最後の姿も観られるし、主人公村田が大好きな映画として出てくる「暗黒街の用心棒」は東宝の暗黒街シリーズを意識してますね。
役者も、三谷作品常連と、旬の妻夫木聡や綾瀬はるかも配しつつ、脇で伊吹吾郎だったりかなり細かいところで渋い役者陣をあてているのが見所ですかね。

肝心要のところで西田節全開にしちゃうのはどうかと思ったり、二転三転しすぎかもと思ったりもしましたが、作品全体を覆う三谷幸喜の映画愛に、前作「THE 有頂天ホテル」よりも楽しめました。

肩の凝らない感じで観に行く分にはいいかも。

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ナルニア国物語 第2章 カスピアン王子の角笛

C.S.ルイスの、七部作になる名作ファンタジー小説「ナルニア国ものがたり」。第1作「ライオンと魔女」の映画化ヒットを受け、制作された第2作。前作から1300年後のナルニアに起こった危機を救うべく、ペベンシー四兄弟がナルニア国に降り立つ「ナルニア国物語 第2章 カスピアン王子の角笛」


前作「ライオンと魔女」から、現実世界では1年後、ペベンシー四兄弟は再びナルニアの地へと降り立った。何者かが自分たちをよんでいるのだ。それは、テルマール人のカスピアン王子が、自らの危機から救いの手として、魔法の角笛を吹いたからだった。しかし四兄弟はそのナルニアの地を見て驚く。そこはかつて自分たちがいた時代から1300年後の世界だったのだ。

まあ、可もなく不可もなく、手堅くまとめた前作でしたが、今回もやっぱりそうで、原作からそれなりにまとめてはいます。
でもファンタジー映画流りのいま、全ての画が、どこかで見たような既視感あふれるものになってしまい、この「ナルニア国物語」じゃないと観られないものがどこにもなくなってしまっています。

まあ、それ以前にいろんな映画でイメージを先にとられてしまったというところもありますが、それにしても観終わったあと、何にも残らなすぎるのもどうかと。まだ「ハリー・ポッター」の方がダークですよ。

第3作があるのかどうかわかりませんが、次回作も観たいと思うかどうかは、観てから数日後にこの2作目の感想を書きながら、まったく印象的な映像が思い出せないってところですでにしてわかりきっているかと。

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2008.06.01

僕の彼女はサイボーグ

「猟奇的な彼女」「僕の彼女を紹介します」のクァク・ジェヨン監督の最新作は、日本に渡って撮った綾瀬はるかと小出恵介主演によるSFラブストーリー「僕の彼女はサイボーグ」


2007年11月22日。青年ジローは一人で誕生日を迎えていた。そこに現れた美少女。突然現れた彼女と楽しい一晩を過ごしたが、それきり彼女は消えてしまった。そして一年後の誕生日。ジローの前に再び現れたのは、あの彼女そっくりの美女だった。

いや、綾瀬はるかはサイボーグじゃなくてアンドロイドでしょ、というところは突っ込むまでもなく。
カワイイあの子がアンドロイドだったら、というのはこれまでにも小説やアニメのネタとしては手垢にまみれているわけです。それが悪いわけではないのですが、まあ元ネタがここまでわかりやすいのもどうかと。
オチも「○○○○○の○○回」の一段ひねりパターンだしね。

相変わらずジェヨン監督印のドン引き寸前のギャグも健在。やっぱりゲロもあり。しかし「猟奇的な彼女」のときは「韓国映画だから」というフィルターが一枚入るから許せるんだけど、日本映画でやられるとドン引きそのまんまですなあ。

予告でMISIAの歌に災害の画が出ていたから「日本沈没」か? と思ったけど、本当にスペクタクルなことに。

じゃあ最後は感動的な気持ちになるかというと、そこはなんとも。結局のところ、この物語、主人公の中で自己完結してるだけなんですよ。
だからどんなにアンドロイドとの恋が進もうとも、それは鏡に映った自分を好きになっているだけでねえ。


ところで、なんでアンドロイドに名前つけないんですかね。普通に考えたらまずは名前をつけるでしょ。日本は、椿三十郎だって名乗るシーンが重要だし、怪獣だって出てきた瞬間に「あ、ゴモラだ」って名前がつくのに。アトムだってせんとくんだってくいだおれ人形だって名前があるのにね。
海外ってターミネーターもクローバーフィールドも、なんで名前をつけないのかねえ。
やっぱりここは名前をつけるシーンが欲しかったですね。

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2008.05.25

ランボー 最後の戦場

「ロッキー・ザ・ファイナル」に続き、シルベスター・スタローン自身の人気シリーズを、主演・脚本・監督と三役をこなし復活させた。内戦の続くビルマ(ミャンマー)を舞台に、凄惨な戦争アクションが展開する「ランボー 最後の戦場」


タイで世捨て人のように過ごしていたランボーの元に、軍事政権の圧政が続くビルマの人々への支援グループが、ビルマへのガイドを依頼する。最初は断るランボーだったが、グループのメンバーの女性サラの懇願に心を動かされ、彼らをビルマへ連れて行った。しかし彼らが支援の村にたどり着いたところで、軍の虐殺が起き、村は壊滅し、サラたちは捕らえられてしまう。支援グループはサラたちを救うため傭兵を雇い、ランボーに再びガイドを依頼するが。

子どもの頃テレビでやっているのを観てても、ランボーって暗いしあんまり好きではなかったなあ。
今回久々に復活してみたら、話題になっている通り、すさまじい戦闘シーンの描写の数々。本当に戦場で撮っているかのごとく、頭や手足は吹っ飛ぶ、身体に穴はあく、血糊と死体の数は半端じゃないです。
しかも、ストーリーは単純明快な上に、90分というコンパクトな上映時間(しかもエンドクレジットが10分あるので、結局中身は80分!)にこれでもかのアクションが満載です。

ところが、ビルマや世界各地で起きている凄惨な戦場の再現も、ランボーの活躍で、不思議に高揚感のあるファンタジーと化してしまう転倒ぶり。それが作品として良かったのか悪かったのかといわれると判断に迷うところだけど、やっぱりジェリー・ゴールドスミスの「ランボーのテーマ」がかかっちゃうと、ああやっぱりねえ、なんて思ってしまうわけで。
ランボーはリアルさを求めた戦争アクションだったので、ある意味本卦還りか。

映画の感想とは別だけど、中国の四川省の地震被害はまだ報道されているけれど、ビルマの台風被害はロクに報道されないから、いったいどうなっていることか。事実は映画よりも奇なり。

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山のあなた 徳市の恋

清水宏監督の1938年の作品「按摩と女」を、石井克人監督・草なぎ剛主演で“カバー”という名のリメイクに挑んだ。「山のあなた 徳市の恋」


按摩の徳市は、相棒の福市と峠を歩いていた。山あいの温泉場で、按摩の仕事をするためだ。道中、二人は目明きを追い抜くのを遊びにしていた。
さらに道を行くと、馬車が追い越していった。徳市は馬車に乗った女に気がつく。東京の女の匂いがする。
たどり着いた温泉場で、指名がかかった部屋にて、徳市はその女と再会する。徳市はその女に思いを寄せていくが……。

なぜリメイクではなくて“カバー”という表現にしているかというと、オリジナルの構図やテンポを出来る限り再現したからだと。
(「按摩と女」の感想はこちらをご覧ください。)
こういうのって、例えば稲垣浩監督の「無法松の一生」を、戦前の阪妻版が検閲でカットされてしまったために、戦後稲垣浩監督が三船敏郎主演でカラー・シネスコでセルフリメイクして、しかも出来るだけ構図とかも同じようにしたことがある。
また、ヒチコックの「サイコ」を、ガス・ヴァン=サント監督がカラーでリメイクしたが、これも特に有名なシャワーシーンを含め、出来るだけオリジナルに似せて制作した。
今回の「山のあなた」も、観ると確かにオリジナルの構図や台詞回しに近い形で再現されている。

ところが。
オリジナルの「按摩と女」を観てみればわかるが、高峰三枝子を山あいの温泉場のロケでちゃちゃっと撮って作りました、という映画で、全体を覆う軽さも、意図してというより、即興で撮っていった(であろう)結果なのだ。
それを、今回、ロケ先を選びに選び、きっちりしたセットを組み、現在では撮れない温泉場は、VFXを駆使して1カット1カットトレースするかのように「ちゃんと再現するぞ」となぞっていった結果、今回の方が、全体的に微妙に温度の高い感じがするのだ。

モーツァルトが実際に演奏した曲そのものは聴けないけれど、古楽器によるピリオド奏法で今の演奏家たちが「モーツァルトが演奏したであろう曲」をやればやるほど、一生懸命さは感じるけど、窮屈な感じもするのだ。
それだったら、カラヤンのとかバーンスタインのように大編成のオケでやってもらった方がよっぽど気持ちいいって感じるようなもの。って例えが伝わらないか。

もちろん、今回のスタッフの努力を認めつつも、であるからこそそういう努力とは無縁のところに、松竹映画を支えた清水宏作品が屹立しているのではないだろうか。それと、癒し癒しって宣伝してるけど、「按摩と女」は癒しとも無縁の作品ですよ。


ともあれ、興味のある方は、オリジナルの「按摩と女」を観るきっかけにしてもらえばいいのではないでしょうか。

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2008.05.22

清水宏監督作品DVD-BOXより「按摩と女」

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清水宏監督の「按摩と女」が、何の故あってか、草なぎくん主演でリメイク。おかげで、清水宏の作品群がDVD化されました。何はともあれ、めでたいですね。
というわけで、清水宏監督作品DVD-BOX第一集~山あいの風景~を買いました。
これには「有りがたうさん」「按摩と女」「簪」「港の日本娘」の4作がセット。

「有りがたうさん」から観ようと思ったけど、まあここは「按摩と女」から手をつけることに。ここで感想書いておかないと元が取れない、というかもったいない。

按摩の徳市は、相棒の福市と峠を歩いていた。山あいの温泉場で、按摩の仕事をするためだ。道中、二人は目明きを追い抜くのを遊びにしていた。
さらに道を行くと、馬車が追い越していった。徳市は馬車に乗った女に気がつく。東京の女の匂いがする。
たどり着いた温泉場で、指名がかかった部屋にて、徳市はその女と再会する。徳市はその女に思いを寄せていくが……。

あきらかに、温泉場のロケでちゃちゃっと撮って、話つなぎましたという感じの軽めの作品。でも、どうでもいい話の一時間強の小品が今観るととても軽やかで美しい。女学生の服のセンスとかがめっちゃカワイイのですよ。
あと、ピンぼけなカットがあって、あれ? と思ったら、あ、これ、見えない徳市の見た目ショットなのか、とか、結構な遊びを入れている。

リメイク版「山のあなた 徳市の恋」の感想は近日中にあげるだろうから、違いはそこで詳しく書くとして、予告だけで一点言っておくなら、ダイアローグスピードが全然違いますね。オリジナルは台詞が速い、速いです。普通の会話とかわらないぐらい速いテンポですね。
でも「山のあなた」はもっとゆったりしてて、それはまたなんでだか。

それと、なぜリメイク版が東宝で公開?

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2008.05.12

靖国 YASUKUNI

A級戦犯の合祀や首相の参拝で揺れる靖国神社の有り様を、中国人の李纓監督が、10年にわたって撮り続けた「靖国 YASUKUNI」


靖国神社。英霊をまつるこの神社には、終戦記念日の八月十五日には、様々な人々が参拝や抗議、はたまた見物にやってくる。一方、靖国神社の御神体である“靖国刀”を作り続けてきた現役最後の刀匠の言葉と共に、靖国神社とは何であるかに迫る。

こりゃ、コントだねえ。
八月十五日にやってくる人々が右のお兄さんも左のお兄さんも個性が強烈で、おかしくてしょうがない。みんな勝手に軍服だったり軍服っぽい服だったりを着て、参拝だとか、口上を延々述べたり、ラッパならしたり。
それらが入れ替わり立ち替わりやってくるもんだから、参道はごった返してまあ大変。
また、小泉総理の靖国参拝を支持しますとか言いながらビラ配ってたアメリカ人のおっちゃんは、星条旗振ってるもんだから、テンションの上がった右のおじさんに文句言われて退散するはめに。
追悼集会に乗り込んでいって「靖国参拝反対」を唱えたら、待ってましたとばかりにボコボコにされて、「中国人は日本に帰れ!」と言われて外に出された若者が一言「ぼくは日本人です」。それを撮ってる中国人の監督。
なにせ全部ガチンコですからね、笑えるところはたくさんありますね。

一方、この映画の主役のようにして登場する刀匠のおじいさんのインタビューはあんまり成功していない。インタビュアーである監督の質問が漠然としてて、明らかにインタビュイーであるおじいさんの方が何を答えたらいいのかとまどっている。逆に「あんたは小泉さんの参拝をどう思う」と質問される始末。
中国人の監督が日本人に日本語で、しかも一番デリケートな質問をするシチュエーションとはいえ、ここはもう少しがんばって欲しかったところ。

靖国神社ってこんなところ、ということがわかるようになってもいないし、ひたすらに靖国神社の喧噪と混乱のありようを描いた作品と言えますかね。


というところはまあなんですが、劇場の入り口にはお巡りさんが立ってて、シアター内にも警備員とSPがいて、いくら全回満席とはいえ、経費的には割に合うのかな? とか、いざ始まって予告で「ゲゲゲの鬼太郎2」が流れて、みんな笑ってます。いやはや。しかしなぜここでウェンツ鬼太郎?

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ミスト

フランク・ダラボンはトム・クルーズに雇われて「ミッション・インポッシブル3」のシナリオをトムの注文を聞きつつ書いたものの、結局ボツ。今度は「インディ・ジョーンズ4」のシナリオをルーカス、スピルバーグ、ハリソン・フォードの注文を聞きつつ書いて、これまた結局ボツ。
そしてこう思ったに違いない。
「神様、一生懸命働いたのに、この俺の努力はいったい何だったんですか!?」と。


「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」に続き、三度スティーヴン・キング原作をフランク・ダラボン監督が映画化。傑作中編ホラーとして名高い「霧」を完全映画化した「ミスト」


嵐の過ぎ去った翌日。デイビッドは息子を連れ、仲の良くない隣人と車で買い出しに出かける。停電が終わらず、ごった返すスーパーマーケットだったが、道路には警察や軍が行き来している。そして血を流しながら現れた老人がスーパーマーケットに飛び込んでくる。「霧がくるぞ!」
スーパーマーケットは霧に包まれ、何も見えなくなる。その向こうにはいったい何が?

傑作!
ほぼ忠実に「霧」の映画化を果たしましたね。ズームをつけた手持ちカメラの撮影が、臨場感をあおってくれます。それと音楽が抑え気味でね、盛り上げそうなところで逆に音楽つけてないから、リアルなんですよ。

閉じこめられ、異常な緊張にさらされた状態では、外から襲ってくる怪物より人間の方がよっぽど怖いもの。
熱心なカソリック信者とか行きすぎた懐疑主義の方が、社会をむしばんでいる状況とか、ほぼスーパーマーケットのセット一杯しかないこの映画でアメリカを描いてしまいます。
なんか「ゾンビ」も彷彿としますね。

それと、格好良さそうなヤツが次々に犠牲になり、チビハゲメガネのオッサンとか、老人の方が活躍してしまう皮肉。
そして、原作にはなかったラストの展開。いや、ダークサイドに突き落とされますよ。もうキッツくてねえ。2時間付き合わされて、これかと。
原作のラストって、ジョン・カーペンターの映画っぽいんだけど、このラストがまず、一回突き落とされて、そこからひっくり返されて、おまけに「あれ、あれは!」ともう一回突き落とされます。
そのためにも映画の序盤をぼーっと観ていちゃ駄目ですよ。

今までの作品がホワイトダラボンだったけど、今回はブラックダラボン全開ですよ。あまりの衝撃に突き落とされて、エンディングが終わるまで立ち上がれません。


今年必見の一本!
観るべし! 観るべし! 観るべし!


本筋とは関係ないけど、予告で「「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」に続く全世界待望の最新作」って津嘉山正種のあの声でナレーションをいうと、この2作までバリバリのホラーみたいじゃんねえ。

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隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS

黒澤明監督の連続活劇冒険時代劇を、長澤まさみ・松本潤主演、「ローレライ」「日本沈没」の樋口真嗣監督によりリメイクされた「隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS」


秋月、早川、山名。国境を接するこの三国は、秋月と早川の同盟により、山名を抑えていた。しかし山名は秋月を攻め、城を攻め落とした。すんでのところで秋月の雪姫と軍資金の金百貫は、いずこかへ消えてしまった。
山名の民だった武蔵は秋月の城で、金探しに連れてこられていたが、どさくさに紛れて逃げ出してしまう。そこに一緒についてきたのが新八。二人は逃げ先の谷で、小枝に隠された金を見つける。そこに現れた弓の使い手と武士に捕まってしまう。武蔵は彼らに金を持って早川領に逃げ込む案を提案する。それは敵の裏をかいて、山名領に入り、早川領に抜けるというものだった。果たして無事金を運べるのか、そして武士たちの正体は?

「隠し砦の三悪人」って黒澤時代劇の中では、「七人の侍」「用心棒」「椿三十郎」「赤ひげ」もマスターピースっぷりより、一段思い入れとしては下がるんだけど、いやあくまで私の中ではだけど。
前半一時間はオリジナルを1.5倍のスピードで駆け抜ける。特にオリジナルは逃避行をはじめるまでが前半一時間使っていたと思うけど、出だしは字幕でやって、ものの数十分で隠し金を背負って逃避行に出発。
見せ場の関所越えや馬でのスピード感あふれるチャンバラも、ちょっとずつひねりつつ、軽快感あふれてサクサク進みます。
阿部ちゃんや椎名桔平、甲本雅弘、高嶋政宏など、良い感じにノリノリだし、宮川大輔もコメディ役としては良い感じ。

これはこれで悪くないんじゃないの、思ったら、後半に入って、ものすごい勢いで減速してマツジュンとまさみちゃんのラブロマンスに突入。ああ、やっぱり。
でもねえ、なんかこのラブロマンスってデジャブ感ありありだなあ。
と、思い出しましたよ、これ「里見八犬伝」だよ。

当時、角川映画の伝奇時代劇の中では、同じ深作監督の「魔界転生」と合わせて大好きだったのよ。千葉ちゃん以下JACのアクション陣も一番ノってる頃で見ごたえもあったし、特撮も当時良い感じに出来ていたしね(でもなかったか?)。
特に、志保美悦子の悲劇的な女犬士とかの死に様が好きでねえ。それと、小学生だったから真田広之と薬師丸ひろ子のラブシーンにドキドキしたり。
思わず劇場で二回連続観ちゃったもんね。


あ、「隠し砦の三悪人」ですか。だんだんマツジュンとまさみちゃんが真田広之と薬師丸ひろ子に見えてきた。阿部ちゃんは千葉ちゃんね。
エンディングの曲が気に入らない? 「里見八犬伝」は英語歌詞だったから、これぐらい問題ないって。

そんなわけで、ちょっと別の懐かしさを感じる映画でした。
ま、見ておけばいいっすよ。

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2008.05.07

NEXT-ネクスト-

フィリップ・K・ディックの「ゴールデン・マン」を原作に、2分先の未来が見える男を巡るサスペンスアクション「NEXT-ネクスト-」。

ラスベガスでしがないマジシャンをやっているクリス。その彼の能力をテロリストの捜索に生かそうとFBIは捕まえようとするが、クリスは持ち前の能力でピンチを脱出する。2分先の未来しか見えないが、唯一、運命の女性のことだけは先の未来が見えていた。そしてその出会いを果たすが、二人の先には、FBIと、彼の能力を邪魔だとするテロリストの両方が立ちはだかっていた。

ははあ。
脚本を書いたゲイリー・ゴールドマンは、よほどのディック好きらしく、「トータル・リコール」も「マイノリティ・リポート」もこの人が脚本を書いている。
この「NEXT」も短編「ゴールデン・マン」の2分間先の予知が出来る男、というところをとって、違う話にしてますが。

まあ、なかなかかなと思います。
ニコラス・ケイジも特筆するところはないけど、ジュリアン・ムーアが「ハンニバル」のクラリスのその後にしか見えないとか、久々に観たぞピーター・フォーク(コロンボは古いのしょっちゅう観るけど、今に近いのはね)とか、どうでもいいところばかりを楽しみますが。
あと、テレビの映像に「博士の異常な愛情」だったり、「時計仕掛けのオレンジ」を彷彿とさせたりとキューブリックへのオマージュのつもりなんでしょう。だからどうだ、ということでもなくて、「やってみたかった」ってことでしょうが。

オチがね、短編小説ならふむふむ、と思いますが、1時間半の映画でこれやられると、脱力しますねえ。ここいらへんは脚本が「どうだーいけてるだろー」と思うんでしょうが、撮ってつないでみたらドッチラケなんですよ。もう一段ひねって欲しかったところ。

あと個人的にはジェシカ・ビールが、そんなに運命の女に見えるほど綺麗に撮れていないのは映画としてはどうかと。そこが出来てないと本当は全て台無しなんだけどなあ。

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2008.05.05

相棒 −劇場版−

「ミナサン コンニチハ スティーブン・スピルバーグ デス」
「コンニチハ ジョージ・ルーカス デス」
「オマタセシマシタ タノシンデ クダサーイ」
え、こっちの相棒じゃなく?


土曜ワイド劇場の二時間推理ドラマから出発し、人気テレビシリーズとなった刑事ドラマが、満を持しての劇場版として登場。「相棒 −劇場版−」


警視庁の窓際部署 特命係。そこに所属する杉下右京と亀山薫。これまで数々の難事件を解決してきた二人の前に、不可解な殺人事件が起きる。右京の推理から連続殺人の可能性を見いだし、ついにSNSサイトで処刑扱いされた被害者たちであったことがわかる。その連続殺人は、東京を走るマラソン大会を狙った爆破事件へと発展するが、その真の狙いは、驚くべきものだった。

ようやくここまでたどり着いたか。
というのは、「相棒」が土曜ワイド劇場の二時間ドラマからシリーズ化、そして劇場映画に発展したことを言っているのではない。
個人的には、テレビ版をたまに観て、なかなかトリッキーな構成をするなあと感心するぐらいで、特に大ファンというわけではない。
そうではなくて、明らかにこの劇場版「相棒」は、警察ドラマを使って、どうやって東京を、日本を描くか、ということの一応の通過点の作品なのだ。
いや、もっとわかりやすく言おう。この作品は「機動警察パトレイバー」を実写映画化するという夢の、この20年の苦闘の里程標なのだ。

押井守が監督したアニメ「機動警察パトレイバー the Movie」「機動警察パトレイバー2 the Movie」は、現代の東京を舞台に、エンターテインメントとして成立させてみせた作品だった。その綿密なロケーションと、現代の東京が抱える問題を、ロボットアクションと警察ドラマの醍醐味を織り交ぜたこの高い到達点は、多くの刺激を作り手に与えた。
その直接の影響を受けて作られたのが「踊る大捜査線」であり、人物の配置といい、「ロボットアクションのないパトレイバー」に仕立てあげた。

この「相棒」もまたトリッキーな推理ドラマとしての構成と、名探偵コンビという枠組みを使いつつ、「踊る大捜査線」がその専売特許のごとく見せた組織の縦構造の矛盾も描いていく。そして、「踊る大捜査線2」が「レインボーブリッジ封鎖」が見せ場なら、こっちは東京マラソンだ! とばかりにクライマックスにも力を入れている。

もちろん、トリッキーな推理のどんでん返しを狙うあまり、探偵役の右京がいなかったら成立しない無意味なトリックの連続であったり、真犯人の真の目的が成立しない可能性もあったはずなのだというところが不問にふされていたりする。
しかし、その無理を押してでも、描こうとした真相はなかなかに骨太であり、エンターテインメントの枠からすれば大きすぎるその意気を買っても良いのではないだろうか。
真の敵とは、この日本の有り様そのもの。それこそが、押井守が「機動警察パトレイバー」で描いたものであり、この「相棒」もその直系の子孫なのだ。


と、固いところはともかく、キャストも実はサブレギュラーキャラの目白押し。個人的には六角精児演ずる米沢守の見せ場が多くて良かったなと。
ストーリーも穴だらけではあるけれど、そこもまた愛嬌かと。
観るべし。

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2008.05.02

スパイダーウィックの謎

トニー・ディテルリッジの児童向けロー・ファンタジーを、映画化。一冊の妖精図鑑を手に、悪のゴブリンと闘う一族の物語。「スパイダーウィックの謎」


妖精を研究していたアーサー・スパイダーウィックは、その成果を一冊の本にまとめた。それから80年の時が過ぎ、ひ孫の世代がこのスパイダーウィック邸に暮らすようになる。双子のジャレッドはこの家の秘密を探るが、屋根裏に大伯父のアーサーの部屋を発見し、封をされた本を見つける。これこそ妖精の世界の秘密をまとめた妖精図鑑だった。

なかなか面白いですね。
ファンタジー映画は雨後の竹の子でいっぱいでてますけど、その中では出来の良い方だと思います。ひょっとして「ナルニア国」よりいいかも。
一族の物語であり、ロー・ファンタジーの中では、あくまで自分の家の身の回りだけで怪物や妖精たちが出てくるので、親しみやすいし。
屋根裏に秘密の部屋、しかも読んではいけない本とか。そういうのはお約束で読むよねえ。

主人公の少年は「ネバーランド」「チャーリーとチョコレート工場」のフレディ・ハイモアくんですね。いやー、そっくりな子を連れてきたなと思ったら、一人二役だったんですね。違和感ないです。

なんというか、「グーニーズ」とか「ヤング・シャーロック ピラミッドの謎」をわくわくしながら観た頃を思い出しました。
製作は、キャスリーン・ケネディ / フランク・マーシャルなんですね。一昔前ならスピルバーグが製作総指揮とかやりそうな映画だと思ったら、やっぱりこのコンビだったか。

お子さん連れで、吹き替え版で観るには最適。楽しい映画だと思います。
観るべし。

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アイム・ノット・ゼア

生きるカリスマ、ボブ・ディランの半生を題材に、6人の人種も年齢も性別も違う俳優たちが、それぞれディランの多面的な人生を演じていく「アイム・ノット・ゼア」


ボブ・ディラン。彼の多面的な顔を見せてきた半生をそれぞれ別の人格として描く。それを通して見えてくる